軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第1212話 課外授業④他国

「なんだシュタイン?」

「わたしの意見もきいてください」

「……魔法戦はみんなで戦うことから学ぶこと。ひとりの班は認められない」

「でしたらA組のふたりをウチの班に入れるのはやめてください」

先生の目が少しだけ大きくなった。すぐに戻したけど。

「なぜだ?」

言わせるのか? でも、そこは譲れない。

リキとアーロンを巻き込むわけにはいかないから。

「襲撃はバッカスではないと思います。バッカスなら本気で目標を達成する計画を立てます。先に魔物で疲弊させて挑んでくる、わたしたちに捕らえられるくらいだし、アーロンは怪我をしましたが他はピンピンしています」

他のみんなが魔物?と囁き合う。やっぱりあの魔物もどうやったのか知らないけど用意されたものだったんだ。

「わたしは他国からの襲撃であると考えます」

「それで?」

「課外授業の情報は秘匿されているはずです。転移門もいくつか経由したから、追ってくるのも難しい」

多分追ってくる人がいたら捕らえる、それぐらいのことはしているはずだ。D組はともかくA組は上位貴族のお子さまたちもいるわけだし、何かあったらとんでもない。その対策は十分に取られているはずだ。

それなのにピンポイントで追ってきている。班員だってわたしたちはこの山に来てから知ったのだ。

それなのに襲撃者がいるのは……生徒の中に情報を漏らしている者がいるからだ。

「だから?」

「情報を流しているのは生徒です。他国の襲撃、情報を流す、怪しいのは留学生のおふたり。怪しい方と班を組むのは嫌です」

はっきり言ったったー。

「悲しいですね。シュタイン嬢は我らがあなたに害をなそうとしていると思っているのですね?」

アネリストの王子にわたしはうなずく。

「はい。アネリストとセイン。わたしはどちらの国にも、いい感情を持っておりません」

さっきまでぺちゃくちゃうるさかった周りが息をのんでいる。

「それが、ユオブリアの意見?」

「いいえ、わたし個人、リディア・シュタインの意見です」

セインの公子が目を細めた。

「少しは頭がいいのかと思っていたけど、そうではないみたいだね。

君個人でも、国を貶めてるってわかってる?」

「俺も少し疑問があってな。アネリストにオス、お前たちは情報を流していない、もしくはリディア・シュタインのいる班を襲撃していないと誓えるか?」

おおっと。先生、わたしより過激!

「教育者がそんな考えでは、生徒もそうなるわけですね」

「俺はどう思われてもいい。

俺はこの課外授業の計画を秘密裏に進めてきた。場所など知るものはごく限られた者。場所がバレて襲撃者が現れるなんておかしいんだよ。

どう考えても参加している生徒の中に、自ら情報を流しているか、知らずに流しているものがいる。それが学園の見解だ。

そして機動力を考えると、留学生の坊ちゃんたちが怪しいんでね」

「怪しんでいる者をシュタイン嬢と同じ班にしようとしたんですか?」

アネリストの王子が静かに尋ねる。

「何かあれば一網打尽にできるからな」

先生、わたしを囮に使うつもりだったんだね。

わたしはいいけど、リキとアーロンが怪我したらどうすんのよ、全く。

「答えてもらおう。お前たちは情報を流してないか? シュタインの班を襲撃していないか?」

「していないといえば信じるんですか?」

「信じる」

先生が即答すれば、セインの公子は驚いている。

「シュタインのそばには聖樹さまより遣わされた、お遣いさま、それからシュタインに懐いているドラゴンたちがいる。彼らが見ているここで口にすることだ、誓うと言うなら信じよう。

だがそれがこの場凌ぎだった場合、其方らの国は神獣、聖獣、ドラゴンから爪弾きされると心得よ」

「アネリストは誓いましょう。情報は流していませんし、シュタイン嬢を襲撃もしておりません」

「馬鹿馬鹿しい! 同じ班に立候補したんだぞ? 襲撃されたら僕まで危険じゃないか」

「そのままあなたとシュタインが連れ去られたとすればいいだけです。あなたも被害者だとすることもできますから」

結局、なんだかんだとセインの公子は誓いの言葉は避けた。

決まりだね。襲撃はセインだ。

でもアネリストも何か企んでいるはず。

レオン先生の騒動はアネリストの王子が絡んでいると思っている。

わたしが変化したのが何よりの証拠。わたしに何かするつもりだったのか、レオン先生にだったのかはわからないけど、「何か」はしていた。だからわたしの精神的攻撃されたと発動したのだ。そしておそらくケイトにも何かをした……。

だからアネリスト、そしてセインをわたしは信用しない。

「なぁ、シュタイン。ふたりは襲撃班でもないし、情報も漏らしていないというが、まだこのふたりと同じ班は嫌か?」

まだ言うか。

「嫌です」

「お遣いさまも自由に動かしていいとする、ならどうだ?」

先生はそう言ってこそっとわたしの耳に口を寄せる。

「相手の望みを掴むチャンスなんじゃないか?」

くーーー、性悪教師め。

確かにそうではあるのよ。近づかなきゃ、相手のしたいことはわからないからね。

でもリキやアーロンを危険な目に合わせるのは嫌。

「先生、他国はなぜシュタイン嬢を得ようとするのですか?」

A組の子が手をあげて先生に尋ねる。

先生は口の端を少しあげて笑う。

「よし、シュタイン答えてみろ。答えられたら、お前の意見を聞こう」

……クラク先生。わたし、いつもこの先生にはしてやられている感がある。