軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第921話 Get up⑫探索と鑑定

3時間で9階まで来ることができた。下の方は人が結構いたので、もふもふだけの活躍だったけど、だんだん人が少なくなってきたので、ぬいたちも飛びまわった。気配に敏感なので、人がいたらぬいになりやり過ごせた。

人のいないところで、わたしはスクーター。

ガーシとシモーネはバイク、ロサたちはスケボーで移動。

これらの移動の魔具はわたしが作ったというからびっくりだ。

表向きはわたしとお兄さまたちで作ったことになっているけど、わたしが作ったんだって。スクーター、バイク以外、バージョンアップする前のものが収納ポケットに山のようにあったので、みんなに貸し出しても間に合った。

作り方は思い出せないんだけどね。

ダンジョン攻略という同じ目的のおかげで、みんなとの関係も良好だ。昨日少しギクシャクしたアダムやフランツとも難なく過ごせている。

ケラたちがゲットした9階のお肉をゲットするぞと、もふもふもぬいたちも張り切っている。

みんなの魔法の使い方や戦い方は参考になる。性格が出るね。

ロビンお兄さまとブライは体術に自信のある人の戦い方。魔法もダイナミックに使いがち。

ロサはここぞというときのタイミングで、ここぞの大技を。王さまチックな戦い方。

イザークはみんなの調子を見ている。周りの足りないところに補助で入る。

ダニエルはもふもふやぬいの戦い方に興味があるみたいに感じる。絶えず気にしている。補助に入るためというより、観察の方が正しい気がする。ダニエルもある程度強いだろうに。あ、でも、だからダンジョンの中で観察をしていられるのか。

アダムは自由だ。自分の進みたいように前進し、それを阻止しようとするものを蹴散らかす感じ。こっちも王者感がある。

もふもふやぬいは瞬殺。戦って勝つのが楽しい感じ。戦っているのにルンルンしているって言葉が合っている気がする。いや、ハハハって笑いながら倒している、かな?

アランお兄さまは魔具の性能を確かめながら戦っている感じだ。

ガーシとシモーネは絶えずわたしを視野に入れながら、周りを守る。

フランツはわたしのフォロー。

……なんかわたしのことしか見てないみたいで、いささか居心地が悪い。

と思っていると、フランツ先生から教えが入る。

「風のカーテンで防御!」

慌てて防御する。

間に合わないかと思えば、フランツに抱きかかえられ転がされた。

そのフランツごともふもふに飛ばされる。

わたしに狙いを定めてやってきたトラサイズの魔物は、ロビンお兄さまの剣攻撃とアダムの魔法スパークで塵となり消えた。

「みんな、ごめん、ありがとう」

「ダンジョンの中でぼうっとするな」

フランツに怒られた。

「ご、ごめんなさい」

「あ、ごめん。怖い?」

え?

フランツは慌ててわたしから離れる。

昨日の件をまだ引きずっているみたいだ。

「なんで謝るの? わたしを助けてくれたのに」

フランツは視線を彷徨わせる。

「……怖い思いをさせたから」

なんでこの人は切なく笑うのがうまいんだろう?

後ろ髪を引かれるって表現があるけど、それじゃ足りない。

引き抜かれてハゲになりそう。こっちまで痛んでくる。

「誤解しないで」

「え?」

フランツは整った顔で形のいい口を開ける。

「わたしが怖いのはフランツじゃなくて、誰かを刺してしまったこと。その記憶が曖昧なこと」

「……それを思い出させたのは私だ」

わたしは笑ってしまった。

「な、なんで笑うのかな?」

フランツはそれこそわからないというように首を傾げた。

「わたしは記憶を取り戻したいのよ?」

「……それでも。辛い記憶は思い出さなくていい」

リディアの人生、ハード・ハーダー・ハーデストみたいだもん、そう言いたくなるのもわかる。

「フランツが思い出さなくてもいいっていうのは本気だったの?」

「そうだよ。人生はいつから始めたっていい」

そう言ってふっと笑う。

「……本当は少し嫉妬が入ってる」

嫉妬?

その時、風がビュンと吹いたと思ったら、もふもふだった。

何かを倒してくれていた。

「おい、ダンジョンの中で寛ぐな」

イザークから注意が飛ぶ。

そうだ、ここはダンジョンの中だった。

嫉妬って?

尋ねたかったけど、状況がそれを許さなかった。

気がつくと、わたしたちみんな魔物に囲まれていた。

『リディア、探索をかけろ』

「探索?」

わたしがおうむ返しすると、アダムが驚いたようにこちらを見た。

『そうだ。お前はマップを呼び出し、お前の周りに敵がいるかのわかる探索をかけていた。学園内の地図を見るような感じだな。それからお前は鑑定できる』

探索に鑑定?

心の中で思えば、学園内の地図のようなものが目の前に浮かび上がる。

緑の点を中心に……これはわたしを中心とした現在のマップだ。中心が緑の点だからわたしだろう。白い点がもふもふ。位置から黄色いのがみんなで、オレンジ色がぬいたちかな。そして赤が魔物。

魔物に囲まれている。

一際大きなのが、二本足で仁王立ちしている闘牛って感じ。

それから大きな豚に七面鳥みたいな鳥たちだ。

鑑定もできるらしいね。

鑑定、そう思うと、目の前の闘牛の情報が現れる。

ホルスタ:気性の荒い魔物。飛び蹴りが得意。通常攻撃が有効。肉は美味しく、雌のミルクも人気。

「そこの闘牛、飛び蹴りが得意だって。そっちの白い豚がブッタ。色とりどりの鳥がルギー。みんなケラの学園祭のお店であったお肉」

ぬいたちが湧き上がった。

「君、それ……」

「わたし、鑑定できるみたい」

もふもふとぬいは魔物たちに突進して行ったけど、みんなは少しだけ口を開けてわたしを見た。

「時々そうじゃないかと思っていたけど、やっぱりそうだったか」

アダムが軽く目を閉じてから、合点がいったようにそう言った。