軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第263話 おにぎりパーティー

おにぎりパーティー開催だ。

新入生だけでなく、先輩たちにも声をかけた。

お店で新しいおにぎりを出すのにテスターになってくれと、具材の感想を聞かせてほしいと理由を話してある。

まだお米は家畜の餌という意識が残っているものの、おいしく食べる方法もあるようだと認知されてきている。

領地でお米を育てるのは大変だった。今も模索しているところだし、手間暇かかるのに安く家畜の餌にされているのが不思議だった。どうも他の大陸にはお米が育ちやすい土壌があるようで、そこから安く大量に流れてきているらしい。

値段が安いのに、人は食べてこなかったのも不思議だった。食べ方は模索したみたいだけど。お米だったら煮るでも蒸すでも芯がなくなるまで火を通せれば食べれたんじゃと思ったが、実際人々が 躊躇(ちゅうちょ) したところは、米は安いけれど炊くための燃料の方が高くついたからみたいだ。家畜が食べていることから人も食べられるとは思うが、いろいろな炊き方を試して〝おいしい〟を追求するまでお金をかける人はいなかったらしい。それゆえ、ちょろっと煮てみたもの、焼いたものを口にし、安くてもあれでは食べられたものではないとなっていたようだ。

新しい具材のおにぎりは家で作ってきた。

ご飯も炊いたものをいっぱい持ってきた。

具材も人気なものを持ってきた。これを好きに握ってもらおうと思う。

新入生は引っ張ってこられたマリンたちも入れて全員。先輩たちもわりと来てくれた。

兄さまたちが豚汁をこしらえる。先輩たちがそこに群がっていた。目当てはそこだったか。

新商品はキンパにぎりだ。

糠の有効活用として、 糠漬(ぬかづ) け、 沢庵(たくあん) も作った。

高いけどごま油もみつけた。

この2つがあったら、キンパを食べたくなる。家で食べる分ぐらいの〝のり〟は作ったので、ウチではキンパを作って食べてきた。

海の主人さまに 貢物(みつぎもの) をして、眷属さんたちに定期的に海の幸を届けてもらっている。ある程度作れそうな量が溜るとのりを作った。海苔を作るのは意外に面倒なので商品にはしづらい。海苔巻きで食べるのがおいしいけれど、一般的に中の具材をおにぎりの具にしてそれがウケるか知りたかった。

青い葉っぱ野菜をニンニクと炒める。ニンジも同じようにしてナムルを作る。

卵焼きも。

ご飯にごま油と塩を混ぜて、具材にナムル数種と卵焼き、沢庵を入れている。

ロビ兄たちに土のテーブルをいくつか作ってもらったので、新商品であるキンパ握りはひとつのテーブルに置く。感想をできたら書いてくださいと紙とペンも置いておいた。

お遣いさまのもふさまはリュックを背負っていて、そこにはぬいぐるみ防御をしているもふもふ軍団が入っている。先ほどもおにぎりをいっぱい差し入れしておいた。

豚汁ができたようなので、おにぎりパーティーを始めた。

わたしはおにぎりの握り方のデモストレーションをした。

「お米がつかないように手を水でぬらします。塩を手につけます。お米をしゃもじですくい手に乗せます。中央をくぼませるようにして好きな具を入れます。これが真ん中にくるように包んで。でも自分の食べるものなので、上にのせるでも好きなようにで大丈夫です。今は中に包みますね。そして少しギュッと固めて、転がしてギュッとします。三角おにぎりです」

出来上がりを見せるとおーーーーと歓声が上がった。

誰やる?と3人が挑戦だ。手に水をつけ、塩をつけ手にお米を乗せる。具材を置いて。

「握るの難しい」

「上手だよ」

「あれ、三角にならない」

「手の曲げるところに三角の山になるように」

「あ、こうか」

「そうそう」

できあがったおにぎりに早速パクついてくれた。

「あ、お米おいしい。あ、具が出てきた。お米と一緒においしい。わー」

自分で作ったのだと、ことさらおいしく感じるよね。

キンパにぎりもなかなか盛況だ。

具材の横には具材の名を書いた札を置いてある。

普通の具材ではツナマヨが人気だ。

いろんな味を食べられるよう、小ぶりなおにぎりを勧めた。

「おにぎり、初めて食べた」

「お米っておいしいのね」

「リディア、ツナマヨって何なの?」

「お魚とねマヨソースを合わせたものだよ」

シャケも売れ行きいいね。

「リディア、どれもおいしかったよ!」

「どれが好きだった?」

「ツナマヨってやつ! キンパってのもおいしかった。あとフキノトウの佃煮だっけ? あれも好き。豚汁もおいしかった。お兄さんたちも慣れてるね、貴族が料理するなんて思わなかったよ。食べすぎちゃった、みてよお腹パンパン」

レニータがお腹の膨らみを見せながら叩くと、真似してみんなも叩いてみせる。

確かにみんなお腹が膨れている。

「リディア、何か手伝うことない?」

「あ、余ったおにぎりをね、来なかった先輩たちに渡してくれる? ほら、もったいないからさ」

そういうと、レニータたちは顔を見合わせて頷いてくれた。

後片付けはみんなが手伝ってくれたので、あっという間に終わった。キンパの感想も思ったより書き込んでくれていて、他のおにぎりの感想や、感謝の言葉も入り混じっていた。

キンパにぎりも評判がいい。この大陸ではごま油に馴染みがないので心配だったけど、子どもには問題なさそうだ。子どもにはウケたからフォンタナ家でテスティングをするかな。大人にも受け入れられればお店のメニューに加えられそうだ。

「あのさー、リディア」

「ん?」

「私、貴族に対していい感情を持ってなかったんだけど、人によるってわかったわ。私、リディアみたいな人を〝レディー〟とか〝淑女〟っていうんだと思う」

「うん、体力なくても、思いやりがある品位ある〝淑女〟だね」

「変わっているけど、〝真のレディー〟だね」

レニータもジョセフィンも、キャシーまでもが持ち上げてくる。

「褒めるときは全力で褒めてよ。その〝体力ない〟とか〝変わってる〟とか挟まなくていいから」

そう返せば、みんなちょっと笑った。

「新商品の感想が欲しいっていうから、私そのまま受け取っていたの。さっきみんなが言ってた。リディアは私たちにお昼を食べさせようと、そんなふうに言ってるんだって。それも私たちが施しを受けていると思わせないようにいつも気を配ってくれていて。今までのご飯の時もそうだったよね。何か手伝ったり、一緒にやっていたから、少し考えればリディアがいっぱい持ち込んでくれているのがわかるのに、それも気づかせないぐらい、私たちの自尊心も大切にしてくれた」

「ダリア……そんなんじゃないよ。わたしも食べたかったし、感想が欲しいのも本当だし……」

ダリアに抱きつかれた。

「平民はみそっかすの扱いでそれはどこも同じだってがっかりした。学園にはせっかく入れたから我慢しようと。でも5年はキツイなって思ったけど、リディアがいるから楽しそうな気がしてる!」

わたしもダリアをギュッとする。

「わたしも、みんなと友達になれて嬉しい」

横からふわっと抱きつかれる。レニータとジョセフィンとキャシーだ。

みんなに抱きつかれて、ふらつきながらもみんなと支え合う。

ひとりだったら、きっと何もしようとは思わない。みんなと一緒だから、〝やりたいこと〟が湧きあがってくる。

本当だ。父さまのいう通り、学園でしか体験できないことがある。

盛り上がってしまったことに若干照れながら〝じゃあまた明日ね〟と手を取り合ってパーティーは幕を閉じた。