軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

1 騎士を目指す

私、フィーア・ルードは、ルード騎士家の末子だ。

赤髪に金色の瞳で、美人だった母親の顔立ちにそっくりだと言われている。が、誰にも美人と言われたことがない。不思議だ。

残念なことに、体つきも母親に似たようで、どれだけ鍛えても筋肉が付かず、細いままだ。……胸もね!

騎士家ってのは、領地を持っていて、国王に叙任された騎士が家長になる、貴族の次に位置する家柄のことだ。家を継ぐべき騎士が一人もいなくなれば、その場で取り潰される。

だから、騎士家の子どもたちはみんな、騎士になることを目指す。

もちろん私も、ご多分に漏れず小さなころからずっと、騎士になりたかった。

ただ、騎士は、望めば誰でも就ける職業ではない。

国一番の人気職業で、騎士団の入団試験は、50倍とか100倍とか、毎回恐ろしい倍率になっている。

騎士に叙任されるっていうのは、国から身分を保証されることで、騎士になるのは、とても名誉なことだと見做されているからだ。給料がべらぼうに高いことも、理由だとは思うけど。

そんな騎士の仕事は、王城を守り、王族を守り、国を守ることだ。

具体的には、国内の治安維持から隣国との国境警備、はたまた増えすぎた魔物討伐までを行う。

つまり、騎士として一番重要なのは、剣の腕前だ。

そのことを、騎士家に生まれた私は良く分かっていた。

分かっていたから、小さい時から必死こいて訓練した。

幸い、領地内には騎士が何人もいたし、兄姉も全員騎士を目指していたから、訓練相手には事欠かなかった。

訓練して、疲れて、倒れて、眠って、食べて、訓練して……

飽きもせず、毎日毎日同じことを繰り返した。きついけれど、充実していて楽しかった。

けど、ある日、気が付いた。

あれ?

そういえば、模擬戦で誰にも勝ったことがないな?

あれれ?

3か月前に入った、新人に負けちゃった??

あれれれれ?

凄く良いタイミングで踏み込んだはずなのに、どうして私の剣が弾き飛ばされているの??

……そう、私には、恐ろしく剣の才能がなかったのだ。

けれど、才能のなさなんて、ある程度は努力で何とかなる。

別に、騎士の一番を目指しているわけじゃあないし!

国に叙任される大勢の騎士の一人になればいいのよ!!

憧れなのか、意地なのか良くは分からないが、この頃の私は「何が何でも騎士になる!!」って思いに突き動かされていた。

だから、才能がないことに気づきはしたものの、変わらず訓練を続け、結果、下位グループならば何とか入団できるくらいには、強くなった。と思っている。自分では。

その間、2人の兄さんと姉さんは、何と、才能あふれることに全員が騎士となって、家を出て行った。

寂しかったのは、姉さんが出て行った時だけだ。

私の剣の腕が大したことないって分かった途端、兄さんたちからは興味をなくされ、露骨に無視されたから、出て行かれても日常に変化はなかったし。

父さんにしたって、兄さんたちよりもずっと早くに私の無能っぷりを見破り、存在を忘れ出したのだから、第十四騎士団の副団長として西方地域の守護のため長期不在にされても平気だった。

結局、ここ数年は、家族の誰もが外に出ており、現在の私の実力を測ることができないでいる。

だから、私の『成人の儀』について、意見が分かれるのだ。

『成人の儀』とは、15歳くらいになると行う、簡単な儀式だ。

内容は、どこででもどんなものでもいいから石を一つ拾ってくるというもの。

この石を占い師に見せて、色とか形とかから将来を占ってもらう、っていうのが一般的なルールだ。

ただ、我が家の場合は、これに特殊ルールが加わる。

「騎士を目指さない」場合は、通常ルールと変わらないけど、「騎士を目指す」場合は、魔物を狩り、その体内にある魔石を持って帰り、強さを証明しないといけないのだ。

魔物とはもちろん、魔属性を持つ好戦的で攻撃力の高い生き物のことで、体内には強さに比例した大きさの魔石を持っている。

多くは森の奥深くに棲んでいて、相対した人間はまず無事では済まない。

だから姉さんは、騎士になることにこだわらず、普通の石を持ってこいと言った。

下の兄さんは、騎士家の娘として生死に関わらず魔石を取ってくるべきだと言った。

上の兄さんは、興味がないので無言を貫いていた。

父さんは、私の意見を尊重するという形で丸投げした。

だから私は、騎士を目指すために魔石を取ってこようと思う。