軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第848話 潜入⑫報告

隠れ家に戻ると、キースさんたちの〝蜘蛛の巣〟討伐チームも報告のために帰ってきていた。

派手に壊してきたそうだ。

こちらのことを話すと、深刻な顔になる。

〝蓮の葉〟ではわかったことも多いけど、トップが不在だったので残りの人たちはやらされている感満載。警護をしていたとか、魔石を洗っていた、移動させていたなど実働していたことしかわかってないみたいだ。でも自分は組織の中で上の地位にいると、なぜかみんな意識が高いので、そこは不思議だ。

なんで上の地位にいて、自分たちの施設が何をしているかの全体像が掴めていないんだ? それは言わないようにしているだけかもしれないので、これから口を割らせる〝エキスパートな部隊〟にそれを任せるそうだ。

口を割らせるエキスパートって、おっかねー。

そして、みんなタフだな。

わたしなんか移動は常にもふもふに乗っていたのに、十分な睡眠をとっていないからか、かなり眠い。

でも話は聞いていたいし、眠るのは怖いので、頑張って起きている。

基本方針は変わらず〝蓮の葉〟を落としたことは隠して、トップが帰ってきたところを狙うようだ。問題はいつ帰ってくるか。3日後の納期までに帰ってくれば一番いい。その後とりあえず納品はするけれど、短い時間で壊れる玉を収めるわけだからいつ発覚するかわからない。最短では納品したその日にわかってしまうからもしれない。そしてバレたら戻ってくる馬鹿はいないだろう。行方が掴めなくなってしまう。

今度はもっとバレないよううまくやるだろうから、組織を潰すのは難しくなる。何がなんでもそのトップを押さえたいところだ。

そこでわたしの案が採用されることになった。

移動している間、伝達魔法の水色の鳥が飛び交っていたから、誰かと話を進めているのだろうと思ったけれど、思ったより遥かにしのぐことが決まっていた。

まず、フォルガードの王族が協力してくれるというから、本気で驚いた。

フォルガードとユオブリアは友好国同士だそうだ。

ユオブリアがバッカス討伐に乗り出した時、フォルガードも協力体制を取っている。発端となった貴族令嬢が拐われ、その兄妹たちが特にエレイブ大陸で活動するときは兵を出しているようだ。

あくまで協力体制をとっているに過ぎなかったけれども、バッカスはフォルガードにも巣食っていた。それも王都に。王はこれをとても重たく受け止めたそうだ。

フォルガードの元締めを捕らえるのに協力は惜しまないとのことで、加護玉を欲しいという王家を演じてくれるという。

シナリオ的には、〝蜘蛛の巣〟を潰し、そこのものたちを捕らえた。そこで加護玉のことを耳にして、自分も欲しくなってしまったという筋書きだ。

すごいよね、王族が手伝ってくれるなんて。

っていうか、加護玉が欲しいって需要を訴える窓口がわかっているわけ?

だったらそこから何かつかめそうじゃない?って思うんだけど。

それは別ルートで、あることをしておくと相手から連絡が来るらしい。ま、その方法をつかんだのがすごいよね。司法取引みたいなのをして得た情報らしい。

で、みんな明日からやることが盛り沢山で忙しいそうだ。

わたしは隠れ家でおとなしくしているか、フォルガードの王宮に行くかどっちがいいかを聞かれ、隠れ家でおとなしくしていることを選んだ。

王宮に行くなら王子殿下に合わせてやるぞって言われて、ちょっと興味はあったけど、知らない人は怖いから。

わたしに課せられたのは、精霊の入った玉をもふもふと一緒に見守ること。時々光魔法をかける、これはわたしにしか出来ないらしいので重要任務だ。

ひと段落すると、わたしは2階に行って休むように言われた。頷かないと、フランツに少し強く言われる。

「君は休むんだ」

「いい、眠くない」

みんな含み笑い。

「まぶたが閉じそうだよ?」

アダムが笑いを堪えながら言った。

わたしも眠いんだ。眠りたいんだ。

でも興奮しているっていうか……。

それになんか怖い。

「……まだみんな何かするんでしょ?」

「各自やることが終わったら眠るよ」

ロサがにこりと笑う。

「……わたしも」

おずおずと言うとフランツに遮られる。

「私たちと君では体の大きさが違うだろ? 君は疲れてる。眠るべきだ」

疲れてるは疲れてる。それに眠い。けど……。

「だって、起きたとき、どっか行っちゃってるんでしょ?」

「僕たちがいなかったら寂しいの?」

アダムがからかうように言う。

「うん。寂しいし、みんながいないのは怖い」

素直に言葉にすると、みんな奇妙な顔をしていた。

「これはクルな。素直すぎるぞ、フランツ」

アダムがフランツにエルボーしている。わたしが言ったのに、なんでフランツに?

「……出かけるけど、絶対に帰ってくるよ」

とロサ。

「もふもふたちは、とても強い。君を絶対に守ってくれる。一人にしたりしないよ。ガーシやシモーネもそばにいる。君がここで安全に居てくれたなら、わたしたちもここに帰ってくることができるんだ」

『我が離れずにいる』

フランツに続いて、もふもふが言ってくれた。もふもふぬいたちもだ。

だからわたしは頷いた。

みんなが忙しくしている中、わたしだけ暇で気が滅入る。

ひとつだけ朗報があって、フォルガードが加護玉が欲しいとアピールしたら、連絡がきたそうだ。

加護玉は需要が多いが、条件次第で融通することは可能。加護玉を量産するにはある者の協力が必要で、その者が現在フォルガードの王宮にいるはず。わかっていますよね?と。その者を王宮から出してください、あとはこちらで回収しますとのことだそうだ。

そういう連絡が来るってことは、〝蓮の葉〟のことはバレてないみたいだ。

ただ引き渡しになると思っていて、そこで捕まえられると踏んでいたから、そうじゃないのがネック。

どうするつもりなのか聞いたら、荷物にネックレスを忍ばせて、餌にして引き回してある場所に誘導。そこで捕まえるつもりだという。向こうも罠かもしれないとは思うんじゃないかな。わたしが思うぐらいだから、きっとみんなもそう思ってなにか対策を立てていることだろう。