軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第1340話 創ったものと創られたもの⑦本来の姿

疫病神にここから悠がいなくなったのがバレるのはいい。

連れて行けることになったし。集落ももうないから。

本体は大陸と同化して奥深くにいる。

一部が移動する形でも、本体の方でシャットアウトしておけば問題はないだろう。

疫病神は悠にささやいてはいたけれど、そこから連れ出したりなどはしていなかったから。

問題はわたしだ。わたしは今魔力を持っている。これでバレたらせっかく広めた無魔力計画が水の泡。

これは一刻も早く終わらせて、転移する必要がある。

蛇を睨み上げる。他の魔物たちも闇の中に蠢いている。

一気に瘴気が動いたのかもしれない。

「アオ」

「魔力、引き取るでちか?」

「反対。全部わたしに一度戻して」

「え?」

「早く」

アオは焦りながらも、ヒレのような手をわたしに向かって突き出した。

あ。満ちる。

「ありがと。みんな、一気に行くよ!?」

わたしは風に聖力を乗せて集落だったところに蠢く魔物たちを閉じ込めた。

「今よ」

ロサが紫の光を。ダニエルは風魔法。

ブライと兄さまは剣を振い、ノエルは弓で攻撃した。

ルシオが神力を飛ばし。もふさまともふもふ軍団が元の姿に戻って縦横無尽する。

一瞬後、蠢いていた魔物は息たえていた。

「アオ、魔力とって」

「合点承知でち」

「みんな魔物を回収して」

「撤収!」

みんないるかを確認して、ノエルの転移でサブハウスへと戻った。

短時間だった。バレてないよね?

「見事だったよ、リディー」

褒めてくれた兄さまにニコッと笑う。

うん。負けられないからね。外で頑張ってくれている人のためにも。

昨日は夜の魔物を見にいってからの仮眠。朝早くから動き回った。そして一刻ではあったけれど魔物と戦い、とても疲れていた。

でもそれよりも長い長い間、精霊たちは悠を心配し続けていた。

ノエルは休んでもらうことにして。

他のみんなは精霊たちのところに付き合ってくれるという。

うなずきあってから、わたしは呼びかけた。

「精霊さま、悠さまをお連れしました」

激しいハレーション。

うっ。忘れていたわけじゃないけど、この歓迎の儀、疲れた体に沁みる。泣きたいぐらいに。

水のスライダーからの、某スペー○マウンテン。きれいだけど早いからね、ヒュンヒュンって自分がどこに行ってしまうのかもわからず。放り出されて、土の中にぎゅーんと埋め込まれていくのは息苦しくなくてもめっちゃ怖いんですけどっ。

いつもより長いアトラクションの末にふわふわの何かの上に放り出される。

メンタルも身体もヘロヘロ状態で四つん這いになっているわたしたちを、期待の目で覗き込む大きな精霊たち。

「もふさま、お願い」

もふさまは大きくなって、背中の方から咥えた小箱をわたしに渡してくれた。

強力な結界で遮断されているから、中身が生き物であろうと判別できない小箱だと推測したものの、急いで転移する必要があったし、手で持っていて何かあったら困るから、もふさまに持っていてもらった。

わたしの収納ポケットは生き物は入れられないから。

もふさまの収納袋みたいなものは、生き物でもそうではないものでも入れるのは可能で、もふさまの意思でそれぞれに時間停止みたいな調節もできるみたい。聖獣さま、さすがの高性能なものをお持ちだ!

わたしはお礼を言って受け取って。

精霊の皆さまがよく見えるように持って、小箱を開けた。

小箱の中で体育座りをしていた精霊がふと顔を上げた。

『悠!』

悠を呼ぶ声が重なる。

う、水が。……涙がわたしたちに降りかかる。

小箱の中の悠が立ち上がり、ホワンと飛び上がる。

『兄上、姉上……』

ホワホワと飛んで近づく悠を、他の精霊たちが……小さいサイズになって悠を抱きしめた。

13体の精霊が集まった塊になると、その塊が光ったようになった。

再会。そりゃ会えない年月考えればねーとは思って黙っていたんだけど。

こっちは体力もメンタルもボロボロなわけで。

気がついたら、ふわふわの何かの上で、わたしたちは眠り込んでいた。

「リディー、起きて」

ん? 声が聞こえた気がした。

「リディー、起きないともふもふ軍団が顔を舐めて起こすことになるよ?」

ん、もふもふ軍団? んん、いいよ。

いつもと同じじゃん。

ん、起こす?

と、ベロンとほっぺたを。

もふさま?

両ほっぺが吸われる。これはアリとクイ。

瞼の上はベア。突っついてくるのはアオ。

わかった、起きるってば……。

「もう朝?」

体を起こしながら目を擦る。

ずいぶんふわっとしたベッドなような?

目を開けると皆がいた。

ロサ、ダニエル、ブライ、イザーク、ルシオが生温かい目で見ている。

寝ぼけてた!

みんないたんだっけ。

どうやっていつも起こしてもらっているかバレた。

わたしの横でレオだけがスーピーと寝息を立てている。

どれくらい経っちゃったんだろうって思ったけど、先ほどトンさまが、わたしたちがここを訪れた時間に戻してくれると話しがついてるらしい。

みんなはもっと早くから起きてたみたいだ。すぐに起こしてくれればよかったのに、横で眠りこけてたなんて恥ずかしい。抗議しようと思ったけど、「そうしたけど起きなかった」なら恥の上塗りなので、口をつぐんだ。