軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第1076話 真っ直ぐな子供たち⑦ロードショー(後編)

第二王子殿下婚約者への攻撃だ、ふたりは騎士団から取り調べられた。

取り調べたところ、魔法残滓のあった男はダン・カーポ男爵の招待状で入ってきていたが、カーポ男爵ではなかった。

本物の男爵は御歳73歳。12年前の褒賞者であり、毎年後輩となる褒賞者たちを祝うのにこの場にきていた。けれど、今年は足を悪くしてとても長く歩けないと不参加を申し出ていた。王宮には届いていなかったけれど。

捕らえた男は若い、どう見ても50代にもいってなかった。

倒れたもう一人は偽ジャック・クロスランド伯爵だった。招待状をどうにかして手に入れた偽物ということはわかっている。

ふたりが気絶したのは……。

アラ兄が来賓席に潜む瘴気に気づいた。瘴気を玉に込める作業をひたすら修行のようにやっていたからか、瘴気の気配に聡くなっていた。

それでルシオに聖力で瘴気を鎮めてと言ったそうだ。

神官の聖力。聖水と同じぐらいの効力しかないそうだけど、やらないよりはマシと思い、会場に聖力を振りまいた。するとあのふたりが気を失ったということらしい。

ちなみにこの後、ルシオの聖力が一気に増えていたことがステータスボードによりわかる。なぜ急に増えたのかは謎なんだけど、ずーっとずーっと後からルームを使う(移動する)と、個人の優れたというか特化したスキルが強化されていくことがわかった。

わたしの場合、ユニークスキル特化となり、あの変な名前の進化していくもの全体、つまりわたしの場合は枝分かれしているからひとつがばかばか進化していくわけじゃないので、そこまで感じなかった。

アダムたちはだいたいひとつだけ、修行みたいなことをしたわけでもダンジョンにこもったわけでもないのに、なぜ急に伸びるんだ?と悶々としていたようで。それが何か出来事がありルームを頻繁に使うと数値が飛躍しているということに気づく。

家族だけだったら、ダンジョンとかもよくいくし、一生気づかないかもしれないことだった。

と、話を戻そう。

リノさまを傷つけようとした実行犯はふたり。ひとりがみつかって、ふたりとも瘴気をばらまき、その隙にどうにかして逃げようとしたようだ。

ふたりは何も話さないけど、鑑定で外国人ということがわかった。元セイン国の人。年齢は35歳と36歳。牢屋に入れている。

鑑定と聞き、鑑定を思い出して映像に鑑定をかけてみたけれど、映像を通しての鑑定はできないことがわかった。ちっ。

お次は港ぐみのアダムの撮ったものだ。

桟橋にクローズアップ。左側は3番、右側に4番の標識がついている。

左側には大きな船。右側はその半分もない小さな船。そしてその隣にまた、3番より小さく、4番より大きな船。どの船も比較的新しくきれいめ。

桟橋には人が群がっている。わたしたちが連れて行ったようなものだ。

タラップから外れたところにいる子供たち。その中の3人は成人しているぐらいに大きいけどね。その団体のうちひとり、またひとりいなくなる。

同じ船を見上げていた人たちは気付いてなかったけれど、お隣の船乗りさんは明らかにギョッとして、恐らく上の人を呼びに行ったのが映り込んでいた。

到着した船に乗り込んでいる人たちがいる。それは通報したほうがいいか、尋ねにいったんだろう。

船に乗り込むみんなは、甲板の手すりに一度ぶら下がって手すりを超えたけれど、わたしを抱えたアダムだけは跳躍でそのまま中に入ったから驚きだ。

思わずどんだけ運動能力あるんだよとジロっと見てしまった。羨ましい!

2つの班に分かれ、甲板を早足で歩く。地下への階段をみつけて中に入った。

色テープに家名が書かれていることに気づき、みんなでチェックして回る。もふさまと会話したわたしが〝弱った子供の気配〟を伝え、真ん中のレーンへ。

ブライが木枠の一部を壊し中を覗き込んだけれど、首を横に振る。

わたしはライトを作って中に入れた。

すげー、カメラワーク。木箱の中で折りたたんだように重なった子供たちと、端に置かれたイグアナのような魔物。それから小さめの木箱が積んであるのが映し出された。

ロサたちが息をのむ。

劣悪な環境は表情を固まらせるのに十分な衝撃映像。匂いつきでなくてよかった。

って、中にいたあの子たちは辛かっただろうに、そんなこと思うものじゃないよね。どこから運ばれてきたのかわからないけど、最低でも3日以上、あの中で水も、食べ物も何も与えられずに……。

アダムが派手に木箱を破壊。

中から子供たちを救い出した。合流したロビ兄たちにも細かに指示をして逃げ出す。わたしが布を入れたのを見届けて、アダムも走り出した。

みんなが荷物を抱えて軽やかに走って逃げる中、何も持っていないわたしだけがどんどん遅れ……そしてフレームアウト。

みんなしてわたしを見る。わ、わたしだって精一杯走ってたよ、本当に。

みんなは無事船から脱出。桟橋に隣の船の荷がドカンドカンと置かれていたので、その影に寄り添い全員が揃うのを待つ。

ロビ兄とアダムが同時に荷を地面へとおろし、船に向かおうとしたのをブライが止めた。

「もし見つかっていたら、今行くのは悪手。後で救い出すことを考えたほうがいい。それにお遣いさまがいるんだ。もう少し待とう」

ブライがまともなことを!

そこにもふさまがトカゲのわたしを背負って合流。

みんな一瞬で状況を理解したみたい。安心したような、表情が浮かぶ。

そこにおずおずという感じで声がかけられた。

「あの、騎士団長ご子息のエイウッドさまではありませんか?」

もふさまとわたしに気持ちがいっていたようで、突然の声に《《みんな》》ものすごく《《驚く》》。

「誰だ!」

鋭く投げかけた。

ブ、ブライってそんな声も出すんだ。び、びっくりした。

「……お前」

「あ、シュタイン家の……」

声をかけてきたのはコビー氏。荷を持ったまま潜んでいるみんなを一瞥。

「コビー・マグノリアです。シュタイン家に恩があります。こちらは私と共同事業をやっているものの船です。とりあえず見られる前に中に入りませんか?」

荷の出入り口からみんなを船の中へ。

コビー氏はみんなに挨拶をした。

学園生だったこと。ブライは有名だから見たことがあり、ロビ兄とは面識がある。妹がしたことで自分も退園かと思ったけれど、シュタイン家の温情で免れたこと。学園を卒業したからこそ、仕事に着くことができ、共同事業のパートナーとも、仕事もうまくいってること。

船員たちが隣の船で怪しい動きがあると言われ見にきたら、見知った顔があったので話しかけたと結んだ。