軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第385話 家族間大会議②地図の重要性

え、あの簡略化しすぎて不明瞭で意味をなさない地図には理由があったのか。法で取締るようなことだったのか、びっくりだ。

それじゃあ、アラ兄が水路を作るために描きだすあの地図は……かなりやばいものとなるのでは? 尋ねるとそうだとあっさり肯く。でも水路づくりには重要なことだからと、狭いコミュニティーの地図までなら許されることになり、アラ兄はその第一人者であると認められたということだった。

「ア、アラ兄、危険じゃん!」

思わず叫ぶ。凄いことなのもわかるけど。だって、それは正確な地図はないということだ。それを描き起こせるのはアラ兄だけ。

「いや、あれもいつも遊びにきたふりをしてリーにマップを出してもらっているからできることだし。実際は魔具とオレのギフトの合わせ技で、ギフトで魔力を食うから時間がかかることにしている。実際描き出すのに時間かかるしね。測量からやったらもっと時間とお金がかかるから需要はあるけど、時間はかかることにしているからオレじゃなきゃできないってわけでもない。オレが狙われることはないよ」

そっか。できはするけど、魔力をいっぱい使うから時間がかかるとして、価値を下げて狙われたりしないようにしたんだ、頭いい!

「やり方の〝登録〟は取っているけれど、少し考えれば正しい測量の仕方なんて誰でも思いつくことだし、それを止める手立てはないからね。ただ登録は取っているから、国の事業や、公正明大を謳うような仕事の場合、オレに声がかかりやすいだけで」

そっか、あの水路の事業にはそんな事情があったのか!

「じゃあ、わかったよね? 測量より恐らく正確に地図を作ることができるのは、リーのマップがあるからだってこと。オレよりマップを出せるリーの方が危険なんだよ。だから絶対にマップのこと、明かさないでね」

「あ……はい」

「話を戻すと、その農場で話し合いがもたれたっぽくて、国全土の地図の切れ端が農場にあったからそれがバイエルンさまのしたことだって疑われたってこと?」

アラ兄がわたしからみんなに向き直り、言葉通り話を戻した。脱線させてしまった。

「切れ端の印で特定したらしいんだ。王宮にしかない地図だから、それを手に入れられるのも王宮に入ってもおかしくない爵位の高いものってことで余計に当てはまってしまったみたいだ。私はバイエルン侯爵はそんなことをする人ではないと思うし……何かやるなら徹底的にバレることなく……頭を使う人だと思っている」

「じゃあ、ユオブリアの地図を渡したり、ユオブリアで争い事をしようと相談をしていた人は野放しのままってこと?」

ロビ兄が首を傾げる。

「本当に農場でそんなことが行われていたとしたら、野放しのままということになるな」

父さまが頷いた。

「国も確信はなかった。そのうちに侯爵が亡くなり、確かめられなくなった。もしすぐに戦いが起こったとしたら、亡くなった侯爵は関係ないから、間違いだったということになる。だから一族取りつぶしまではしなかったのだろう」

おじいさまが顎に手をやっている。

「その農場はどうなったんだ?」

「ユオブリアに没収され、その後、メラノ公爵家に買い取られました。メラノ公爵家は土地を買ったあたりからバイエルン家に接触をし、社交界であたりの強いなか、後見についているような立ち位置をとっています」

兄さまは淡々とシヴァに報告した。

「メラノ公爵家というと3代前の王女さまが賜った爵位でしたか?」

シヴァがおじいさまに尋ねる。

「ああ、外国の王族に嫁いだが子供が生まれず辛い思いをされたと聞いたな。それでお相手が亡くなると同時にユオブリアに帰ってきたはずだ。哀れに思った前陛下が爵位を授けたかと」

『では、今の当主は?』

もふさまがおじいさまに尋ねる。

「王女の養子の子供だと思います。今は、4、50代でしょう」

「どうしたの、もふさま?」

『いや、少し気になっただけだ』

「エレブ共和国には人を送ったのか?」

シヴァが鋭く聞いた。

「いえ……」

「では、それは辺境から人をやろう」

「いえ、おじいさま、それはいけません。辺境が調べたとわかったら、フランツの繋がりがわかってしまいます」

父さまが慌てて言った。

『何を調べたいのだ?』

もふさまに尋ねられ、大人たちは顔を見合わせた。

『え、主人さまが行くの? 私も行く!』

レオが楽しいことをみつけたように跳ねた。

もふさまは落ち着きを払って、レオの誤解を解く。

『いや、我は行かん。あのエレブとかの地域は度々眷属から森を壊す危険があるのではないかと意見があった。それで今、眷属には注視するよう言っている』

そういえばもふさまはいっぱいの眷族を抱えているんだよね。ちょろっと抜け出して帰ってきたときに、どこに言っていたのかを聞けば、時々眷族と会っていたって聞いたけれど、わたしが眷族を目にしたことはない。海の主人さまの眷族はお魚に見える魔物だった。地下の主人さまの眷族は……ちょっとゾワゾワする〝虫〟っぽい魔物だった。森の主人であるもふさまの眷族はなんだろう? やっぱりふわふわの魔物かな? と、わたしは一瞬もふもふ眷属に想いを馳せた。

『ついでに知りたいことがあるなら気に留めるようにさせよう。ただし、我は人族に肩入れすることはできぬから、知っていても全ては話せぬがな』