作品タイトル不明
第1327話 精霊と会議②問題点多し
精霊たちといえば辛そうな顔をしているか、怒りでブルブル震えているか。
意識を飛ばさないよう、感情を抑えていたけれど。
大切な同族がさ、そんな目に遭っていたら、そりゃ辛いよ。それはわかる。
『人の子に尋ねる。其方らは神と話ができるのではなかったか? その疫病神とやらを閉じ込めてもらうことはできぬのか?』
へ?
それができたら、とっくのとうに……。
なに、トンチンカンなことを言っているんだと思っていたら。
「昔の神官は神の言葉が聞けたと言いますが、それも話せるわけではありません、神の声を聞くのみです」
ルシオが答えた。あ、そういう意味か。
神官のことを指してたのね。
「そう聞かれるということはやはり、精霊の皆さまは神さまとは連絡がつかないのでしょうか?」
ロサが尋ねる。
「神さまとは連絡は取れませんが、神獣さまは地上にもいらっしゃいます。神獣さまに話してそれが助けになる何かとなりますでしょうか?」
ダニエルが補足する。
精霊さまたちは顔を見合わせている。
『神獣とは話したことはない』
『神とも……ほとんど話したことはない』
そうか……。
っていうかさー。
悠が瘴気を生み出すことになり、そのことで女神さまはひとりきりとなったそうだし、瘴気の回収係となり、原因の片割れでもある享楽神も疫病神へと落とされ永遠に時の河を流されることになった。
それは罰だよね?
悪いこととなったってわかってるならさ、その本人でもある悠さまこそなんとかしてあげなよ。送り出した精霊たちもこんな地上におりたたされただけでさ。もうちょっとアフターフォローあったっていいんじゃない?
わたし的には、元創造神の迷惑行為をどうにかしろって思うし、止めてくれよって思う。まぁ、今は止めた状態だけど、だからこそ今まで振りまいてきたことを回収してくれと思う。でも、やっぱりだからって神さまに文句言っても、どうにかしてくれることではない気がする。
だけどさー、精霊さまの親は聖霊王と女神なんだよね。親で、同族なんだからさ。もうちょっと手を貸してあげてもいいと思う。それと、疫病神本当になんとかして!
人族が神に挑まなくちゃって、めっちゃ大変なことなんだから。
「疫病神のことはご存知でしたか?」
イザークが尋ねると、皆様首を横に振った。
「水の精霊さまは捕えられた時のことで何か覚えていることはありませんか?」
兄さまが尋ねた。
水の精霊であるオードゥースさまはうつむいた。微かに唇を噛んでいる。
思い出すのは辛いことなのだろう。
「疫病神は悠さまの本体に直接話しかけてきたようです。それは悠さまが弱っていたからかもしれませんし。
この棲み家には精霊の皆さまが揃っている。多いから直接ここに来ないで、一部の水の精霊さまを捕えたのかもしれません。
でも、もしかしたら、悠さまは本体、そしてここには来なかった理由が何かあれば、それがとっかかりになるかと思ったのです」
ロサが兄さまの発言を補足した。
「時の精霊さまは、時を司られるのですよね? 時の河からやってくる疫病神を防ぐ何か手立てはありませんか?」
ルシオは時の精霊・トンさまに尋ねる。
『何度かなら手立てはある。が、神といえば我よりも長く生を受けておろう。
さらなる手立てを考えだすだろうし、我のやることとすぐにわかる。そうなれば悠が絶望から脱したと思われるかもしれん』
そっか。手立てはあるけど、疫病神の方が手札を多く持っているってことね。
そしてトンさまのしたことと分かれば、悠さまが関係していると想像するだろうから、次にコンタクトを取れた時に悠さまに何をするかわからない。
「あんたら、瘴気のことよくわかってなかったんだよな?」
といきなりフランクに精霊に話しかけたのはブライ。
なぜかわたしがドキドキする。
「末の精霊の居場所がわかったら、一気に瘴気が増えるのを防いでくれるって触れこみだったよな? それは本当に策はあるのか?」
ブライの特別視してない物言いにハラハラはしたけれど、それより台詞に衝撃を受ける。
そうだ、そうだった!
そこはわたしたちにとって、とても重要なこと。
『手立てはある。悠に自我があれば。が、その方法は、話すことはできない』
「あんたたちも同族のことでいっぱいいっぱいだろうけどさー、俺たちも生き残るために命かけてやることやってる。瘴気をどうにかしてくれるっていうから、こっちは貴重な時間使って必死でやってんだよ。言う、言わないはいいけど、約束は守ってくれよな?」
ブライは大仏並みの精霊12体に囲まれて見下ろされているというのに、堂々と意見する。
長兄らしい光のレイヨンさまは目を伏せた。
『そうだな。人の子よ、うぬらは我らに希望をくれた。我らはそれに応えるが存在の証。瘴気は我らが食い止めて見せる』
おお、約束してくれた!
わたしたちは一番の目的をクリアできて、心から安堵した。
実はやることがいっぱいで、目的を見失ってたってのが本当のところだけど。