軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第451話 祭りの終わり

完売したとのことで、部室を閉めることにした。

部長もユキ先輩も喜ぶだろうな。

エッジ先輩は通常運転だ。

最後ほとんど手伝ってないので謝ったが、残り少なかったから問題ないとサラッと言われた。軽く掃除をして、部室の鍵を閉める。

エッジ先輩とはそこで別れた。

お祭りの終わりの時間が迫っていた。

一応、将軍孫に、最後にどこか見たいところがあるかを聞いた。

学園内にお気に入りの場所があるかを聞かれる。なんとなく頷けば、そこを見たいという。ロビ兄と顔を見合わせ、池を見せることにした。

「ここが君たちの、お気に入りの場所?」

水場があると心が落ち着くのか、平和的なほっこりしたところが気に入っているんだとロビ兄は言った。

将軍孫は目の前にある池を、遠いところにある何かを見るように見ていた。

しばらく無言で池の前で佇んでいたが、ふっと息を吐き出した。

「妖精とその兄、今日は無理言って悪かったな。仕方なくだったのに、気を配ってくれたおかげで楽しかった。感謝する」

将軍孫は胸の前で左の掌にパンチを繰り出す、ガゴチの礼をした。

わたしとロビ兄は顔を見合わせる。

……悪い子じゃないと、反応に困る。

「じゃあな!」

将軍孫は片手をあげて、踵を返した。

カラーン、コローン、カラーン、コローンといやにノスタルジックな鐘の音が響く。

「間もなく閉門の時間です。本日のご来園、ありがとうございました。

学園祭を終了し、後夜祭に移ります。園生は片付けをし、後夜祭の準備に取り掛かってください。」

アナウンスが響いた。

「何事もなくてよかった」

小さくなっていく背中を見ながらロビ兄が言った。

「一緒に来てくれてありがとう」

「兄さまもリーの護衛をかって出たけど、父さまがオレにしたんだ」

そうだったんだ。

「さ。これから、終わりの始まりだ」

「終わりの始まり?」

「片付けして、学園祭のシメ、後夜祭の始まり」

あ、だからエッジ先輩は片付けはもう終わってるって言ったんだ。

そっか、片付けか。教室と、寮の屋台を片付けなくちゃ。

あ、あのテントたためるのかな。

わたしが屋台に行くというとロビ兄が送ってくれた。

コンロやテーブルはすでにコンパクトにして寄せられていたが、テントは組み立てるより解体の方が難しそうだ。

というか、どう手をつければいいのかわからないムードが漂っていた。

と、わらわらとテント内に男の子の先輩たちが入ってきて……あっという間に解体してくれた。こそっと先輩女子に尋ねたら、ドーン男子寮の子たちだった。ありがとうとわたしたちは声をそろえた。彼らは入ってきた時と同じぐらい素っ気なく、終えればそのまま出ていってしまった。

「いいとこ……あるわね」

ガネット先輩が呟いた。本当だねとわたしたちは笑って、今度男子寮のみんなにクレープを作って持っていこうと決めた。収納ポケットを持つわたしがいるので、片付けるのは簡単だ。すべて収納するだけだ。ガネット先輩たちがテントを返しにいってくれると言ったのでお願いして、わたしたち1年生は教室に向かった。

男の子たちがボードを剥がし、描いた背景の絵をひとところに集めていた。

捨てに行くのかと思って聞いてみると、後夜祭の篝火にくべるという。

「燃やしちゃうんだ」

「後腐れがなくていいだろ」

イシュメルがドライなことをいう。

「またいるときに、作ればいいんだから」

その言葉にわたしたちは頷いた。

片付けて掃除をし、元の教室の状態に戻していく。

篝火を点火するというアナウンスがあった。

リキが剥がした絵を持ってくれた。

第3校舎前の中庭で後夜祭が始まるという。

まだ完全に暗くなってはいないけれど、いつもと違う時間に校舎にいるのは、胸が騒ぐ。腕を組んだり手を繋いだりしながら、中庭へと急ぐ。

篝火ってキャンプファイヤーじゃん!

中央にがっつり木が組み込んであって、その中に薪や学園祭を彩った飾りが燃やされていく。

アナウンスが入る。

「これより、学園祭終わりの儀に移ります。終わりの儀・一、閉会の言葉」

マント姿の生徒会長だ。篝火をバックにみんなに手を挙げた。

終わりの儀は、好きな場所にそれぞれがいるスタンスで許されるようだ。

「始まりの儀にて、私は宣誓しました。国を愛し、先輩たちが創りあげてきた学園を誇りとし、学びを糧にして、友と一緒に精一杯自分の持てる力を出しきると。そしてその通り行動できたと思っています。皆さまにおかれましては、どんな2日間だったでしょうか? 侵入者が学園内にという珍事がありましたが、それも聖樹さまの守りのおかげですぐに捕らえられました。来園数は今までで一番多かったようです。この2日間の経験が皆さまにとって良きものであるよう願うばかりです。最後にいつもと違う夜の学園で、労い、楽しみましょう」

パチパチと拍手が響く。

「終わりの儀・二、清め」

あ、鈴の人たちだ。白い装束の5人の女生徒が、篝火の周りを一周した。

そして篝火を背にして円になる。激しく棒につけた鈴を鳴らしてから、その鈴を地面に突き立てた。

よく見ると、突き立てやすいように、各々の位置で掌サイズの山が作られていた。

「終わりの儀・三、聖樹さまへの祈り」

始まりの時と同じように、生徒会長が聖樹さまのある方に体をむけて、ベレー帽を取る。帽子ごと胸に置いて目を瞑った。

みんなが聖樹さまの方向へ向き直り、そして目を瞑って祈る。

心の中で聖樹さまにお礼をいうと、じんわりと胸が熱くなった。

「終わりの儀・四、踊り」

1年生は先輩たちを真似て参加してくださいとアナウンスが入る。ひとつだけ約束事があり、輪に入る時も出る時も、必ずパートナーと一緒にということだった。

音楽が流れだす。

大きな円ができていく。外側と内側と2重に2列。

オクラホマミキサー?

いや、ステップが違うけど、男女で踊りながらステップを踏み、ペアの順番を変えていく。まるでやねん!

「ステップは簡単だから覚えたら入って」と促される。

ワルツを崩したような感じだ。

向き合ってお辞儀をする。進行方向に向かい並び、右手と右手、左手と左手を取るところも似ている。ツーステップ右、ツーステップ左、ツーステップ右、ツーステップ左。片手をといて、男性側が手を高くあげ、女性がくるっと回る。向き合いお互いお辞儀をして、外側の男性が3歩歩いて、パートナーチェンジ。

シンプルだ。覚えたけど、そう体が動けばね。

「楽しそう、入ろう!」

え? もう?

チェルシーがリキの腕を取って、輪の中に入っていった。

ライラはドムを誘った。

おおっ。積極的だね!

ニコラスがジニーを誘って、またまた輪の中に入っていく。

「おい、いくぞ!」

イシュメルに腕を取られた。