軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第1041話 地道な調べ物⑨統一性がない

『魔力もリディアほどあるわけでもないし放っておいたが、何かあったか?』

トイレから出ると、顔をあげたもふさまに尋ねられる。

「ううん、多分、嫌味言われただけ」

『イヤミ? むかつくやつだな!』

もふさまのリュックが揺れて、アリが怒っている。

ふふ、代わりに怒ってくれる人がいると、心って穏やかになるよね。

『あの童はリディアに反感があり、ロビンがそれを感じたのか?……』

「それはどうだかわからない。警戒はするけど、最初から決めてかからないようにしようとは思ってる。それで見えなくなることもあるから」

『そうだな』

もふさまが頷いてくれた。

室(へや) に戻れば、アダムは手紙を読み終えたようだ。

からかさちゃんも戻ってきて、そして後半の3つ、ロビ兄から報告が始まった。

4箇所目は、ロマッティー商会の倉庫。倉庫といっても、元貴族の邸を買い取ったもので、物を置くためというより、大人数での商談に使うためのもの。

他の集会では空き家、つまり使われていない屋敷で行われていたのに、ここだけは危ない橋を渡っている。近所の人は、やっと買い手がついたのかなーと思ったらしい。この屋敷は商談に使われるところだから、逆にそこは周りから不審がられはしなかったようだ。

ロマッティー商会元締めの孫がロビ兄のクラブの後輩なので、その子と話しにいったそうだ。ただズバリ聞くと、ズバリ調べていることがわかってしまうので。いくつかの商会について調べていて、ロマッティー商会ぐらいの規模になるとどれくらいの商品が動くものなのか、知っていて話せることだけでいいから教えてくれないかと持ちかけた。

その子は前からおじーちゃんの商会を手伝えるようになりたいと言っていたし、元締めに可愛がられているらしい。それからロビ兄に憧れているようで、声をかけられ、話してはいけないことは言ってないだろうけど、話をいっぱいきかせてくれたそうだ。

ロマッティー商会はウッド商会よりも規模は小さいものの、下級貴族から、平民たちよりにターゲットを狭め、他国にも支部がある大きな商会だ。

支部にはそれぞれやはり倉庫がある。これは商談用ではなく、商品をおいておくものだそうだけど。商品に何かあると大損害になるので、ガードマンがいるのはもちろん、録画の魔具をつけているそうだ。

国内の倉庫でも録画はしているのかを尋ねたところ、そうだという。ガードマンもつけているのかと尋ねたところ、もちろんという話だけど、思い出したように、ひとつだけ倉庫といっても商談を行うための場なのでガードマンはいないということがわかった。

それが3区のロマッティー商会倉庫だ。でも、魔具はつけっぱなしというのを聞いて、ロビ兄とからかさちゃんは顔を合わせた。

ロマッティー商会の中の人間なら誰もが商談用倉庫のことを知っていて、録画の魔具のことは幹部しか知らないそうだ。

ロビ兄、大したことはわからなかったって言ってたけど、謙遜じゃん。

ロビ兄は、アダム経由で上に報告した。4箇所目の集会、録画されている可能性あり、と。

ロマッティー商会から、邸が無断使用されていたという報告も上がっていないから、黙って使われたことに気付いていないのかもしれない。

5箇所目は2区にある国の所有地。草ぼうぼうの荒地。

その隣の屋敷がちょうど建て直し中だったそうで、敷地の真ん中だけ草がきれいに刈り取られ、そのあたりであおぞら集会をしたそうだ。

工事の休みの日だったそうで、誰の気にも止まらなかった。

6箇所目は7区の元フィフィ邸。商業ギルドが預かっていて、来月には新たな住人が引っ越してくることが決まっている。

「みんな、お疲れさま」

アダムが労ってくれた。でも集めた情報は点が多いだけで線にはならない。

「何もつかめないな」

ロビ兄がため息。

「どういうことです?」

スタンガンくんがうかがうように言った。

「所有者も点でバラバラ。場所も。複数の人が決めているのかもしれないですね」

からかさちゃんの発言で、スタンガンくんは理解したみたいだ。

「持ちまわり制、とか?」

アダムが顎を触る。

「それはあるかもしれないな。幹事をバトンタッチしていくんだ。そうすれば法則性はつかみにくくなる」

「場所もバラバラですもんね」

そりゃ人を増やすのが目的だからいろんなところでやるだろうし。空き家が固まってあるわけでもないし。

っていうか逆によく空き家がこんなにあったと思ったよ。

「どうした?」

ロビ兄に聞かれる。

「いや、ね。王都なのに空き家がけっこうあるなと思って」

「王都だけに入れ替わりが早いって聞くね。特に3区や2区は」

「2区や3区はお店が多いですもんね」

とアダムにからかさちゃんが同意する。

「地方から王都でお店を持ちたいって人の落とし穴だね。

いくら2区や3区にお店を出せても、王宮寄りでなければ人通りは見込めない。だから王宮よりは土地代が跳ね上がる。手が出せるような金額だと集客が見込めなくてすぐに撤退となることが多いそうだ」

なるほどねー。お店持っていたら王都にも店があるってちょとしたステータスだもんね。同じ王都の中でも、外れの方は土地代が安くて、飛びつきたくなる。だけれども集客できなくて、所有者も代わりやすくなるってことね。

だったら、そういう場所に合わせたアプローチを考えればいいのに。

と、うっかりお店のことを考えてしまった。はた織り村のお店を作ってもいいかもな。集客は口コミと紹介制にするから場所はどこでもいい。あの村に来てもらったり行くのは大変だから外れであっても王都にあった方が断然いい。

発注、受け渡しの場所にするのだ。9区の楽器店がまさにそういう使い方をしてるわよね。口コミで集客は見込めるのだ。

「何か思いついた?」

やべ。商売のことを考えていた。

「え?」

と、すっとぼける。

「ニヤッと笑ったから」

アダムめ、よく見てるな。

ノートをパラパラとめくる。

「思いついたんじゃなくて、書き留めようと思ったの」

「書き留める?」

「そ。簡易地図なんだけど」

わたしは自分たちが調べた集会のあったところにバツ印を描き入れたノートのページを開き、ロビ兄が調べてきたところを描き入れていく。

「本当にバラバラだな」

アダムの呟きにみんなも重たく頷いた。