軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第833話 作戦会議<前編>

わたしはもちろん〝蓮の葉〟部隊に立候補だ。

「本当に、一緒にいくつもりか?」

ロサに問われて頷く。

「危険だぞ?」

「わたし、知りたい。バッカスが何をしていて、何をわたしはやっていたのか。少し怖いけど、目を逸らさないで、ちゃんと知りたい」

ロサは視線をフランツに投げかける。

「指示に本当に従える? イザークが止めるように言っても君は止めなかった。自分の意思を通したよね?」

その通りだけど……。

「といっても君だけ置いていくことも怖いしね。私から離れてはいけない。もふもふともね。ガーシとシモーネにしっかり守られること。約束して」

「約束する!」

「甘いなー」

とイザークが小声で言った。

『それはみんなだろう』

ん?

もふもふ?

もふもふに視線をやると、もふもふは目を逸らした。

やっぱりもふもふって話せるんじゃないかな?

スーパードッグみたいだから、話すこともできるんじゃない?

話すことの方が、姿自由自在より簡単な気がするよ。

夜寝る前に検証してみよう、うん。

レストランの食糧庫で別れた、フォンタナの戦士たちも、三々五々に屋敷へ集まってきた。

そこで作戦会議が始まる。

概要からだ。

バッカスと呼んでいる組織は、各大陸、各国にひっそりと活動している。

まだ一部のことしかわかっていない。

墨一色で描かれた、特徴のある形の葉っぱと線香花火みたいな花? 実?のイラストが配られる。

それが組織の一員の証明で、この花の絵が体のどこかに刻まれているそうだ。商品などにもこの絵を簡略化したものを印鑑のように使っている。

これはバッカスの花。希少なグレーンだそうで、これで作ったワインは高価らしい。ぶどうの一種ってことかな?

その組織のシンボルマークからとって、便宜上そう呼ぶことにしたそうだ。

バッカスは犯罪のレシピを売り、莫大な収入を得ている。

レシピ通りうまくいくように、魔法を込めた魔石〝玉〟でサポートをする。

子供を拐ってきて、わずかな食事と居場所を餌に、魔法を玉に込めさせる。魔力を搾取しまくっている。現在潰してきた組織施設では、非人道的な生活をさせられていた子供たちがほとんど。拐われた子供たちが多い。一刻も早い保護が必要である。

その者たちを管理する大人は〝看守〟と呼ばれる。

〝玉〟になり得る魔石のことは、よくわかっていない。

魔石は魔物の核であり、命を落とした時に、この核だけを現世に残していく。

普通の魔石は魔法を込められるような耐久性はなくて、そうしようとすればすぐに割れてしまう。

特別な魔石を手にしたか、何か耐久性のある魔石にする方法を見つけたのだと思われる。

フォルガード内のわかっている組織の施設は2つ。王都にある〝蜘蛛の巣〟と〝蓮の葉〟だ。

〝蜘蛛の巣〟は玉に魔法を込めさせる要員の住処としているところで、〝蓮の葉〟はその玉と呼ばれる魔法を込められる、耐久性のある魔石を出荷する倉庫ではないかと思われる。

どちらの施設も事情を知りたいことから、全ての人を捕獲したい。〝蓮の葉〟が読みどおり、玉になり得る魔石の出どころであるならば、その魔石を押さえれば、バッカスの組織は崩壊するのではないかと期待している。

彼らはお金に群がっている集団と思えるからだ。莫大な収入となるから組織として動いているが、儲けられないとなれば続かないのではないかとの見通し。

でもそれは今までに捕らえることのできた看守から、聞いたことを総合して予測していることであり、確かではない。

バッカスを取りまとめる、一番上の者が誰かはわからない。

看守もそれぞれの施設の一番上の者までしか知らなくて、さらに一番上の看守がつかまっていないので、まだわかっていない。

そして最新情報で、捕らえた者だけにしてその様子を録画していたところ、一部の人が外国語で話した場面があった。そしてそれはカザエル語だった。

そう告げられた時、皆が息をのんだ。

何? カザエルってのがびっくりワードだったの?

わたしが手をあげると、ロサは驚いたようだ。

「ど、どうした、トスカ?」

「カザエルって何?」

「……ああ。滅んだ国の名であり。現在では共和国となるときの反乱分子の武装集団のことを指す。彼らは今は亡き国の言語を愛していて、仲間内ではその言葉で話す。それがカザエル語。カザエル語を使っていたということは、現カザエルがバッカスの組織に紛れ込む、いや、カザエルの者がバッカスを作ったのかもしれない。犯罪レシピを売るだけでなく、あの残酷無慈悲な武装集団がバッカスなのかもしれない」

ロサが軽く目を瞑る。

みんなさっきから真剣に話を聞いていたけど、さらにシーンとする。

動揺してるみたいだ。

でもそっか。お金に群がっている人たちなら、〝玉〟がなくなれば散っていくだろうけど、民族で、そういう繋がりの人たちだったのなら、勝手が違うのかもしれない。

「それからいずれ出てくる情報だが、先に知らせておく。

聖女が覚醒した。聖女候補のアイリス嬢が聖女になられた」

ホワーっと場が沸く。

「公式な発表があるまで口にはしないでくれ。それから……」

ロサはいうのを躊躇っているように感じた。

「これもそのうち正式に各家に通達され話を聞くと思うが、ユオブリアは3年の間に国外から攻撃を受ける。城下に封じている瘴気が抑えられるかどうかの戦いになるかもしれない」

「そ、それはどういうことですか? 瘴気を抑えてくださる王が?」

小柄な人が口ばやに尋ねた。

「未来のことだから、はっきりしたことはわからない。可能性として高いことを、今私は皆に伝えている」

「そんなー、瘴気が抑えられなくなったら?」

あれ、瘴気って、わたしにもなんかよくないものじゃなかったっけ?