軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第524話 狐福③大移動

「カンタと連絡が取れれば、みんなに知らせることができると思うんだけど……」

「伝達魔法を使える? それでカンタに連絡できる?」

「カンタは魔力が高いから……できると思う……」

「ウチからタニカ共和国のある場所に行くことができる。その場所からユオブリアに来られる。シュシュ族は強いの? ダンジョンに住むこともできるし、人として暮らすなら何か考える。聖域を守っていたなら、あなたたちはシュタイン領の後ろの山脈に入れるかもしれない。ワーウィッツのことはどうにかできるかわからないけど、狩られているなら、しばらく避難した方がいいと思う」

「避難?」

「そう、避難」

そういうと、狐は頷いた。

伝達魔法の魔具を渡して、カンタに体制を立て直すために避難、タニカ共和国に集合と連絡を入れてもらう。

タニカ共和国には行ったことがあり、集合場所を決められるとのことだ。

それがルームのあるところから、あんまり離れてないといいけど。

もふもふ軍団が狐に付き合うと言った。

みんながいれば安心だね。狐だけじゃ心許ないから。

兄さまの別荘であるタニカ共和国のルームに出て、待ち合わせ場所へと向かってもらう。

わたしはこんな時間だけど、ロサに伝達魔法を入れた。

出どころは言えないが情報を入手。ワーウィッツがわたしのユニコーンの角の検査の文書を見たようだと。

神聖国を女王をたて再建しようとしていること、これはユオブリアへの牽制でもあるよね。ユオブリアを狙っている外国のひとつだろうと決まりだ。

アイリス嬢からいくつかの外国に、ユオブリアが攻撃されるってことを聞いていればロサの中で繋がるだろう。

秘密文書を見たということは、それを見せた人がいるということだ。

そこらへんを調査しておいて欲しい。

敵は見極めておかないと!

明け方、アオに起こされる。

シュシュ族が半分くらい集まったそうで、第一陣としてサブハウスに連れて行ってくれたそうだ。

「ありがとう、夜通しだったんだね、眠いでしょう?」

アオは首を横に振る。

「どうするでち?」

とりあえず、着替えてサブハウスに移動する。

みんな庭にいるという。窓から覗き込むと、やーーーーーん、狐牧場!

至る所に狐がいる。いる、いる、いる!

大きな尻尾で自身を包んでいる。

いやー、壮観。庭が狐で埋め尽くされている。

と感動しているところに、第二陣がやってきた。

やーーん、とりどりの狐!

「リディア」

おお、先生に名前を呼ばれた。

一族と会えて嬉しそうだ。

「怪我した子はいない?」

「あっちに」

わたしは挨拶をそこそこに、手当てをする。

そこまでの怪我じゃなかったので、薬をつけた。

それから食べ物を出した。

食べてもらっているうちに、聖水入りのお風呂を用意して、ご飯の終わった人から代わりばんこに入ってもらう。

狐が長老を連れてきた。

長老狐はわたしたちに深く頭を下げた。

「この度は、我々シュシュ族のためにご尽力いただきましたことを感謝いたします」

「手狭なところにご案内して申し訳ありません。とりあえずあの山から遠ざかるのがいいと思いましたので、こちらに来ていただきました。これからのことは相談して決めていきましょう」

「ありがとうございます。この粗忽者がご迷惑をかけたのではないかと心配です」

あはは、わかってるんだね。長老は続ける。

「よくしていただき、できる限りのことはなんでもいたしますが、私たちは何も持っておりません。ご好意に報えるか心配でございます」

「それなら、落ち着いてから、答えられることだけでいいので、わたしの質問に答えてください。教えていただきたいことがあるのです」

そういうと、長老はゆっくり頷いた。

わたしはみんなに、狐でいたいのか人として暮らすのか考えながら、どこで暮らしたいかを決めて欲しいのだと言った。シュシュ族と表に出すのか秘密裏にするのかも。

わたしが考えている住処は、ミラーダンジョン。このサブハウスの周り。それからシュタイン領の後ろにそびえる山脈。ちょっと行ってみてもらわないと住めるところかどうかわからないだろうけど。山に住んでいたというし、寒いのが好みみたいだからちょうどいいのかなと思ったんだと話しておく。

もし人としてどこかに住みたいというなら、シュタイン領でよければ父さまに話してみると伝えた。

さすがにこれだけ数が多いと、あと一食分をおいたら収納ポケットも空になりそうだ。

いっぱい食べ物を仕入れてこよう。

学園にも行かなくちゃいけないので、もふもふ軍団にこの場を任せる。

もふもふ軍団は食べ物は、これからの食材はダンジョンで取ってくると簡単に言った。

そっか、その手があったか。

わたしは学園があるのでと、みんなに任せてもふさまと戻った。

朝ごはんに戻ると、アルノルトに狐のことを聞かれた。もふもふ軍団と一緒にサブハウスへ行っていると話した。シュシュ族のことは決まってから伝えよう。話は長くなるから、全部伝えていたら遅刻しちゃう。

そうして学園で隣のアダムの顔を見て……。

逆情報もありだね、と思った。アダムは愛国心もあるしね。愛国心っていうか、第一王子を信頼して、そして心の拠り所にしているのだろう。

そう思えば狐を思い出す。あの子狐?とアダムは方向性は違うけど、似ているのかも。主っていうか信じるものを決めたら、そこから揺るがないところが。子狐の方は、ただ信じる、慕う、だけど。アダムは信じられることに修正していくように自分が動く。そこが違いかな。

「なんで熱い視線を送ってくるの?」

アダムがわたしを見ていう。

「似ている方のことを、思い出していたの」

ほほほと笑っておく。あまりにもみつめすぎてしまったようだ。

「僕に似ている人なんて、巷にはそうそういないと思うけど?」

「顔じゃないよ、根っこのことよ、根っこ」

「根っこ?」

「追加で、ワーウィッツ王国のことで分かったことがあったら教えて」

アダムの瞳が右上に動く。

「ワーウィッツ王国? ミーア王女のこと? 彼女がブレドの婚約者候補になることはないよ」

「そうなの? なんで確信してるの?」

「なんだ王女には興味なさげだね。ジュエル王子の方? 毛皮を贈ろうかって言われたんだって? 狐の襟巻きでも欲しいの?」

何気ないアダムの切り返しで、一気に気持ち悪くなる。

「どうした? 具合悪い?」

アダムが鋭く尋ねてくる。

わたしはバッグから出すフリをして、収納ポケットから出した聖水を少し飲んだ。

アダムが心配げに見ているので、セイヤくんから聞いた話をそのまま伝える。それ以来、傷を負った狐が命を落とし、人へと姿が変わって……と、そんな場面が見えてくるようで、胸が悪くなるのだと。

「君、なかなか繊細だね」

アダムが気の毒そうにわたしを見た。