軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第1111話 Mother⑪稲妻ドラゴン

今日は稲妻ドラゴンの住処へ行く。

レオにも来てほしいので、最初から赤ちゃんたちみんなを一緒に連れて行くことにした。

最初は何も言わずに赤ちゃんだけを返すことができればいいと思っていた。

だって連れていたら、絶対攫った犯人だと思われる。

それで攻撃されてお陀仏になりたくないからだ。

だから銀龍のところでは、そっと置いてきて、赤ちゃんを親に見つけてもらおうと思っていたんだけど。

赤ちゃんだって、そりゃ不安だよね。目を開けたら、今までと全く違うところにいて、知らないドラゴンたちに囲まれているんだから。

稲妻ドラゴンのところへ、銀龍に連れて行ってもらうこともあり、最初から正々堂々と赤ちゃんを返しに行くことにした。

山裾での待ち合わせ。銀龍のお父さん、お母さん。そして長が待っていた。

一緒に行ってくれるらしい。

わたし、もふさま、兄さま、アダム、レオ、赤ちゃん5匹。

レオは長から丁寧に挨拶されていた。

話を聞いていると、シードラゴンは聖なる海の護り手さまから目をかけられている存在らしく、ドラゴンの中でも特別に思われているような感じだった。

前情報として、稲妻ドラゴンは地龍と仲が良くないそうだ。だから地龍のことは話題に出さないようにと注意を受けた。

わたしたちはもふさまに乗り、銀龍たちはそれぞれに空へと飛び上がる。

今の季節、稲妻ドラゴンの巣は第五大陸の上らへんにいることが多いそうだ。夏になると、第二と第三大陸の上に移るという。

どれくらい経ったろう。もふさまが走って走って。

水色の空に真っ白の積乱雲。ところどころ稲妻が走っている。それが稲妻ドラゴンの巣らしい。

あの中にどうやって入って行くんだろうと思っていると、

『来たぞ』と銀龍の長が言った。

うぉーーー、ドラゴンっていうけど、リザードマンの姿寄り。黄色いけど。だって手に槍持って飛んでるんですけど。これ、明らかに攻撃されるヤツじゃ。

赤ちゃんたちはわたしにギュッとしがみついてきた。

わたしたちを乗せたもふさまの前に、銀龍赤ちゃんのお母さんとお父さんが守るように出て、その前に長が。

『我は銀龍の長、ガルゴ。他、銀龍2頭、聖なる大地の護り手、シードラゴンのレオ殿。人族が3匹、ドラゴンの赤子が5頭。稲妻ドラゴンの長にお目通を願う』

わたしたち〝3匹〟なのね。槍を持って飛んできた5頭はしばらくこちらをみていたけれど、そのうち一頭が

『しばし、ここで待たれよ』

と言って、雲の巣の中に帰って行った。

頭がバグる。二重音声で言ってることはわかるんだけど、鳴き声は「ピッカピカ」なんだもの。いかついリザードマンの出立で、怖そうなのに、なんでピカピカ話すの〜!?

やがて戻ってきた槍持ちが、案内すると先に飛んでいく。

銀龍の長はわたしたちを振り返り、うなずいてからついて行った。

他と変わりない、雲のように見える真っ白の一部に突っ込んでいく案内ドラゴン。

え?とわたしは躊躇う気持ちでいっぱいだったけど、長も、銀龍のお父さんお母さんも、もふさまもその後をついていく。

なんか蜘蛛の巣に顔を突っ込んでしまったような違和感はあったけど、顔を触っても何もついてなくて、そこは黒いトンネルの中だった。といっても3秒で視界は開け、そこには神殿や街の壊れまくった廃墟に蔦が絡んでいる外観。下は白い雲のようなものではなく、土に見えた。そこから植物が生えていて、天井のない廃墟に蔓延っている。

で、でかい。

一瞬黒い物体がと思ったら、5頭の黄色いリザードマンたち、もとい、稲妻ドラゴンたちが目の前に降り立つ。

一際大きく立派な黄色いドラゴンが、蛇のような割れた舌で舌なめずりをした。

『久しいな、ガルゴ。連れてきたのは、客か、害なす者か?』

『害なす者を連れてくるわけなかろう』

『大地の護り手に、我、稲妻龍の長・マロンが挨拶申し上げる。して、空の領域に大地の護り手が何の御用か? それからシードラゴンは見えないが?』

しゃちほこばった話し方をしているけど、ピッカピカピカピカ高い声で話していて、……ダメだ可愛く思える。

『私はここにいるぞ』

レオがポンとぬいぐるみの姿で飛び出した。

言葉をなくす稲妻ドラゴンの長、マロン。

『シードラゴンはしばらく見ぬ間に縮んだのか?』

『リディアと一緒にいるために、普段は小さくなってるんだ』

レオが目を瞑って体に力を入れると、久しぶりに他のドラゴンと同じぐらいの大きさになった。

銀色、黄色、青、もふさまは真っ白。

これで赤と緑があれば戦隊モノになれそうだな、なんてくだらないことを思った。

緑はグロウィングドラゴンがそんな色だろう。赤はマルシェドラゴンのホルク。

……ホルクは元気かな?

『雁首揃えて、人族を連れてきた。それはそこのちびっこい人族が連れている我が同胞の赤子と関係するのかぇ?』

長・マロンの瞳孔が開く。そのぎょろっとした目でこちらを見たので、赤ちゃんたちがしがみついてきて、ミャアミャアー、フォーフォー、ミューミュー、ピカピカ、くりゅくりゅと大騒動になる。爪を立てられ、少し痛い。

『我は間に入る気はないが、最後まで人族の話を聞いてやってほしい』

そう願ったガルゴにマロンは鼻を鳴らした。その鼻息で人族なんか転がりそうだ。

『人族よ、話してみよ』

「はじめまして、稲妻ドラゴンの皆さま。わたしは人族のリディア・シュタインと申します」

わたしはカーテシーをした。赤ちゃんたちはわたしのどこかにひっついている。

「この半年の間で、さらわれた卵があったと思います。できたらそのお父さんとお母さんも呼んでいただきたいのです」

ドラゴンたちの目が細まる。

『おい、さらわれた卵はあったか?』

後ろでざわざわしている。報告が上がったようだ。槍持ちが大将にそれを伝える。

『追放者から訴えがあったようですが、いつもウソをつく者だったし、相手もいない者だったので話を聞かずに返したものがいるそうです』

マロンはわたしから目を離さずに咳払いをした。

『掟に背いたものはここから追放している。その中のもので卵を無くしたものがいるようだ。信用性がなかったため門前払いした。ゆえに、そのものの行方はつかめないだろう』

そんなこともあるんだ……。でも納得もする。だってこんな空の要塞にどうやっても人族が紛れ込んだっていうんだ。あり得ない。