軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第454話 シンシアダンジョン①転移門

朝、6時起きだ。

ダンジョンに行くことになったので、昨日はラエリンたちと寮に戻った。

今日は寮の門前までアルノルトが、馬車で迎えに来てくれることになっている。ラエリンとロレッタもしっかり起きてきて、わたしたちは挨拶を交わした。

おばさまたちがラエリンとロレッタの冒険者装備を整えてくれたので、格好も決まっている。フォンタナ家では、相変わらず女の子が生まれないようだが、わたしとエリンがいるため、女の子の物を買うのにためらいがなくなった。わたしたちも相当いろいろいただいているけれど、物は増える一方。昨日はラエリンとロレッタの着せ替えを嬉々としてやっていた。わたしは一通り揃っていると辞退した。

男の子たちはケラたちのお下がりを見繕ってもらっていた。

ラエリンとロレッタは、普段はナイフを持って狩りに行くと言っていたから、以前ドロップしたけれど売っていなかったショートソードを使ってもらうことにした。

ちなみに馬車での移動は女の子たちだけだ。男の子は兄さまたちと転移門まで歩いて行っている。

わたしは転移門は初めてなので、どんなものなのかなと想像を膨らませていた。寮から6地区にある転移門まで、1時間ぐらいでついた。みんなもう揃っている。

アルノルトにお礼を言って、みんなと合流する。お、ケラもいる。

出揃ったことを確認すると、転移門に並ぶ。朝早いからまだそこまで並んでいない。班分けされていて、そのリーダーがそれぞれ料金を立て替えてくれているようだ。

わたしは父さまと兄さま、ラエリンとロレッタ。フォンタナ家では珍しく無口なジオ、それからムードメーカー的存在のガーシともふさまの班だ。

〝門〟というから、言葉通り門を想像していたのだけど、並んだ先に土俵みたいのがあるだけだった。変わった襟のついた制服を着たスタッフさんは魔法士なのだろう。長い杖を持っていて、それで何か作業している。

前のグループの人たちが通されて、白線の円の中に入った。魔法士さんが杖で何かすると、地面に描かれていた魔法陣が青く光り、人が消えた。

父さまは魔法士さんに行き先を告げ、みんなの代金を払った。促され、わたしたちも円の中に入る。ラエリンとロレッタは手を繋いでいた。わたしはもふさまを抱き上げる。

同じように魔法士さんが何かをすると、一瞬で景色が変わり、街中のようなところに出た。こちらも白円の中にいた。

「白い線から出て、こちらにいらしてください」

言われて、そちらに向かう。転移と同じ感じだ。少しだけ内臓がついていけない違和感がある。

ラエリンとロレッタは物凄く感動している。酔ったりはしていないようだ。

転移門から離れ、町から出た。見上げると高い塔が見えている。これから行くダンジョンだそうだ。お喋りしながら歩いたので、あまり疲れは感じなかった。

ダンジョンの周りには何軒か屋台が並んでいた。そこに人が群がっている。

ダンジョンに入る列に並びながら朝食をとる。配られたのは、パンと卵だ。

燻製卵だったので、味が深くなっていておいしい。

モシュモシュと口の中に入れ込んで食べた。

我がD組男子たちは……どうしているかな?と目をやれば、班ごとに固まっていた。

イシュメル、アダム、ロビ兄、ケラ、監督役であるリーダーはフォンタナ男爵の第一子であるパオロおじさまとその子であるシモーネだ。

アダム、体弱いくせに大丈夫なのかしら? 体が弱いのは触れ込みなのかな? ダンスは結構ハードに踊れていたものね。

オスカーとニコラス、アラ兄、フォンタナ家のビクトン、にはフォンタナ家の第3隊長のティガさんとその腹心とホメットさんがついている。

リキ、スコット、レズリーにはフォンタナ家の第1隊長のジョインさんとキースさんとフリオットさんがついていた。

ケラのクラスの子を一度ダンジョンに連れて行ったことがあるメンバーだそうだ。

男の子たちは少し緊張しているように見えた。腰にはみんな短剣をさしている。わたしは誰も怪我をしないように、ひっそりと祈っておいた。

少しぼーっとしていたら、間を開けていたようで、ロレッタに引っ張られる。

後ろに並んでいた人が呟いた。

「子供が多いな」

ふと見ると、眉根を寄せていた。

「これも運だ」

失礼ね。別に迷惑をかけたりしないよ。

ロレッタが小声で言った。

「どこの国の人だろうね?」

え?

外国語だった?

ユオブリア語で聞こえたぞ。〝翻訳4〟のレベルは変わってないはず。

わたしは少し考えて、心の中でタボさんに、翻訳が発動する時、訳すのはそのままに、ただどこの言葉だというのは教えて欲しい旨を伝えた。

気になって普段はやらないんだけど、そのふたり組に鑑定をかけた。

ラジ、25歳。職業:傭兵

イダ、26歳。職業:傭兵・魔法士

傭兵か。ダンジョンにねぇ……。

後ろの人たち、また喋らないかなと思ったけど、それ以降は話さなかった。

最初のグループがダンジョンに入っていった。ラエリンとロレッタは「緊張するー」とすっごく嬉しそうにいう。いや、全然緊張してないよね? 喜んでるよね?

わたしたちの番になった。わたしは父さまの連れで入る。他の人たちは各々カードを見せる。ラエリンたちは低レベルなので、父さまたちと一緒のパーティだね?と念を押された。ガーシが俺たちがいるから大丈夫だと請け負うと、気をつけてと送り出してくれた。フォンタナ家は顔が広い。

塔タイプのダンジョンの1階は草原エリアだった。

わたしがダンジョンに初めて入った時のように、ラエリンたちはキョロキョロして歓声をあげている。

「姫はいいけど、ラエリンとロレッタはここでマモメット倒してみてくれ。どれくらいの腕か見たいから」

「「姫?」」

あ。

ガーシの言葉に、ふたりは揃ってわたしを見た。

うっ。

「一族のいち姫だから、姫だ」

ガーシが嬉しそうに言う。

ああ、もう、姫呼び禁止令を出しておくんだった。

「そうだったんだね、姫」

「姫か……」

ふたりはニヤリとしながらわたしを見る。

「忘れて」

訴えたが、ふたりはますます生あたたかい眼差しで、わたしを見るのだった。