軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第357話 子供だけでお出かけ①了承

「宿題はちゃんと進めているの?」

朝食の席で母さまが子供たちに尋ねた。

「あ」

わたしは思い出して声をあげる。

「リーは初めての宿題だものね、わからないところがあるの? 教えてあげるよ」

そうアラ兄が言うと、ロビ兄が驚く。

「もしかしてアランはもう始めたのか?」

「え、そういうロビンはまだ始めてないの? オレは8割終わったよ」

「えっ」

そういえばロビ兄は去年も、夏休みの終わり間際にまとめてやってたね。アラ兄は最初にやるタイプ。双子でも見事に違っていて面白い。

「宿題もだけど、そういえば初めての成績はどうだったの、リディー?」

兄さまに答えようとすると、エリンに先に言われた。

「姉さま凄いのよ。ダンス以外は全部5! それもマルがついたのも、いくつもあった!」

「それは優秀だね。そんな優秀なのに、宿題に不安が?」

「あ、薬草学の宿題で必要な材料があるんだけど、領地では手に入らないからどうしようかと思って」

「何が必要なの?」

「メカクシザメの牙の粉」

「海の近くか、王都じゃないと手に入りにくいね」

そうなんだよ。

まさか宿題のプリントが成績表に挟まれているとは思わなんだ。

もらってその場で成績表を見ていれば、宿題に必要なものもわかって王都で買ってから帰ってきたんだけど、あの時はいっぱいいっぱいになっていて、何も見ずに帰ってきてしまった。

エリンやノエルには初めての成績表を父さまたちにすぐに見てほしくて、お遣いさまに乗って先に帰ってきてしまったんだと、説明したんだっけ。

止むを得ず、その時初めて成績表を父さまたちに見せたし、わたしも見ることになった。

ダンスが3だったけど、あとは5だった。外国語と魔法史は自信がなかったので、5段階の5で驚いた。さらに右上に小さな丸がついているのがいくつかあった。

最高の5の中でもさらに良い時につけられるものだそうだ。

父さまや母さまから、いっぱい頑張ったねと褒めてもらった。

担任の先生からの一言評価があり、それも嬉しかった。

そして挟まれていた紙にズラーっと恐ろしい量の宿題があり、恐れ慄いたのだった。自由研究が一番難問だ。兄さまたちに相談しようっと。

「あ、じゃあさ、馬を返しに行くついでに、メカクシザメの牙の粉を買いに行こう」

ロビ兄の提案に、素晴らしいと頷く。

「主街道が届いているのはスクワランまでだ。あそこだとウチから行くには泊まりになるね」

「やったー」

「お泊まりだ!」

一泊することになるとアラ兄が言うと、エリンとノエルが喜んだ。

「エリンとノエルはお留守番よ」

「えー、なんで?」

「どうして?」

「それはあなたたちが学園にも通っていない、おチビちゃんだからに決まっているでしょう? 思い出してごらんなさい。姉さまだって、去年までは父さまと一緒でないと、領地からは出なかったでしょ?」

母さまに諭されて思い返しているのだろう。でも口がとんがっていく。

「それじゃあ、兄さまと姉さまたちだけで行っちゃうの?」

「反対! また姉さまが誘拐されたらどうするの?」

声をあげたのはノエルだ。

父さまと母さまがアイコンタクトを取っている。

このままじゃ、本当に領地以外、自由に過ごせなくなってしまう。

「この前は聖女候補と間違われたからだし、魔力を封じられなければ、わたしはまあまあ強いよ。これからは魔力を封じられても、収納袋に〝クラッシャー君〟があるから、封じの魔具も壊せるから、大丈夫! もふさまも、もふ……、兄さま、アラ兄、ロビ兄も一緒なら、問題ないよ」

「……だがなー。まぁ、王都より危険はないはずだが。フォンタナ家に護衛を頼もう」

「父さま! 馬を返しにいくだけなのに護衛なんかつけるなんて……」

「父さま、王都ではありませんし、領地を出てからはblackが動くでしょう。ですから、許してもらえませんか?」

兄さまが言うと、父さまが腕を組む。

「おじさま、〝ブラック〟ってなぁに?」

エリンが兄さまにかわいらしく尋ねた。

「家族だけの秘密だよ。私を 主(あるじ) として護り、私のために働いてくれるものたちのことだ」

兄さま、エリンとノエルに言っちゃった。いいのかな?

「凄い、かっこいい! おじさまだけじゃなくて、みんなにいるの?」

父さまは少し笑う。

「フランツに従っているだけだよ。他にはいない。いいか、エリン、ノエル。ウチには公にしていないことがいくつかある。なぜ秘密にするかと言うと、それが知られてしまうと、命の危険があったり、誰かに連れて行かれてしまうかもしれないからだ。だからウチの秘密ごとは決して誰かに話してはいけないよ?」

「それはこの間教えてくれた、普通の家は自動修復しないことも?」

父さまは頷いた。

そう、わたしたちは当たり前になっていて、気づいてなかった。傷ができたりすると家は自動修復するし、幅あるものを運ぶ時は廊下が広くなったり、ドアが開いたり、ハウスさんが助けてくれる。わたしたちはそれを受け止めていたから、それを見て育ったエリンとノエルは普通の家もそうだと思っていたみたいで、子供たちで家が破損した話が出た時に、勝手に治らないの?と不思議そうにしていたそうだ。

それを世界議会のカード・バンパーさんが報告がてら来てくれた時に、たまたま聞かれたらしく、父さまにお子さんたちがこんなこと言ってましたよと言われたそうだ。

それで父さまは慌てて、家は勝手に動いたりしないものなんだと、双子に話したらしい。

「お前たち、婚約者・妹を守れるか?」

「「「はい!」」」

3人は力強く頷いた。