軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第985話 瘴気のお勉強⑩一部

ワンピースに着替える。

糖分補給にチョコレートをひとつ。

もふさまにも一個お裾分け。

そしてフリンキーにサブハウスへと送ってもらい、ハウスさんにはエリンとノエルに声をかけてもらった。

ふたりはすぐにやってきた。

「「姉さま」」

「ふたりとも、今日はよろしくね」

ふたりとも待機していてくれたようだ。準備は万端という感じ。

さて、今日はお試しだ。王宮の下に封じられている瘴気を取り出す。

「姉さま、種明かししてよ。どうやって、封じられた瘴気を取り出せるっていうの?」

「説明より、やって見せる方が早いでしょ?」

わたしは土魔法で作った器を取り出す。

そこにはこんもりと土が乗っている。

「土?」

エリンが可愛く首を傾げた。

「そう。王宮の土よ」

「王宮の、土?」

持ち出すときはちょっとドキドキした。誰かに咎められたらどうしようと思って。

わたしはその土を地面に置き小山を作る。

「姉さまが何をする気なのか、全然わからないわ」

「もしかしたら魔力を結構使うかもしれない。それで倒れそうになるかもしれないけど騒がないでね。魔力を使っただけだから」

もふさまがじっと見ている。

「危険じゃないよ」

わたしはもふさまに宣言した。

『どうするつもりだ?』

「ミラーダンジョンの本体は空っぽダンジョンだった」

もふさまは眉根を寄せたまま。

「ミラーダンジョンの攻略したところは、空っぽダンジョンも攻略されていた」

わたしは収納ポケットを作れた。それからルームも。これは空間の属性で他のものと少し違うと思っている。「無属性」の一部であり、派生した何か。だから空間属性みたいな文言はステータス には出てこないけど。

魔使いさんのスキルだというミラーも、空間属性だろう。

わたしは幸い、ミラーという魔法を知っている。知っているというか、長い年月をかけてお世話になってきた。

「わたしにミラーのスキルをプラスする」

そう宣言すると、胸の中で何かが光った気がした。

「王宮下の封印された瘴気、その1000億分の1をここにミラー」

ミラーで使うと本体の方も使ったことになる。

封印を解いたら瘴気が溢れ出す。世界の7分の6を失うような瘴気を溢れ出させるわけにはいかない。だからそのうちのちょっとを、わたしがミラーの空間に呼び込む。そこで封印をとき、その瘴気を玉に込める。

最初、まるまるその瘴気をわたしが空間に閉じ込めればいいかと思ったんだけど、わたしが死んだ場合その空間がどうなるかはわからない。魔使いさんのミラーしたダンジョンは残っているけど、それはアオに魔法が移され、だから残っているのかもしれないからね。

ミラーもどれだけ魔力を使うかわからないし、その封印を解くのもどれくらいの難しさかはわからない。だから1000億分の1だけ呼び込むことにした。

1000億分の1で、ずしっと手応え。魔力を引っ張られる前に重たい何かを感じた。少量でこのありさま?

ハッと気がつくと、両脇をエリンとノエルに支えられていた。

ステータスボードを確かめる。魔力は1000しか減ってない。それなのに、わたしの額には汗が。

「「姉さま」」

「大丈夫よ。魔力も1000しか減ってない」

サブハウス、ミラーな家の庭の先から黒い淀んだものが漂っている。不気味。

サブハウスの空間ではなく、新たなわたしの空間に呼び込むつもりだったのに。わたしは新たな空間はまだ作れないってことかな? いや、ルームは作れている。ってことはやり方がまずかったんだ。

サブハウスのある空間がどれだけの広さなのかはわからない。

サブハウスで行くといえば、ミラーダンジョンだけだから。

魔使いさんがこの空間を作ったときは、ここらの領地は今よりも整えられていなかったのだと思う。だから庭先から見える景色は急勾配の裸の大地に見えていた。ゆえにその先がどうなっているのか見にいったことはない。

アオの案内でダンジョンに行けていたしね。

でも、この封印されていてものゾワゾワ感はヤバいとしか言いようがなく、この空間は1000億分の1を余裕で抱えこめるほどの容量があったんだと思えた。

「姉さま、大丈夫?」

「封印を解かず、1000億分の1でもこの量に威圧感、まずいものって気がするわ」

少なく呼び込んで、大丈夫そうなら量を増やしていく気でいた。でも1000億分の1でこの量って。これを1000億回繰り返すの?

もふさまがピクッとする。

『リディアだ』

『エリンとノエルもいる』

「やっぱり、向こうの方になんかあるでち」

「リー、エリン、ノエル」

ロビ兄ともふもふ軍団がダンジョンから帰ってきたようだ。

「なんだ、あれ」

ロビ兄が領地のある方向に目を凝らしている。

「実は……」

わたしはみんなに王宮の瘴気を呼び出したんだと告白した。

もちろん、わたしの空間に。ルームのようにできると思っていたんだけど、計算が狂ったこと。

最初は少なくと1000億分の1の量を呼び込んだのに、それでもはるか量が多そうなこと。

ロビ兄たちは、そろそろ引き上げるかとダンジョンをでようと思っていた。

そうそう。エリンとノエルと行こうと思ったけど、ふたりに断られたそうだ。

ふたりはわたしとの約束があったから待機していてくれたんだね。

そのときに、アオが異変を感じ、すぐにダンジョンから出たそうだ。

それは申し訳ないことをした。

「で、リー、封印解くのか?」

腕組みをして考える。容量がかなりでかい。

多分、シュタイン領、モロール、イダボア。3つの領地を軽く越しているんじゃないかな。

そんな瘴気が蔓延した中で、わたし大丈夫か?