軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第1319話 13番目を探せ㉕結論(中編)

『なぜわかった?』

「何に対してですか?

ジョギさまが使い魔で、声は悠さまが出していること?

それから集落が悠さまの一部のこと?」

『どちらもだ』

先ほどの哀しい色は消えている。

きっとさっきのは使い魔のフクロウの感情だったのではないかと思った。

「まずこの瘴気の森で、瘴気から守る場所を作れることがおかしいんです。

森の主人さまである聖獣さまさえ、それは難しいとおっしゃいました」

聖力の塊であるもふさまが瘴気から守るようなことができないと言い切るということは、本当に難しいことなんだと思う。それにもしできるなら、過保護なもふさまのことだ、瘴気が苦手なわたしのために何かしていたと思う。

そうしてこなかったってことは、本当に難しいことなんだと思うんだよね。

「けれど、そんなすごいことのできるジョギさまが〝森の主人さま〟と言いました。

森の主人さまを敬った。それは立ち位置が下だということ。

森の主人さまよりすごいことをできる方が?とわたしは疑問を抱いた。

そして森の主人さまは、ジョギさまを高位の魔物だと言いました。

それを踏まえ、ものすごくシンプルに考えました。

ジョギさまは高位の魔物。

高位の魔物、であるならば、瘴気を遮断する領域をずっと維持できたりしない。

誰ならそんなことができるか……それは瘴気を生み出したと言われる悠さまではないかと思ったのです」

ひとつ目の説明を終えた。

わたしだけの考えではない。兄さまの仮説やエリン、ノエルの見てきたこと、考えたことも大きい。そしてもふさまやもふもふ軍団の話も聞いて、総合して思ったことだ。

「集落のことは、実はわたしも半信半疑でした。でもその反応で事実だとわかりました。が、これ以上明かそうと思うわけではありません。けれど、彼らのことが明かされないと、夜、凶暴化する魔物のことはわからないままではないですか?」

勘だけどね。この集落のこと、はっきりとはわかっていないけど、その行き着く先は哀しいことのような気がする。だから、できるならわたしはここで終わらせたい。

哀しいとわかっていてはっきりさせたいと悠が望むのなら、話はまた違ってくるけど。そこはわたしが決めることではない。だから選んでもらいたくて、話すことにしたのだ。

「わたしは悠さまの居場所がもうわかりました。ですからいつでも精霊に伝えることができます。

その前に。

夜、魔物が凶暴化する、その原因がわかれば、悠さまは精霊の兄弟に居場所が知られてもいいと思ったのですか?

それとも絶対にわからないことだろうから、そんな約束をしたのですか?

今も兄弟とは会いたくないんですか?」

『我のことを気づいたのに、兄弟には知らせなかったのか?』

「わたしは瘴気に敏感です。前に第一大陸に来た時に、瘴気の多さに驚きました。他の大陸にも全て行ったことで、この大陸に不自然に瘴気が多いことにも気づきました。だから悠さまは第一大陸のどこかにいるのではないかと思いました。

ではどこにいるのかと考えた時、ふと思ったことがありました。この大陸の形です。簡易地図ですし、正確な模写ではありません。でも、それでもまるで人が身体を丸めている胎児のような格好でした。

精霊さまたちに呼ばれお会いした時、その姿の大きさに驚きました。そのふたつのことが合わさり、第一大陸そのものが悠さまではないかと思ったのです」

一息いれる。

「ただそれは推測に過ぎません。

精霊さまたちも兄弟を探したはずですから、ご本人が動けないとしても一部を世界中に探しに行かせたはずです。こんなにわかりやすい第一大陸なのに気づいてないということは、わたしの推測が間違っているか、悠さまがわからないような何かをしているということ。

半分は推測があっているか確かめるため、ここに来ました。

確信しましたが、悠さまに何か思いがあるなら、ただ知らせてしまうのも良くないでしょう。だから悠さまに尋ねています」

顔をあげ、ジョギさまの中にいるだろう悠を見つめる。

フクロウは小さく息を吐いた。

『我自身は深く沈み、1日が終わる一瞬、こうして使い魔を通し浮上するのみ。兄弟には我の気配は探れまい。精霊はこの森の中には入れないという点でも……』

そうか、精霊はこの瘴気の森の中には入れない何かがあるんだ。

そして第一大陸そのものが悠だとしてもコンタクトを取れるのはこの使い魔、ジョギさまを通してのみ。だから、精霊たちには気づかれずここまできたんだ。

わたしは悠さまに断りを入れてから、みんなにも通訳した。

みんなはわたしの話すことで会話を想像していると思うけどね。

『我は兄弟に会いたい気持ちもあり、会いたくない気持ちもある。ゆえにどっちつかずの謎かけを人の子にしたのだろう』

ジョギさまの中の悠はそう認めた。

さっきまでの殺気というのとは違うけど鋭い部分が削り取られている。

「会いたいなら、会ってみませんか?」

押し黙ってしまった。

「では会いたくないのは何故ですか?」

『……合わせる顔がない』

それはわからないでもない。自分が本来の力を発揮できずに、違うものになってしまったこと。それは悠のコンプレックスだったのではないかと思う。

わたしもできのいい家族と比べられて聞こえてきた言葉に、勝手に傷ついてきた。

できのいい家族は何も悪くないのだけど、気後れしちゃう自分もいたし。

自分が至らないことが情けなくて悲しかった時もある。

それでさ、そういう気持ちって、たとえ乗り越えても、小さな頃に傷ついたことって、傷はきれいに塞がれなかったりするんだよね。

たとえばかさぶたの下でもう新しい皮膚が出来上がっていたとしても、その傷口は痛痒く感じたりするものだ。

だから気後れしたり、会いづらい気持ちもわからないことはないんだ。

だけど……。

「瘴気のことですか? それは女神さまの祝福がなかったからで、悠さまのせいではないじゃないですか……」

『違う』

え?

小さいけれど、はっきりした否定。

『瘴気が生まれたのは女神さまの祝福がなかったせいではない』

それは今日一番の衝撃だった!