軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第398話 積極的な女子

「ロビン、どうした?」

もふさまの前で土下座しているロビ兄に、アラ兄が声をかけた。

一緒に来たのは兄さまだけでなく、ロサとフォルガードの王子もいた。

うわ、外国の王族だ、やばっ。

わたしはカーテシーをして、目を合わせないように下を向く。

「どうした?」

兄さまも、ロビ兄に声をかける。

「もふさまにお礼を言ったとこ」

ロビ兄が言いながら立ち上がった。

「リディア嬢が来たというから、久しぶりで顔も見たかったし、先に紹介もしたかったから」

「お久しぶりです」

しおらしく挨拶をしておく。ロサは目を細めてから、少し後ろの殿下に声をかける。

「フランツの婚約者だ。1年生。アランとロビンの妹でもある」

「初めまして。ラストレッド・カイトス・ヘリング・フォルガードだ」

「初めまして。リディア・シュタインです」

フォルガードの王子殿下にカーテシーをする。

テンジモノに興味があるのはこの人だ。なるべく近寄らないようにしよう。

「いくら身内と婚約者がいるからと男子寮に来るなんて、ユオブリアの女性は積極的なのですね」

強烈なパンチを喰らう。ハシタナイと暗に言われたので、兄さまと双子が、揃ってラストレッド殿下に不敬な眼差しを向ける。

わたしとしてはどうせ記憶に残ってしまうなら、ハシタナイでもなんでも、隔たりをもってもらう方がいい。

「積極的ですみません。婚約者と兄たちに話があるので、御前失礼いたします」

不穏な目を続ける、ロビ兄と兄さまの服を引っ張る。

「ラス、リディア嬢はそういう娘じゃないよ。ここに来たのも何かあったからなんだろう。リディア嬢、何があったんだい?」

「そうだよ、リー何があったの?」

「リディー、何があった?」

ロサの前で言うのはちょっとなー。

「早急に確認を取りたいことがあり、兄さまから伝達魔法の魔具を借りたいのです」

わたしは伝達魔法を使いたいことだけを伝えた。

「伝達魔法の魔具?」

ラストレッド殿下が小さく呟くと、ロビ兄がぶちまけた。

「リーの部屋に録画する魔具があるみたいなんだ」

「録画する魔具?」

ああ、言っちゃったよ。

「寮母には?」

「……公にするのがいいのかわからなかったので、まずは父の判断を仰ごうと思い、伝えていません」

「どうやってその魔具に気づいたんだ? 魔具に気づいた素振りを見せたか? もしそれを見ていたら、証拠となるその魔具を今撤去されているやもしれんぞ?」

ラストレッド殿下に畳み掛けられる。

「もふさまの中に入っているお遣いさまが、魔具の発する魔力に気づかれました。何かあるのだと思って魔力が発しているところのわかる魔具を翳したところ、もふさまが見ていた方向と一致しましたので、何かがあると確信しました。それで父に相談しようと思い、部屋には魔力がある者は入ることのできない結界石を置き、兄さまから魔具を借りようと思いこちらに来た次第です」

「ユオブリアには多種多様な魔具が存在するのだな」

兄さまが走り出そうとするのを、間一髪でアラ兄が止める。

「兄さま、壊すのはいつでもできる。その前にどうしたらいいか、父さまに確認を!」

「いや、それはシュタイン伯の手を煩わせることではない。これは生徒会が預かる」

え?

「女生徒の部屋にそんな得体のしれないものがあるのだぞ、由々しき問題だ。全てを詳らかにする」

「待って、ロサ。家の問題かもしれないから」

「そうだとしても、学園で起こったことだ」

ロサも熱くなっている。いや、それ話大きくなるよね?

「すべての寮で調べる。衛兵、教師と生活部に連絡を」

うへっ?

すぐ後ろにふたりの護衛が現れた。

ど、どこにいたの? 全くわからなかった。

あれよあれよという間に、教師たちによりすべての寮で魔力を発した魔具がないかが調べられ、わたしの部屋だけで部屋の中を録画する魔具がみつかった。

わたしも留守中部屋の中を撮影する魔具が稼働していたので、それを調べたところ、昨日4年生のドーン女子寮の子が、C組の女生徒を連れて入ってきて、魔具を取りつけるシーンが映り込んでいた。

C組の女生徒はマグノリア男爵令嬢という見たこともない娘だった。すぐさま先生たちは彼女たちを呼び出した。

彼女はどうしてそんなことをしたのかと問われ、伯爵令嬢の暮らしが気になり、ドーン寮でなら簡単に中に入れそうなので、録画する魔具をつけたと言ったそうだ。わたしは当事者なので、その理由を教えてもらえた。

鍵がついているのに、いとも簡単に部屋に入ってくれちゃって!

後日、理由はどうであれ生活空間に許可なくそんな魔具を取り付けたことは由々しき事態であり、良くない行いとされ、退園させられることが決まった。ドーン寮に引き入れた先輩も同罪で、厳しく退園という処分が下された。

ロサの号令で始まったことだし、留学生、しかも王族がいたからだろう、めちゃくちゃスピーディーにことは運び、処分を下されるまでも早かった。

それにしても気味が悪い。マグノリア男爵令嬢は嘘をついているのだろう。一介の令嬢がわたしを監視したがる理由。しかも部屋の中。どういうことなんだろう? 本人の意思なのか、誰かに頼まれたのか、何が知りたくて監視したかったのか。

少しだけ録画されているのに気がつかないフリをして2日ぐらい、平々凡々に過ごして、つまらない映像を見せた方が良かったような気もした。でも思い直す。やっぱりわかっていても撮られたまま暮らすのは嫌だな。うん、これで良かったと思おう。マグノリア男爵家については父さまが調べるというので、それで何かわかることを願おう。