軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第1260話 歪みゆく世界❼隠しキャラ設定

そういえばシナリオの方ではアダムに名前はないみたいだった。

ふたりでアンドレだったからかな?

今アダムは、アダムになったと言った。

留年者の時の名前はゴーシュ・エンター。今は改名してアダムに。

ゴーシュ・エンターも仮の名。

幼い時の扮していた名前にちなみ、ずっとわたしの中ではアダムでそう呼んでいた。それを喜んだアダム。もしかして、影の時って名前がないとか?

そういえば影のお友達の名前、聞いたけど、知らなくていいと言った。

実はあれ、みんなでアンドレさまであり、名前がなかったからとか?

わたしは手を繋いでいるアダムを盗み見た。

わたしも名前がわからない時があった。〝トスカ〟が勝手に呼ばれていただけの名前と知って驚いたし、自分の名前がわかった時は嬉しかった。

アダムもそんなふうに感じているのかな?

「瘴気が溢れるなんてことはない」

アダムは力強く言った。アダムも知ってるもんね。

何かがあっても瘴気が世界を覆わないように対策を立ててきたから。

地の魔法陣の場所は知っているし、秘密裏にすでに騎士たちがわからないように守っている。

国内、国外勢力へは目を光らせている。こちらはそこまで自信はないけど。

ドラゴンの問題はドラゴンのいくつかの種族とコンタクトをとっている。話し合いが持たれれば、わたしたちは争わずとも心を通わせることができることは実証済みだ。

もしドラゴンが操られていたら。それを上書きする〝魔石〟は作り終えたところだ。赤い石を第一大陸から少しもらってきた。それを空っぽダンジョンで魔石にした。

神由来の道具を使ってきたら、それは兄さまの〝神斬りの剣〟で払うことができる。

あ、そうだ。シナリオではない参考にした隠しルート。そこでは世界の終焉という難題が襲いかかる。それにはどう対応したのだろう?

そこでもわたしのような歪み要員から、足りないものを補ったのだろうか?

「隠しルートの終焉はどう乗り切るの?」

反発して答えをもらえないかもなと思ったけど杞憂だった。

ーー理事長の元婚約者が聖女との熱愛を聞いてその愛を確かめにくる

えー、なんかそれおっかない。

ーーそして聖女とバトルを繰り広げ

なんかそこでもうまともじゃない。

ーー聖女が命を落としそうになり、理事長が助けるけれど、理事長が瀕死の重傷を負う。元婚約者は光の使い手で自分の命を削って理事長を助ける

彼女は他大陸の王女で、その婚約が破談になったのは王女の魔力が低く、ギフトも生涯に一度きりしか使えないもので、特にユオブリアのような魔力が多い国の王族と結婚するのは気が引けて身を引いたという前置きがある

そのギフトは役に立たないと彼女自身も思っていた。何せ自分のためにはならないギフトだからだ

なんか碌でもない話な気がする。あまりにも物語に都合がいいギフトという贈り物な予感がして。

ーー彼女自身が本当に相手のことを思い望んだ時、相手の望むものを創り出すことができる。命は落とすけど

やっぱり。

ーー主人公は女神から力を得る。神力の浄化の持ち主。けれど完全な浄化には聖なる浄化力も必要

主人公に足りない聖なる浄化力を、彼をお願いといってギフトで力を授けるんだ

アイリスの完全浄化に足りないのは〝魔力〟と〝聖なる方の浄化〟。隠しキャラ設定では魔力はアンドレ殿下から。浄化の力は理事長の元婚約者からもらうことができる。どちらもアイリスへの愛情が絡んで。

「それは理事長という要素が主人公の相手だからできること。それを糸口にして、そうできる者を歪みに組み込んだんだね? 聖なる力を足すことのできる人物を」

ーーその通りだ

白キュアは目を伏せた。

そうか、わたしのギフトプラスは……いつか聖なる力を聖女にプラスするために因果律で決められたものだったんだ!

なんかそれ、脱力する。結局わたしに授けられたものは誰かに何かをする前提だったなんて。

……でも、わたしはわたしのギフトに感謝しかない。

このギフトにどんなに助けられたことか。

最初にもらえたとわかった時のことも、昨日のことのように思い出すことができる。本当に嬉しかった。誰かに何かのためにプラスすることができるってなんて素敵な能力だろうって。

だから、これは驚いたけど、うん、素直にありがたいって思えることだ。

ーーでも、やはりうまくいかない

ギフトの足せるものには法則性があり、結局聖なる力を聖女に足すことはできずに、核ごと渡すしかなくなる

白キュアはこちらの疑問に素直に答えてくれる。

不思議に思っていた。わたしに頭に来ているはずなのに、許せないというくせに、攻撃はしてこない。

……っていうか、最初に思った通り、意識は浮上しているみたいだけど、彼女の本体は封印されたままなんだ。

こうやって浮上した時は話すこともできるけれど。できるのは自分と会う者を選別すること。直接攻撃はなかった。精神攻撃を使ったのみ。

封印された状態だと。そこまでしかできないんだ。

だとしたら、バッカスに降りてきているのはこの見習い神ではない。

彼女はここにしかいられないみたいだし、会話というか念話しかできないみたいだ。

だとしたら、情報をなるべくもらうことが得策。

「外国がユオブリアを目の敵にする理由は?」

ーーそれはもちろん、ユオブリアに宝を持ち去られたからだ

「宝? 何をだ?」

白キュアはニヤリと笑った。

ーー教えない、悩むがいい

ちっ。勘づかれたか。