作品タイトル不明
第1237話 聖域の特定❶罰ゲーム
ハウスさんにお願いしていた聖域の場所が絞り込まれた。
わたしたちはそこに向かうことにした。
神さまかそれに準ずる何かとの対面となる。
緊張しないと言えば嘘になるけれど、わたしは知りたかった。
なぜわたしにそんなに執着するのかを。そしてなぜわたしを憎むのかを。
向かうのは、わたし、もふさま、もふもふ軍団、ドラゴンちゃんたち。
兄さま、アダム、イザーク、ルシオだ。
ロサは王太子の仕事があり、ダニエルとブライは侍従と護衛としてロサに同行する。すっごい恐縮していたけど、終焉はユオブリアへ他国からの攻撃が引き起こすこと。外交はとても大事だ。だからそっちは任せた!と送り出した。
アラ兄とロビ兄、エリンとノエルは辺境に行っている。
夏前に辺境周辺で異変があった。周期ではない時に3つのダンジョンから一斉に溢れが起きた。やっと落ち着いた後に、境界のところどころに綻びがあり、何かが侵入しようとしていた跡がみつかった。
ダンジョンの溢れも仕組まれたものかもしれないということで、辺境は今緊急配備がされている。それに伴い、東西南、他の辺境にも注意がいき、どこも警戒を強めている。
本来なら兄さまが辺境に行くところなんだけど、アラ兄とロビ兄が代わってくれたのだ。
その聖域はシュタイン領の後ろにあるノベリア山脈、西方面の山頂が怪しまれている。
ちなみにシュシュ族がいるのは東寄り。西はほとんど凍っているから住むには適さない。
夏だというのに、高度があがれば寒くなり、今は中腹ぐらいだけど、白い息が出るほどだ。
ある程度のところまではもふさまに乗せてもらってショートカットした。
大きくなったもふさまが降りられる場所があるところまでね。
そこからわたしはトラサイズのもふさまに乗って移動。
人が入るようなところではないから、厳しい山登りとなった。
もふさまに乗せてもらってかなり上まで来たのに、それから2日経ってもまだ山頂に行きつかない。あのハウスさんでも探るまでに時間がかかったのだから、わかってはいたけど、想像以上に未開の地だった。天気だってコロコロと変わる。
もちろん真冬対策をしてきたのだけど、吹雪いて前が見えなくてなかなか進めなくなった。テントを張って、なんとかやり過ごす。
場所は広く取れないから、5人ともふもふたちが身を寄せ合ってテントに入る。
緊張も長丁場になってくると途切れて、バカ話をできるぐらいにはなっていた。
カードや何かしらのゲームをして、負けた人が罰ゲームをしたりした。
話せないドラゴンちゃんたち以外は参加だ。
会話のできる魔具を惜しみなく使う、ゲームのために。
今回の罰ゲームはお題〝一番恥ずかしかったこと〟を話す、でレオが負けた。
レオは初めて狩りに行った時のことを話してくれた。
レオはルーシーという子と歳が近くて、いつも一緒に過ごしていた。
初めての狩りに行ったのも一緒だった。
そして獲物を先にみつけたルーシーが「獲ったどー」と咥えてきたのは大きな大きなノシシだった。
レオは思った。あれより大きな物を獲ってやる。
飛行して海の中に大きな大きな影を見た。これだ!と思ったレオは急降下。その影を足でつかんで空に羽ばたいた。もっと苦戦するかと思ったけど、あっさりその魚を獲ることができ、レオは満足だった。
それでルーシーがいるところに、その魚を落として、見せびらかした。
『お腹が空いて途中で食べたの?』
レオはルーシーから〝大きい〟と〝すごい〟と言われると思っていたので面食らいながら魚をよく見ると、その魚は〝頭でっかち〟だった。
そういうと、もふさまはニヤッとし、ベアも口元を押さえて笑っている。
ん?
レオはわたしたちの反応が薄いので、人族は頭でっかちと言わないのか?と驚いている。
海の魔物は魚を食べる。頭部と骨を残す食べ方をする魔物は意外に多く、その残骸を頭でっかちと呼ぶみたい。人が焼き魚を食べた時の残骸も頭と骨が残るわけだけど。つまり大きいは大きいけど、身は全てなくなっている死骸がザブンと揺れていて、レオはそれを獲ったということらしい。
その後にちゃんと他の獲物を獲ったのだけど、ルーシーが大きな頭でっかちをレオが獲ってきたと吹聴したことで、かなり長い間笑い者になったんだって。
レオにそんなことがねーとわたしたちも笑ったけど、レオにルーシーという幼馴染がいることも、……過去のレオを全然知らないんだなと気づいた。
思えばもふさまのこともベアのことも。
アオの過去はちょっとだけ。
あとは小さい頃から一緒にいるから、それが全てだけど。
ああ、魔力を封印する前にやることが増えた。
別れる前にみんなのこともっと知りたい。
悲しむのは後にしよう。みんなのことをちゃんと知って、ちゃんとさよならできるようになろう。