軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

天地の災害、百足の巨虫、妖精の天敵

ふと妖精が現れる。

手招きするような動きで、俺達を誘っているようだった。

「さて、鬼が出るか蛇が出るか……」

「 蛇(・) 者はここに居るぞ!」

「お前じゃねぇ」

俺達が妖精に付いて行くと、その妖精は現れたり消えたりを繰り返しながら、ある方向へと向かっていた。

「酷い状況だね……」

少し歩いた先には 集(・) 落(・) があった。

だが人の気配は無く、何者かに荒らされたような形跡が複数箇所見つかった。

だがこの規模は「荒らされた」というより、 襲(・) 撃(・) されたと形容した方が正確かもしれない。

ゴゴゴゴゴ………。

何かが動く音がする。

地中の中を這いずり回る不快な音に甲殻が擦れる音。

虫特有の鳴き声と共に、巨大な影が地中から現れる。

「ガァァァァァァァァァ!!!」

[クエストボスが出現しました]

[災穿百足 マグニ=パルス]

それは黒色の甲殻に赤色の胴体を持ったムカデだった。

マグニ=パルスは頭だけをこちらに覗かせるが、それでも俺達を見下ろす程に 大(・) き(・) い(・) 。

まるで俺達が小人だと錯覚してしまう程の体格差がある。

「……来るぞ!」

マグニ=パルスは地面を揺るがしながら、素早く俺達の方に向かって来る。

その勢いは普通のモンスターと変わらない程の速度であり、超巨大なモンスターがそのスピードで動けば――――

「……っ! なんて奴だ」

それは常に突進攻撃をしているようなものである。

「巨大な癖して身軽な奴だな!」

バンバン!

俺は遠くから『血酸嘴砲』を構え酸弾を放つが、黒色の甲殻に阻まれて赤色の胴体に当てる事は叶わない。

照準が定まらず、狙いをズラされてしまう。

体格や速度の問題もあるが、地面に潜ったり現れたりを繰り返し、大きく地面が揺れて足元が安定しない。

「【已己巳己】」

ふと蛇者が敵前に飛び出した。

マグニ=パルスは関係なしと顎で攻撃するも――――

「ガッ……!」

別(・) の場所から蛇者が飛び出し、マグニ=パルスの眼球へと潰した。

そして、最初に現れた蛇者はもう 居(・) な(・) い(・) 。

「……分身か!」

蛇者はニヤリと笑みを浮かべながらマグニ=パルスの身体を駆け回り、的確に赤色の胴体に斬撃を加え続ける。

「【蒼炎点火】」

俺も負けじと刀身に蒼炎を纏い胴体へと突き刺した。

「ガァァァァァッ!!」

マグニ=パルスは猛攻に耐えれず悲鳴を上げる。

すると、突然甲殻に 刺(・) が伸びてきた。

「ガッ!」

その棘が一斉に発射される。

俺は飛んでくる棘を的確に叩き落とそうとするも、全ては捌ききれず数個身体に刺される。

「大丈夫かい?!」

「無問題! 【蒼炎燃焼】!」

俺は【蒼炎燃焼】を使って、マグニ=パルスの火傷を解除しながら体力を回復する。

もし火傷による攻撃力低下が無ければ、今頃は蜂の巣にされてゲームオーバーだっただろう。

「ガオォォォォォォォン!!!」

ふとマグニ=パルスが雄叫びを上げる。

その瞬間、多くの影が集落を横切る。

バタバタバタバタバタバタバタバタバタバタ

ブーンブーンブーンブーンブーンブーンブーン

ガジガジガジガジガジガジガジガジガジガジ

「ちっ、仲間呼びやがったか!」

一斉に虫モンスターが出現した。

1匹1匹は普段戦うような強さのモンスターばかりだが、今回ばかりは量が多い。

直ぐに対処しなければ面倒な事になる。

「蛇者! 俺は雑魚狩りに専念する。それまでマグニ=パルスは任せた!」

「了解、任された!」

バンッ!

バンバンバン!

俺は虫モンスターの大群に酸弾を撃ち込み、腐食と出血を付与する。

かつてのグラウ=レイヴンのように、雑魚召喚は状態異常を拡散させるのだ。

「【蒼炎点火】」

俺は激昂蜂の首を切り落とした。

そして周囲の虫モンスターのみならず、マグニ=パルスにも状態異常が蔓延した。

「はっは! 雑魚を呼び出すべきじゃ無かったな!」

更に1匹、そしてまた1匹――――

次から次へと虫モンスターを一刀両断していく。

廃墟や瓦礫を飛び回り、雑魚を薙ぎ倒す。

この場は死屍累々となり、無数に居た虫モンスターは既に消え失せていた。

「よし、こっちは片付けたな」

さっさとアシストに向かうべきだろう。

多くの状態異常をマグニ=パルスにも付与したとは言え、この程度で戦闘が終わるはずは無い。

「そっちは大丈夫か?」

「問題無い――――というより凄く楽だね。攻撃もそんなに痛くないし柔らかい。これが状態異常の凄さであり厄介さなんだろう」

一見してマグニ=パルスは弱っているようにも思える。

だが俺達は知っている。

ボスはこんなものじゃないと。

「ウガァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!」

空を切り裂く轟音が辺りに響く。

次の瞬間、マグニ=パルスは黒色の甲殻を 脱(・) ぎ(・) 捨(・) て(・) た(・) 。

「ホワァァァッ!」

マグニ=パルスは天空を駆け上がり、叫ぶ。

それに呼応が如く、天候が悪化し――――

ドゴーンッ!

赤き 雷(・) 鳴(・) が舞い降りた。