軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第166話 責任者

それからファーミーを主に倒し続けたが、わたしのレベルは上がらなかった。魔物を倒して入る経験値と、次のレベルアップまでどれくらい経験値がいるものなのかがわかればいいのに。

いいかげん飽きてきたので10階に行き、スライムの魔石を取りまくる。シロたちの独壇場だ。アリとクイは独特の倒し方をした。地面に横になったままゴロゴロと移動したのだ。それでスライムを煙にしていった。あれがベアの戦闘方法なの?

ひと段落したところでセーフティースペースにてお弁当を広げた。お昼にはずいぶん遅い時間だったようだ。アオがハウスさんと連絡をとってくれたのでわかったんだけど、どうりで眠いはずだ。

今日は煮卵を真ん中に閉じ込めたおにぎりだ。ゴロゴロ野菜の入ったスープと、ミートボールを作った。生野菜でミートボールを巻いてアムっといただく。万人受けするソースは使い勝手がいい。こうすれば野菜もちゃんと取れるしね。デザートのマドレーヌまで食べ終わると、父さまがわざわざ確かめる。

「みんな食べ終わったな?」

わたしたちは少し違和感を覚えながらも、それぞれ元気に返事をする。

わたしも頷けば、父さまは言った。

「それじゃぁ、答えてもらおうか。隠し事をしているだろう?」

わたしたちはごくんと唾を飲み込んだ。

なんで親って隠し事をしても、すぐに気づくんだろう? 勘?

わたしは〝親〟にならなかったからどうしてなのかわからないが、親には秘密にしたいこともなぜかバレていた気がする。

「なんでわかったの?」

アラ兄がロビ兄の口を押さえたけど、もう遅い。

「さて、誰が答えてくれる?」

「父さま、後2日、待って」

「あと2日?」

兄さまは頷く。

「フランツ、何かあった時、お前が責任をとれるのか?」

双子もわたしも、兄さまを見上げる。もともと持ち込んだのは双子だし、ロサからの確定をとれればと言いだしたのはわたしだ。兄さまには諫められていたのに。

「……責任者は私です」

兄さまが全部被ろうとしている。

「責任を取れるのかと聞いている」

兄さまが唇を噛みしめた。

「川原で何か飼っているな?」

わたしたちはハッとして父さまを見上げる。

『知っていたが、リディアたちが言い出すのを待っていたのだな』

もふさまに言われて、唇をかみしめた。

「魔物か?」

わたしたちの反応を見てさらに言う。

「魔物ではないが厄介なものみたいだな」

そのまま帰ることになった。わたしたちも魔物を倒すとか、レベル上げとかそんな気分ではなくなってしまったし。

うなだれたわたしたちをアオは不安そうに見上げ、アリとクイは寄り添ってくれて、シロたちからは突っつき攻撃にあった。

『リディアたちがしょげてどうする。状況が変わるのは川原にいる子供たちだぞ、しっかりしろ』

もふさまにはそう発破をかけられた。確かにその通りだ。

「早かったですね」とピドリナに迎えられ、すぐにそのまま川原へ行った。

わたしたちが近づくと急いで出てきた子供たちを見て、父さまは大きく息をついた。小さな子たちは大人がいると単に喜んだけれど、状況がわかっただろうセズだけは浮かない顔だ。

「なるほどな。説明しなさい、フランツ」

兄さまは、子供たちを父さまに、父さまに子供たちを紹介した。

モロールの孤児院を出て、帰りたくないと言っていると。

「2日後には何が変わるんだ?」

「恐らく2日もあれば王子殿下から承諾が取れると思いました」

「承諾?」

兄さまは子供自立支援団体設立の構想を話し、それにはお茶会で慈善事業を展開させる必要があり、殿下の承諾をとっている旨を話す。父さまはジロリとわたしを見た。身の置き所がなかったので、わたしはあらぬ方に目をやった。

父さまはセズに伝える。モロールの孤児院に戻りたくない気持ちはわかったと。ただあちらでも心配しているだろうから連絡はすると。

父さまは私たちに罰を与えると言った。何に対しての罰かわかるか問われたので〝黙っていたから〟と答えると、〝それだけでは不正解〟と言われた。そして罰されている間、それが何なのか考えるように言われた。

父さまは兄さまと双子とセズたちを町の家に連れて行くと言った。町の家には従業員用の小さい寮がある。セズたちにはそこにとりあえず入ってもらうらしい。アルノルトにモロールの孤児院へ知らせに行ってもらうそうだ。

わたしは家での5日間の謹慎と、その間魔法を使ってはいけないと言われた。魔具作りも禁止だ。兄さまたちも5日間町の家で過ごし家には帰れない。母さまとわたしに会えない罰。わたしも兄さまたちに会えない罰。

家に帰り、みんなが町の家に行ってしまった。

遅めのお昼寝から起きると、家ががらんとしていることに気づいた。

母さまも部屋で寝ているしね。ケインは町へ。シロたちとアオとアリとクイ。ピドリナと母さま。わたしともふさましかいない。

母さまの食事はピドリナがいろいろ気遣ってくれているけれど、昨日は大丈夫だったものが今日はダメと言うふうに食べられるものが変わり、いや狭まっていき、大変な思いをしている。爽やかなものと、喉越しのいいものが好まれているみたいだ。

わたしはとりあえず、ジンジャーキャンディーを作ってみた。魔法が使えないから、ほぼピドリナにやってもらったけど。砂糖がいっぱいあるからね!

それから天草で寒天作りに挑戦だ。

夏に寒天で何か作ろうと思っていたから、天草を洗って野菜と一緒に天日干しはしていた。これを水と一緒に火にかけ、お酢と沸騰させる。濾せば寒天だ。

ところてんとして酸っぱいのもできるし、蜜をかければ甘味にもなる。

濾した天草をさらにミルクで煮出して牛乳寒天も作る。

母さまがこの3シリーズを食べられたので、ちょっとほっとした。

兄さまたちもいないし、魔法を使ってもいけないし、魔具を使ってもいけない。気を紛らわせるのに料理は持ってこいだ。けれど魔法が使えないと、ピドリナを盛大に煩わせることになり。考えどころだ。

ハウスさんはわたしのレベルが上がっていないことにがっかりしていたが、同期をしてみるということになった。熱が出ても、魔法が使えないしちょうどいいかと思った。でも予想に反して熱が出なかったのでわたしは調子に乗った。ハウスさんも大丈夫だと思って2日続けて同期したところ……魔力酔いを起こして眠ることになった。