軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第789話 敵影③あってはいけないこと

子供たちに指示を出し、アオたちに子供たちを守るようにお願いする。

フォンは切り、そして次にblackのシゲさんにケータイをかける。

闇仕事人の相手をするとなると、blackの人たちが最適という気がした。

わたしは事情を話し、彼らを助け出したいんだと相談する。

「若から、嬢ちゃんの依頼は最優先してくれって言われてるからな。嬢ちゃんは現場に来ないでくれ。俺たちが殺されるから」

え、兄さまってば、blackに何を言ってるの?

「王都の家に連れて行けばいいんだな? 子供は5人、心得た」

そんなわたしの心の葛藤に気づかず、シゲさんは快く引き受けてくれた。

連絡を入れておいてくれた、兄さまにも感謝だ。

続けてアルノルトに。明日子供5人が行くから、裁判まで匿うことをお願いする。

あとは父さまと相談だね。

忙しいのはわかっているけど、ハウスさんに頼んでルームに来てもらった。

父さまにヴェルナーについてわかったこと、それからこれから起こるだろう推測できることを話した。

途中から父さまは腕を組み眉根を寄せながら聞いていた。

「リディー、ここからは父さまに任せてくれるか?」

「父さま、わたしは領地で無敵よ。町にいたい」

「駄目だ。リディーは町外れの家にいなさい」

「ヴェルナーはどんなふうに仕掛けてくるかわからない。町にいればわたしが抑えられる」

「リディアにはやることがあるだろう? 北の聖域で待つとグレナンの生き残りに布告してある。リディアはそちらに全力であたりなさい。

それから、魔具の威力を微々たるものにしたのは上出来だ」

父さまに頭を撫でられた。

でも、わたしが町にいるのは許されなかった。

気持ちを切り替える。

ヴェルナーの企みについては、父さまたちに任せよう。

わたしは、いつでもナムルの考える〝聖域〟に行けるようにしていたし、ハウスさんにも領地に気をつけてもらっていた。

次の日、アオから連絡が入る。

ヴェルナーが闇ギルドを訪れ、子供たちの作った魔法玉を持ち帰った。

それを確認したblackがギルドに入り、子供たちを連れ出す。アオとクイは子供たちと一緒に回収。王都の家へと運ばれた。

ベアは、レオとアリに合流し、ヴェルナーの動向を見ていてくれる。

blackは子供たちを保護したところで、騎士にあそこの地下で悪いことやってますと通報してくれた。例の山崩れを起こした魔具はあそこで作られたようだと。

騎士たちは魔石の数々と、男たち数人を捕まえた。

もちろんそれだけで、山崩れの証拠としてはなり得ないが、これからヴェルナーが同じ出どころの物を使ってウチを攻撃してきた場合、今回の攻撃、そして山崩れのことへの立証につながると思っている。

ヴェルナーは速配を頼んだ。その先がフォルガードだというから、わたしは急いで、父さま、ウッドのおじいさまに連絡をした。それからロサに頼んでフォルガードの第5王子・ラストレッド殿下に連絡を取ってもらい、現地のわたしの店への警護などをお願いした。

領地に仕掛けてくると思っていたのに、ヴェルナーが魔石を送ったのはフォルガードだった。フォルガードにはRの店がある。威力は抑えたものにしてあるとはいっても、店で玉がブレイクしたら、従業員やお客さんが怪我をするかもしれない。危険物が送られた可能性があると店のマネージャーに伝えたので、開けたりはしないけど。遠くから操作されてブレイクしたら困るので、魔法士の対応をお願いした。

打てる布石は打った。

あとはどう仕掛けてくるか、ヴェルナー次第。

ヴェルナーが動き出した。〝北〟に向かいだしたという。

ヴェルナーがこちらに向かっているとして、到着するのは早くて8日後だ。

他の人を動かし、自分の手は汚さないイメージがあったので、変だとは思ってた。ただヴェルナーは最低でも8日は来ることはないと思っていたから、多少の油断はあったかもしれない。

ハウスさんからミニーが来たと報告を受け、わたしは家から飛び出した。

わたしが町に行くのは普通にあることだけど、ミニーがここまで来るのはなかなかないことだからだ。

「ミニー!」

走り寄る。ミニーは泣きそうな顔をしている。

「ミニー、どうしたの?」

「リディア、どうしよう。あたし、どうしたらいいのかわからないの」

「落ち着いて、お茶を用意するわ」

「リディア、外で話を聞いて。誰にも言わないで」

わたしはミニーを安心させるために、うんと頷く。

「どうしたの、ミニー?」

「リディア、見られているの。ゆっくり、何もないように歩いて」

探索を使う。近くに知らない人の点があるが、赤い点ではなかった。

「アプリコットが人質に取られてる。あたしはリディアを呼んで来いって言われたの。ごめん」

「どこに?」

「川の近くにある小屋」

探索の範囲を広くすると、川原に知っている人、知らない人の点が現れた。

ミニー以外に3人の人がいる。

「ミニー、もふさまを抱っこして」

「え? ええ」

ミニーは立ち止まってもふさまを抱っこした。

わたしは心の中で呼びかける。

ーーハウスさん、聞こえる?

『マスター、聞こえます』

ーー川岸にある小屋に、人が何人いるかわかる?

『…………ふたりです。ひとりは成人した男性。ひとりは少女、シュタイン領のアプリコットです』

ハウスさんはさすがだ。知っている人なら、誰だかもわかる。

ーーどんな状態? アプリコットは縛られたりしてる? 男性はアプリコットの近くにいる?

『男性は小屋の中を歩き回っています。アプリコットは手足を縛られて椅子に座っています。マスター、3時の方向の木の影に男が潜んでいます。マスターたちの様子を見ています』

ーー父さまに連絡を取って、この状況を伝えて。それからレオに連絡を取って、ヴェルナーが今どこにいるかを探ってちょうだい。

『YES、マスター』

「ミニーどうしたっていうのよ? そんな焦らなくても、小屋は逃げないわ」

そうよ、ヴェルナーは自分の手を汚さない人。

なんで彼が来ると思ってしまったんだろう?

彼は全てをなかったことにしようとする人だ。

男2人の制圧と、アプリコットの救出。どちらもハウスさんだけで十分足りるけど、何か奥の手を持っているかもしれない。

うかつに動けない。

レオがケータイをすぐ取れるといいんだけど……。