軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第1031話 後輩の真面目な質問(前編)

「隠れているのか、わざと見えるようにしているのかわからないが、なんか髪の毛に包まれたような者が後ろにいるぞ」

「知ってます」

部室を訪れ、しばらく休むとエッジ先輩に伝えたところだ。

来るときに気づいていた。アダムが。

もふさまもだけど。

後ろからからかさお化けちゃん、もとい、2年生のミープ・ロイター嬢がついてきていることに。

わたしたちは学園生。届けを出さないと外には出られないことになっている。

あ、でもブライは学生ではないエリンたちと合同練習するために、ブライの家の演習場で稽古をつけると言ってたっけ。馬に乗れるとエリンがはしゃいでいた。ケインやアニーに乗りまくってるじゃんと言ってみたところ、移動に適した子と戦いに適した子は違うそうだ。ケインは上で剣を使っても動じないけれど、アニーは野蛮なことは嫌いらしい。そしてケインは自分で戦うのが好きだから、自分で戦い出してしまう。だからうちのお馬さんたちは戦いに向いてないそうだ。

騎士団のお馬さんは勇敢で、乗せている人の言うことを忠実に聞いてくれるので、戦うときにとても走りやすいんだって。

兄さまはイザークとルシオと外を見回るらしい。イザークやルシオは魔法士や神官の仕事で学園外で仕事をすることが今までもあるから、許可は取りやすいそうだ。

わたしの班は同じ学園生だけだから、集まるにはいいのだけれど、そこらへんで話をするわけにもいかない。

そこでアダムが別棟の部屋を借りてくれている。今後そこでわたしたちの班会議をする予定だ。

もしかして場所がわからないのかなと思って、ついてきているってわかった時に声をかけようとして振り返ったら、すすすって物陰に隠れた。

全然隠れられてなかったけど。

ってことは、隠れてついてこようとしているのかなと、放っておくことにしたのだ。ちょうど、エッジ先輩が部室に入ろうとしたところだったので、わたしはお休みすることを伝えた。

わたしと話している時も、視線がなんか後ろに行くなーと思っていたんだけど。からかさちゃんを見ていたらしい。

髪の毛に包まれたようなとは言い得て妙だ。

恥ずかしがり屋なのかもしれない。別棟の場所は地図でわかるだろうけど、行きにくいと思っているところにわたしたちを見つけてついてきているのかもしれなかった。

「なんか、今度も大変そうだな」

エッジ先輩、背が伸びたな。最初はちょっと見上げるぐらいだったのに、ここ1年でグッと背が伸びて、見上げないとだ。

「できることがあったら協力するから、あんま抱え込むなよ」

「ありがとうございます」

エッジ先輩はちらりとアダムに目を走らせて、部室に入っていった。

「アダム、ありがとう。別棟に行こう」

「どういたしまして」

もふさまはのんびりとあくびをしてから立ち上がる。

からかさちゃんが擬態している壁を通り過ぎて、別棟へと向かうと、後ろからついてくる。

くる人くる人、後ろの彼女の動きにビクッとしている。

多分、物陰に隠れながらついてきているんだろうけど、余計に目を引いている。

なかなかクセの強い子だな。

室にたどり着くと、ロビ兄とスタンガン子息が先に来ていて、ものすごく空気が悪かった! 二人しかいないのに!

窓を開け空気を入れて、テーブルと椅子を出そうとするとロビ兄が手伝ってくれた。

いつの間にかからかさちゃんも室に入ってきている。

アダムがお誕生日席で、近い席にわたしとロビ兄が向かい合い。わたしの隣にからかさちゃん、ロビ兄の隣にスタンガンくんが座った。

「班長のゴーシュ・エンターだ。よろしく」

からかさちゃんの手が上がる。

「どうぞ」

「なぜアダム、と呼ばれているんですか?」

そこ?

「あだ名だ。それが気になる?」

「私もそう呼んでいいですか?」

……ひょっとしてアダムを気に入ってつけてきたとか?

アダムはわたしをちらりと見てから頷く。

「あだ名だからね、どうぞ」

からかさちゃんは頷く。

スタンガンくんが手をあげる。

「シュタイン先輩はふたりいるので、ロビン先輩、リディア先輩とお名前で呼んでもいいですか?」

わたしとロビ兄は、どうぞと頷く。

「私も、いいですか?」

からかさちゃんに言われて、わたしたちはもちろんと伝える。

目だけしか見えないけど、嬉しそうにしている、かな?

「作戦会議が始まる前に、皆さまにお尋ねしたいことがあるのですがいいですか?」

そう言ったスタンガンくんに、一瞬アダムの目が細くなった気がしたけれど。

「そうだね、先に話しておいた方がいいんだろうね、なんだい?」

聞きながら、アダム推測済みなんじゃと思えた。

「先輩方は第二王子殿下が王太子になるのがふさわしいと思っているんですか?」

ストレート!

「そういう君は第三王子殿下が王太子になるべきだと思っているのかい?」

「本当のところわかっていません。父は第三王子殿下がなるべきだと言います。家にいると、そう言わされます。でも王族とはあまり話せません。クラスは同じですけど、同じ空間にいるだけです。殿下がどんな人なのか……見ているだけで、知っていると言っていいかわかりません」

「バンプー殿下と友達じゃないのか?」

友達枠で呼ばれていたと思ってただけに驚くよね。わたしと同じ疑問だったようで、ロビ兄が確認する。スタンガンくんは首を左右に振った。

「ほぼ、話したことはありません」

アダム、ロビ兄と目が合った。

「令嬢も友達ではないのかい?」

「一度ノートを回収したときに、よろしくと言っていただきました」

「殿下と仲のいい子は誰なの?」

わたしは尋ねた。

スタンガンくんとカサカサちゃんは目を合わせた。

「殿下はいつもひとりです。友達というような親しい人はいないんじゃないかな?」

え。