軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第1313話 13番目を探せ⑲触手と沼

夕飯を食べながらジョギさまが起きるのを待った。

腰蓑さんがジョギさまに挨拶をして、わたしを促す。

ジョギさまは明らかにギョッとした。

え?

羽をバタバタさせる。そして目を閉じた。

挨拶しても挨拶も返してくれないんですけどっ。

腰蓑さんに、ジョギさまは気分がすぐれないのだろうと言われてしまった。

むむっ。

鑑定させてもらおう。

アオに合図。一瞬だけ、魔力を10000まで。

夜のハンター。オオイロ✳︎✳︎ズク。高位の魔物。✳︎✳︎の使✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎

✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎

なんだこれ、文字にモザイクがかかっていて、ところどころ、後半はほぼ読めなかった。鑑定するには十分な魔力を戻してもらったから、これは魔力の量ではなく、現在のレベルでわからないということだろう。

アオにもう一度合図。魔力を取ってもらう。

第一大陸みたいな過酷な場所で魔力を持っていると、いつ大地の痛みを受け取ってしまうかわからないから。

ジョギさまに話してもらえないんじゃ……と思っていると大きな羽音がして、ジョギさまは飛び立ってしまった。

腰蓑たちに聞けば、食事にでも出られたんだろうとのことで、明け方までは帰らないと。完全に逃げられた感があるのはなぜだろう?

がっくり。本日は収穫なしだ。

みんな疲れや眠気は大丈夫とのことなので、もふもふ軍団が見つけたという赤い木と沼を見てから、転移で拠点へ帰ろうということになった。

夜の森の魔物は危険だ。私たちは慎重に歩いた。もうすぐおどろおどろしい沼だと言われた時だった。わたしは兄さまに口を塞がれた。

影だ! あの触手みたいな影。じ、地面から生えてる。影なのに。

それがゆっくりとわたしたちが目指すのと同じ方向へと進んでいった。

影がいきなりスピードを上げて行ってしまう。

わたしたちは目の前にある沼に阻まれて、それ以上ついて行くことができなかった。

目の前の沼はぼこっ、ぼこっと時々気泡を生み出している。

なんだか気持ちが悪い。

もふもふ軍団がおどろおどろしいといった意味がわかった。

なんか不気味。

「あ」と声を上げたのはエリンだったと思う。

触手が戻ってきたのだ。その先に何かを……赤い木だ。

ガラスでできた赤い木のようなものをポキっと折っては沼に落としている。

異様な光景にわたしたちは動けずに、ただその儀式めいた何かを見ていた。

ああ、一定なんだ。折る長さも、折る間隔も。だからなんとなく儀式のような厳格さを感じた。

わたしたちを通り過ぎた影だけど、あの木は現実のものだ。実物を持つこともできるということ。

触手は、触手のみ。地面から生えた馬鹿でかい真っ黒い影。

この前は透過したからいいようなものの、あれにわたしたちも持たれてポキって折られたら……。急に怖くなって、足をずらしてしまったらしい。

ズって足元の石を踏み込んでしまって滑る。

その音で触手の動きが止まった。

顔も目もないけれど、こちらを見たような気がする。

「ノエル、転移」

兄さまが短く言ったとたん景色が変わり、わたしたちはテントの前にいた。

足が笑って、わたしは座り込む。

「姉さま、大丈夫?」

「ごめん、音出しちゃって。それからありがとう」

転移をしてくれたノエルと、指示してくれた兄さまにお礼を言う。

「なんだったんだろう、あの影」

「影だと思っていたのに、物を掴めるのね」

「沼に折って入れてたのは赤い木だよね?」

「あれ、何してたの?」

わたしたちは顔を見合わせる。

「赤い木を折って沼に入れる」

「何がしたいんだろう?」

「見えなくしてるか、沈めているか」

結果は確かにそうだね。

「……あの石って砕いて食べさせたりするって言ってなかったっけ? そうすると言うこと聞きやすくなるんだよね?」

ノエルがおっかなびっくりに言う。

「「「あ!」」」

「あの沼、赤い石が溶けた沼になっちゃってるってこと!?」

エリンの言葉に、兄さまが人差し指を立てる。

「凶暴になるのは、その沼の水を飲むから!」

「夜だけ凶暴になるのは?」

思わず尋ねると、みんなうーんと唸る。

昼間の沼を調べることにした。怪しい沼だから魔物たちも水を飲むとは限らないし。

朝になったらまた集落に行くことに。

あの影の触手は一体なんなんだろう?

そして赤い木を沼に入れている理由は……。

エリンが退けてしまった上掛けをふんわりとかける。

「リディー?」

押さえた兄さまの声がした。

「うん」

わたしだよと合図の「うん」だ。

「まだ起きてたの?」

小さな声で理由を答える。

「実は夕方まで眠ってたの」

皆はずっとこの時間まで起きてたけど、わたしはうつらうつらしてたからね。

だからルームにも行かないでエリンの隣で目を閉じていたんだけど、眠気が降りてこない。

兄さまがこっそり外を指差した。

わたしはうなずいて、兄さまの後をついてテントの外に出た。