軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第1274話 魔物っぽい双子

すり合わせが終わったところで、一息いれる。

ちょうどいいブレイクタイムだ。

情報量が多いから、それぞれ理解を深める時間が必要だ。

肩が重い。

わたしの両肩にぎゅうぎゅうづめになって止まっているドラゴンちゃんたち。

わたしとアダムがはぐれたとき、どんな状態かわからないから、わたしの安全がわかるまで近寄らないことと約束させられていたんだって。

解禁されたので、わたしの肩に乗っている。5頭となるとかなり重たい。

大きくなってきているしね。

「見習い神は堕神とはもう繋がってなかったのかな?」

ルシオが顎のへこみに軽く握った拳の人差し指の背を置いて、首を傾げる。

「なぜ?」

イザークがまばたきをした。「なぜそんなことを聞くのか」の略だろう。

ルシオは少し考えてから言った。

「もし繋がっていたら、時々浮上していた見習い神の波動がなくなるわけだから。何かあったと勘づくかも」

兄さまとアダムがハッとする。

「……それは使えるかも。もし知らなくても、リディア嬢が魔力を無くしたとするのはいいことなんじゃないか?」

「……確かに」

「記憶に続いて魔力もなくすって、わたしついてなさすぎ……」

思わず呟くと、みんな苦笑した。

「瘴気をばらしていたことを見習い神は気づいてなかった。

そこはシナリオ通り地形の魔法陣が破壊され、陛下が抑えきれなくなったらアウトだと思っている」

アダムが力強く言った。

「うん、見習い神だけじゃなくてバッカスもそう思ってるな。瘴気放出は秘密裏にやったわけだしね」

兄さまの言葉にみんなうなずく。

「瘴気は排出され続けているから、魔法陣が破壊されても何かが溢れ出てどうにかなることもない」

ほっとしたようにイザークが言う。

「考えたくないけれど、陛下に何かあっても王太子の儀は済ませているから、陛下に何かあったらその魔力はブレドに吸収される。世界で一番魔力持ちはブレドとなる。これもこちらに有利だ」

アダムは瘴気排出計画を話したときも淡白だったから心に響く計画ではなかったのかなと思ったけど、そんなことはないみたい。そっか、もしうまくいかない時のことを考えて淡白を装っていたのかもしれないな。

「赤いドラゴンは気になるな。ホルクの里のことを聞いてみなくちゃな」

終焉への引き金は、瘴気、国内の反乱、国外からの攻め、ドラゴンからの襲撃の4つ。

このうち、瘴気は解決づいている。そしてそれも狙いに入れているだろうバッカスたちが知らないことだろうことはこちらに有利。

国内の反乱は、本来のシナリオよりはその間にいろいろ起こっているから、芽は少しはつぶせているはず。でも燻っている火種はあるだろう。

国外は……バッカスとセイン。ガゴチは微妙な位置にある。

ガゴチはわたしを獣憑きの奴隷解放に立てたいらしい。わたしはそうする気はない。

バッカスはガゴチを厄介だと思っているみたい。つまり苦手な何かがある。ガゴチに対して。

セインはなんだか知らないけど、何があってもめげないバイタリティーでユオブリアを落としたいようだ。

バッカスには堕神が憑いている誰かのいる可能性が高い。

元享楽神・バッカス。彼こそ瘴気を生み出した原因の神のひとり。原罪の女神の不倫相手。その罪を償うために疫病神へと落とされ時の河を流されている。

なんとなくだけど、見習い神と同じように本体は時の河を流れているんじゃないかと思う。そして見習い神より、より自由に動け、力も強い存在なんだと思う。

それが度々わたしに仕掛けてきた。わたしを潰そうとしていたように思う。でも最後は保護するとか、待遇が変わった?

うーーん、バッカスの目的はやはり謎。

ドラゴン……真っ赤なドラゴンはやはりマルシェドラゴンに思えるから、ホルクにリサーチをしなければ。

瘴気問題が片付いただけでも、終焉を免れる確率はぐーんと上がったんじゃないかな。

あ。

わたしはラッキーだ。魔力を受け渡しできるアオという存在がそばにいた。

見習い神を起こしたり、自然の痛みを請け負ってしまうのは余剰魔力があったから。普段は最低限の魔力を入れておく。生活魔法を使えるくらい、それからルームなどを利用できるくらいの量を。そうすればみんなとこうして話すこともできる。そしてハウスさんやルームの主たちには、アオから魔力を供給してもらう。大業を使う時はアオから魔力をその分もらう。

そんなことができちゃう。あとは聖水や聖酒や自分の光魔法で浄化していれば、今までの悪いものは消える。

他の光の使い手にも、このことは知らせたほうがいいだろうな。

「母さまやエリンやノエル。他の光の使い手にも浄化を引き取っていることを伝えなくちゃ。魔力量の多いエリンやノエルは司祭さまに診てもらいたい」

わたしがそういうと、レオがえらく真面目な顔で言う。

『エリンとノエルは痛みを引き取ったりしないと思う』

「おいらもそう思う」

『思う』

『思う』

え? みんないやに確信している?

「どうしてそう思うの?」

思わず尋ねた。

「無意識なら余計に。家族の何かを引き受けることがあっても、ふたりは特に自然の痛みに何かしようとは思わないでちよ。魔物に似た何かを感じるでち」

『言えてる!』

と盛り上がるもふもふ軍団。

エリン、ノエル。もふもふ軍団魔物たちに、魔物っぽいと思われてるよ……。

もふさまと目が合う。

『あのふたりは、魔物よりも魔物らしく卓越した価値観……ということにしておこう』

もふさまにもそこまで言わせる双子。魔物より魔物らしい価値観って……。

うん、深く考えるのはやめておこう。

問題ないなら全然いいんだ。

けれど、光の使い手の請け負っちゃう論は、王族から通達してもらった方がいいだろうな。