軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第1012話 当事者?

「それが……多分明日の午後、みんなも呼ばれると思う」

え?

「陛下は 件(くだん) の新興宗教の裏にいるものを探すことと、その真相を明かし、悪いものなら壊滅せよと、そのことを試験にされると思うんだ」

アダムが軽く息を吐き出す。

「みんなメンバーか?」

「他にもいる。リノ嬢、アイリス嬢、アイボリー嬢、マーヤ嬢、フランツ、エトワール嬢、ノエルくんも呼ばれる。それから2年生のバンプーの親しくしているものたちを、第四王子・コリンのお披露目のお茶会って名目でね」

「コリン殿下はバンプー殿下のひとつ下ですよね? あれ、でも学園には……」

アラ兄が口にすると、ロサは頷いた。

「コリンは元より王位継承権を手放している。ユオブリアの学園には通わず、来年からフォルガードに留学が決まっているんだ」

「アガサ王女、寂しいでしょうね」

アラ兄が呟く。

コリン殿下とアガサ王女はお母さまも同じ兄妹だから。そのお兄さんが外国に留学しちゃったらそりゃ寂しいだろう。

「第四夫人もいらっしゃるのか?」

アダムが尋ねる。

「呼びはしないが押しかけてくるだろうな……」

「第二夫人はいらっしゃるんですか?」

今度はダニエルが尋ねる。

ロサはしっかりとため息をついた。

「第四夫人けん制のために行くって言ってた。一番お気の毒なのはコリンの母上の第三夫人だよ。せっかくのコリンのお披露目なのに、第二と第四夫人が来て、コリンとは関係ない王位継承権の試験の説明の場として使われるんだから」

「なんで大人ってのは子供の気持ち考えねーのかな。コリン殿下がお気の毒だ」

ロビ兄が真っ直ぐに怒る。

「ロビンの怒りは真っ当で正しい。

ただコリン、バンプー、私。そしてその協力者の子供たちを守る一面も確かにあるんだ」

ロサがロビ兄を肯定しながらも、教えてくれた。

「他の子を守るのはわかるけど、コリン殿下を守ることに繋がるか?」

ブライが腕組みをして口を尖らせた。

「コリンは王位継承権を手放しているのに、疑い深い奴はどこにでも湧いてくる。そうやってコリン自身と第三夫人のご実家の領地に圧をかけたりする者がいるんだ。憶測でね」

えー、憶測で、第三夫人のご実家の領地にまで?

と反射的に驚いたけど、思い返せば今までだって憶測で横槍ってのは入ってきた。先読みして出てくる杭は打ち、あるものは優位に立つため、あるものは静かに生きることを願い、他者に牙をむく。

「元王妃さまが廃妃になるまでは、元王妃さまのご実家が睨みをきかせ、そういう動きを止めていたんだ。側室たちのこと全てを司るのが〝王妃〟の役割でもあるから。でも、王妃はもういない。

代わりに母上である第二夫人が全てを取り締まらなくてはいけないんだけど、元王妃のご実家との権力バランスが崩れ、うまくいってないのが現状だ」

……貴族の奥方の仕事はまとめて奥のことと言われ、家のこと全てを統制することになる。陛下の奥方は6人いらっしゃる。5人の家のこと、つまり領地のことまで把握して、領地の内側、外側からの攻撃も見据え全てを手の上にしていたんだ。

うわー、マジで大変そう。あまりに凄すぎてありふれたイメージでしか想像できないや。ひとり減って4人となったといっても、大変さは計り知れない。

アリが大きなあくびをした。そしてゴロンとしているもふさまのお腹の毛の上に自分もゴロンとする。いいな、気持ちよさそう。

「コリン殿下のお披露目お茶会で、王位継承権にまつわる話をするのが、殿下は手放しているって強調できることになるの? っていうか、表向きの理由を用意してるんだから、秘密裏にってことじゃないんですか? としたら、王位継承権を手放したコリン殿下のお茶会に、次代に繋がるかもと目をかけられている子供が集められたら、その方が問題じゃないか?」

ロビ兄が尖る。

ダニエルが口を開きかけたけど、同時に話し出したロサに譲った。

「コリンのお茶会に兄の私とバンプーが参加する。そして集められるのは、私とバンプーが懇意にしている者。王宮で行われることに目を光らせているのが貴族たちだ。これぐらいの披露目なら、陛下が暗に貴族たちに伝えていることだと理解する。そしてその内容が王位継承権の試験がらみなら、完全にコリンは継承者から外されていると考えられる」

王族の考えはちょっと特殊になるよね。

探られることが前提だから、それの裏の裏をかくみたいのが普段使いになっていて、いろいろ麻痺している。

集められたら全て関係者って思われるのが普通だ。けれど表向き、そのダシに使われたコリン殿下だけは部外者。そう理解するってことだ。謎すぎる。

「……おれはコリン殿下が辛くなきゃ、なんでもいいけど」

ぶっきらぼうに言ったロビ兄に、ロサはありがとうを言った。

そうか。じゃあ陛下は考えた上で、コリン殿下のお披露目お茶会を開き、そこで王位継承権の試験について話されるんだね。

筋は通っていたとしても……自分は絶対に参加できない試験について父親からの発表がある。コリン殿下が王位を継ぐということに対してどう思っていらっしゃるかは知らないけど、当人から見るととても残酷に映る可能性もあるんじゃないかなと思ってしまう。

陛下は第一王子殿下のことも愛していた。でもだからこそ、守るために距離を置いたり、目をかけてないような素振りをすることもあった。それは殿下を護るためであったけど、アンドレ殿下本人の目にはとても残酷に映っていた。

どう思われるかはご当人にしかわからないけど……でもアンドレ王子のあの心の叫びを知るものとしては、なんか心配だ。

「そうなってくると、分担するとかえって厄介そうだな」

アダムが天を仰ぐ。

「そうだね。効率は悪いけど、みんなで進めていくほうがいい気がする」

ロサの決定にみんな頷く。

「宗教の件は明日陛下の話があってからだ。リノ嬢とリディア嬢の件についてはリディア嬢の案の通りで。何か動きがあったら教えてくれ」

「はい」

わたしはもちろん請け負った。