軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第1331話 精霊と会議⑥手立て

『賢き人族の娘よ。どうしたら悠を救ってやれる? 手立てはあるか?』

視線が下にいく。

「ただ事実を伝えれば、悠さまは気づかれると思います。けれど、それこそそこで狂うか、絶望するかわからないです。

それに悠さまがそこで暴走したら、疫病神に気づかれるだろうし。

悠さまの心が変わればどっちみち気づかれてしまうと思います」

「このままでいれば壊れる一歩手前のはずで。

狂うのを止めるのに真実を話せばどうなるかわからないし、疫病神には知られるってわけですね。ということは、瘴気の森の様子がおかしいのを止めるのと、精霊さまたちと悠さまを会わせること、それから疫病神から精霊さまたちを守る。この3点と同時に押さえる必要があるわけですね」

ダニエルが息を吐く。

その通りだ。一気にやる必要もあるし、それから疫病神が精霊たちにちょっかいを出せないようにする必要がある。

相手は神。そんなことが可能なの?

「要点をまとめ確認しましょう」

ロサが腕を組みながら要点を言った。

「私たちの目的は、少なくしていってる瘴気が一定量を割ったとき、急激に瘴気が増えるというのを抑えたい。

それを叶えるのに、悠さまを精霊さまたちと会わせる必要がある。

会うことは簡単であるが、それにはいくつか条件がある。

1、疫病神にわからないようにすること

2、悠さまは絶望したままという姿勢は崩さない

3、悠さまは危うい状態、それをどうにかする

というところだろうか」

かーなーりー、難易度高いよね。

「悠さまは大陸だ。どこかに隠すってできないよな」

ブライが呟く。

そうなんだよね、とても大きいし。上にもう国とかあるわけだし。

「付随することはいろいろあるけれど、結局のところやることはふたつ。

悠さまの心を守って、疫病神と今後かかわらないようにするってことだよね?」

ルシオの言葉にみんな顔を上げる。

複雑に考えすぎていたのかも。

確かにその通り。

悠さまのみんなに会う条件も、行き着くところ、疫病神に手出しをされなければいいわけだし。

一瞬明るくなりかけた思いだけど、再びみんな首がガクンとした。

だってふたつに絞られたって途方もなさすぎ。

神と関わりを断つこと。

精霊の心を守ること。

そんなことが一介の人族にできることなんだろうか?

『悠の絶望の元は、自分が〝瘴気〟だということなのだろうか?』

「……それが元だとは思いますが、永遠に自分があり続ける限り生き物を脅かす存在だってことじゃないですかね?」

とわたしは答えた。

どんなに恥ずかしいことでも、報われないことでも、一瞬ならそれを通り過ぎるのを待てばいい。問題はそれが続くということだ。いつまでも自分を責め続けることになるだろうと予想できることだ。それが一番疲弊するし、辛くなることじゃないかと思う。

『それは、なんとかなるかもしれない』

え?

人族のわたしたちはレイヨンさまの言葉に一斉に目を細めた。

「それは悠さまが瘴気の元ではなくなる、瘴気を生み出さない存在になる。それが可能という意味ですか?」

ロサが丁寧に尋ねた。

とっても丁寧ゆえに得体の知れない恐ろしさを感じ取ったのかも。少し説明を多くした。

『何もせずに本来の悠に戻れるという意味ではないぞ。さ、最初から言っておるではないか。居場所を探してくれと。悠と会いあることができ、それが叶えば生命を脅かすという瘴気は今後増えることはなくなる』

た、確かに、増える瘴気をなんとかしてくれるとは言ってたけど、え、言葉そのままの意味だったの? そりゃもふさまのいう通り、人族以外は嘘はつかないし、本当のことしか言わないものなのだろうけど。

『でもその方法は言えぬ。言ったら条件から外れてしまうからだ』

ま、それは仕方ないけれど。

「それなら、悠さまの件は精霊さまたちに任せれば大丈夫ということか?」

『自我があれば。危うくなっているというところが心配だ。

もし心を開いてくれなかったら、うまくいくこともいかなくなるから』

「悠さまの状態はひとまず置いておいて。疫病神と引き離すにはどうしたら……」

ブライがわたしを見た。

ん、なに?

「リディア嬢も疫病神から執着されているんだよな?」

精霊さまたちから気の毒そうな視線が集まる。

「確かではないけど、恐らくね」

「執着されてるのに、外側から攻めてきて、直接攫って来たのは1度だったな」

「……そういえば、そうですね」

そうですねって、ダニエル。一度で十分なんだけど。

「悠さまのところには、かなり通っているのに……」

「大陸でいる場所が固定されているからじゃないかな?」

ルシオが小首を傾げた。

「「それだ!」」

ロサと兄さまの言葉が被った。

「レオたちも最初の頃、私たち人族の見分けがつきにくいと言ったな?」

『強さが似たようなものだと見分けるのが難しいぞ』

そうだ、魔物たちもわたしたちの判別は魔力量とか魔力の質で見てるみたいだ。

ある程度親しくなれば、表情を読んだりもできるようになるけれど。

「リディア嬢の場合、動いていることが多いし、結界の中にいることもある。……それだったら人族を丸ごとどうにかしても良さそうだけど、それをしない理由があるんだろうね」

「それこそ〝神〟に気づかれるからじゃないか? だからこそこそやっているんだろう」

「捨て鉢なのに気づかれるのを気にしているなら、その後にもっと大きな何かを計画しているんだろうな」

ダニエルの推測はピタリ賞という気がした。