軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第876話 アクション⑬パーフェクトブラザー?<後編>

お魚のマリネ。

お魚のネットりした甘味とマリネの酸味、ピリッとした丸ネギの薄切りがいい仕事をしている。

あったかパスタと冷製パスタ。オイル系からクリームまで種類多数。それを少しずついただく。どれもおいしい!

アリがすっごく気に入ってるピザ。

これはおいしい。生地も好きな感じだし、ソースが絶品だ。上にのっているスパイシーなお肉もいい味で、その上のたんまりチーズもたまらん!

スープは野菜のポタージュ。何種類も!

お肉に野菜を巻き込んで、甘辛ソースに絡めているのもおいしい。

口いっぱいに頬張る。

あ、まただ。

「わたしを見てないで、フランツも食べなよ。食べにくんだけどっ!」

気がつくと、フランツはわたしを頬をゆるめて見ているんだもん。

食べにくくても食べるけどね。

あーん。茹で卵のキミの部分をツナとアボカドと和えたような卵料理を頬張る。

兄って偉大だな。欲しいものなんでも買ってくれて。ドレスもオーダーメイドで2着も! レストラン予約して、もふもふたちの分まで太っ腹。

リディアが誘拐されて探しまくって他大陸まで来てくれて。組織に立ち向かってくれて。大切な人がいるのに、妹分にまでこんなに愛情を注いでくれちゃってさ。

そう、フランツには大切な人がいるんだよね。わたしなんかにこんなにかまっていていいのか?

あ、なんか黒いモヤがわたしの中で生まれている気がする。

……いやだ。

だからそのことは考えない。

「ごめんごめん。君の食べる姿を見るのが大好きなんだ」

そう言ってお茶に手を伸ばしている。

フランツは口がキレイなようで、ある程度食べるとパタっと食べなくなる。

でも今日はそこまでも食べてないと思う。

テーブルの上はもふもふたちによって、すごいスピードで空になっていくけど。

「これはフランツ好きそうだよ。ちょっと苦味のある野菜を焼いたやつだから」

「え? どうして苦味のあるものが好きだと?」

「何度も一緒に食事してるんだから、わかるよ」

わたしは野菜サラダで口直しだ。

次はあのトロッとしたお肉食べようかな。

「そうなんでちか? おいらの好きなものわかるでちか?」

「アオは角煮が好きだよね。あとはサラダ」

角煮はどっちかというと脂身が好きなようだ。

『わかる?』

『わかるのか?』

「クイは卵、アリはチーズ」

『私は?』

「レオは赤身のお肉」

っていうか、レオは本当は魚が好きなのかなと思う。身のしっかりした魚が。お魚だと食べる速度がアップするから。

それでお肉になると赤身の部分になるんじゃないかな。

ベアがつぶらな瞳で見ている。

「ベアは蜂蜜!」

これは絶対だ。いつも上品な食べ方なのに、蜂蜜が入るとお皿舐めちゃうもんね。

『我は?』

「肉!」

もふもふはお肉丸ごと好きだもんね。

みんな嬉しそうにして、食事を再開した。

食べた食べた! お腹がいっぱい。

フランツがベルを鳴らすと、空になったお皿を下げて、テーブルの上をキレイにし、そして紅茶とお茶菓子を置いて、給仕の人たちは出て行った。

みんながまたリュックから出てくる。

「神話同好会に行った時の話を、詳しく聞かせてくれる?」

紅茶を一口含んで、フランツが首を少し傾ぐ。

わたしは思い出しながら、その時聞いたことを話した。

「あれ、アダムとだけかい? お遣いさまは?」

「あの時はリュックの中で休むって言って、ぬいたちと一緒に」

フランツは珍しいものを見るようにもふもふを見た。

もふもふは顔の毛繕いをしている。

「リディーが後から話してくれた、原罪の女神の話。やはりそれが禁忌の神話かもしれないね」

魔物ぬいであるみんなを気にしてか、フランツは原罪の女神の話という代名詞にしたみたいだ。

「わたしもそう思った。それと、わたしがどこでそれを知ったかを含めて保留だね。これ以上は上位の神官でないとわからないことみたいだし」

フランツも重たく頷く。

あまり知られていないことで、わたしが弁護士から聞いたことだとしたら、その情報を手繰っていけば弁護士に行き当たるかと思ったけど、そう簡単ではないみたいだ。

「バッカスのことに進展は?」

今度はわたしが尋ねる。

ぬいたちもそれぞれに毛繕いしていたけど、一斉にピクッとした。

「残念ながら進展はなしだ。けれど、ロサ殿下がやっと聖女・アイリスさまと会談することができた」

これはどう反応すればいいんだろう?

ロサと聖女さまが会うとなんかいいことあるの?

わたしがどっちつかずの顔をしているのがわかったのか、フランツが言葉を足した。

「聖女さまの未来視はキーワードによって、広がりもするし、〝ピンポイント〟でわかることもある」

この頃みんなはわたしの使う〝異世界語〟を取り入れるのにハマっている。

「殿下が終焉にバッカスが関係しているかもしれないこと。カザエルの血を引くものが組織にいたことを伝えたはずだから、未来視で何かわかってくるかもしれない」

なるほどね。

「それじゃあ、あとできることって言ったら、瘴気をどうにかすることだね」

「え?」

フランツに驚かれて驚く。

「え?」

なんで驚くの?

「瘴気をどうにかするって、リディー。初代聖女がどうにもできなかった瘴気だよ? 世界で一番の魔力の保有者でも間に合わなくて、封印の陣を使ってやっとのことで閉じ込めている瘴気だよ?」

「うーーーん、わたしが忘れている常識から間違っていることがあるかもしれないから、教えて欲しいんだけど」

フランツは頷く。

「世界で魔力量が多いのは、ユオブリアの陛下なの?」

「ツワイシプ大陸で生まれたものが魔力量が多い。ユオブリアの王族は代々魔力量が多い。もしかしたら公けにしていなくて魔力量がずば抜けて多い人がいるかもしれないけれど、公式的には陛下が一番なはずだ」

「陛下が生まれるまでは、その魔力量が多くなるまで?っというか使えるようになるまでってことだけど、どうやって封印を守っていたの?」

「もともと封印された瘴気は、地形の魔法陣で守られているそうだ。それに王族の方々の魔力を足して封印している状態らしい。陛下の魔力量が多いからそこに頼っている部分があるけれど、他にも王族はいらっしゃるからね」

「王族じゃなくても、魔力があればその封印する手助けをできるの?」

「はっきり聞いた訳ではないけど、初代の聖女さまが最初に封印したはずだから、王族でなくても大丈夫だと思う」

「魔力量が多い人がやっても平気なら、なぜ封印が解かれるようなことになるの?」

フランツは、ああそれかという表情になった。