軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

45 至福のおやつタイム

ぎゅるーん

「……んむ?」

自分の体内、お腹の辺りから響く音に起こされました。

何でこんなにお腹が空いてるんだろう。お昼ご飯食べたよね?

…あれ?? 私、お昼の途中から記憶がないかもしれない。いつの間にお昼寝したんだっけ。そんでもって、ここは何処???

ぎゅるぎゅるぎゅる

記憶を探ってみるが、やはり思い出せない。その間にもお腹の虫は騒ぎ続けている。

どうしたもんだかね?

「―――…ユーリちゃん、目が覚めたみたいだね。おはよう」

「フォルしゃん」

目をぐしぐし擦っていると、少し離れた所で座っていたフォルさんに声を掛けられた。

「ここ、どこでしゅか?」

「医務室にある当直室。今の時間なら誰も使わないからゆっくりお昼寝出来るかと思ってね」

「ありがとうございます」

取り敢えず起き上がってフォルさんに場所を教えて貰った。

よく見るとお昼寝しやすい様にエプロンドレスとナースキャップは外されている。至れり尽くせりだ。

…それにしても、お腹空いたなー。

鳴き喚くお腹を撫でつつそんな事を考えていると、クスリとフォルさんが小さく笑う。

「ディルナン隊長がユーリちゃんにオヤツを用意してくれてるよ。午後の仕事の前に食べて行こう」

「オヤツ」

フォルさんの言葉に、キュピーン! と目が光る。

でもその前に自然が呼んでいる気がするので、ちょいとお花摘みに行って来てもいいですかね。

外して貰っていた付属品は付けずに、ぷきゅぷきゅサンダルを鳴らしつつお手洗いに行き。

音に反応した調理部隊の面々の一部が食堂から顔を覗かせてくれた。

ディルナンさんに用意して貰ったらしいオヤツのお礼を言うと、お腹の虫の音を笑われつつしっかり食べて来いと言われ。

アルフ少年には後頭部に少し付いていたらしい寝癖を直して貰い、手を振って別れると医務室への道を辿る。

その間、サムさんは笑顔のオルディマさんに羽交い絞めにされていた。そんな状態でも態々厨房からサムさんを出すのは何故だろうか。熱視線が痛いです。

そんなこんなを経て、無事にフォルさんの所へ戻って来ました。

私が席を外している間にオヤツの用意をしてくれていた。

テーブルの上にはサツマイモと南瓜が練り込まれた蒸しパンとカットフルーツ、牛乳が。

「ふわぁー!」

「流石はディルナン隊長だね」

「あいっ。しゅてきなおかーしゃんよー」

素敵過ぎるオヤツをフォルさんにも褒められ、胸を張って自慢する。

すると、何故かフォルさんが噴出した。

「ぶふっ」

「?」

「…何でもないよ。さ、食べたら仕事に行こうね」

「あーい」

口元に手を当てて笑いを押し殺そうとしつつも肩を震わせるフォルさん。

私ってばそんなに楽しい事言ったかね?

それにしても、素敵な幼児用オヤツだ。完成度も高いよ。

それでは、いっただっきまーす!

蒸しパンに入っているサツマイモと南瓜は最初に蒸かしてあるらしく、それだけでも非常に甘くて美味しい。それにしっとり、もっちりとした甘さ控えめの蒸しパン生地がまたベストマッチでございます。

私の手の平の半分位のサイズで二つ。量も程良い。

それに、八分の一カットの兎さん りんご(ポムル) が二つ。

牛乳を飲みつつ、うまうま食べる。

「あ、そうそう。これもユーリちゃんに渡しておかないと」

「う?」

もっきゅもっきゅ蒸しパンを噛んでいたら、フォルさんが何かを思い出した様に告げる。

視線をフォルさんに向けると、フォルさんのポケットからお昼にサムさんから貰った焼き菓子が出て来た。

……あれ、私、本当にいつ寝たの?

「昼食の残り三分の一くらいかな? お皿に飛び込みそうになってたよ」

「!」

私、声に出してないのに何で答えが返って来るんでしょうか(冷汗)

「ふふ。ユーリちゃんは 表情(かお) に出やすいんだよ。僕が特別な能力を持っている訳ではないよ」

「むーん」

フォルさんに可笑しそうに笑って言われ、思わず左手で頬に触れる。

表情の事なんか特に考えた事なんてなかったなぁ。

「北の魔王城はクセモノが多いから、大抵の人はユーリちゃんの表情は読みやすいと思うよ?」

「クセモノ…」

フォルさんのこの言葉に、数少ない知り合いの中でも何人かの顔がチラリと浮かぶ。

エリエスさんとか、ヴィンセントさんとか、ロイスさんとか。

あと、目の前のフォルさんもだよね。

「その想像はほぼ間違ってないと思うよ。ただ、ボクを含めていいかは分からないけどね」

「……」

やっぱり、フォルさんは 特殊能力者(エスパー) だと思うの。

表情筋、鍛えようかしら…。

………それにしても、オヤツうまー。

そんなこんなでオヤツタイムは終了。

サムさんから貰った焼き菓子は亜空間に入れておきました。

カラフさんに教えて貰った通りにエプロンドレスをしっかりと身に着け、ナースキャップも装着。

最後にフォルさんから救急箱を受け取り、なんちゃって看護師さん一丁上がり。

「じゃあ、今から闘技場に行くよ」

「あい」

「着いたら簡単に状況説明をして手当を開始するからね。危ないからはぐれない様にちゃんと手を繋いでいて」

「あい!」

差し出されたフォルさんの左手(の指先)をギュッと握り、準備完了。

いざ出陣しまーす!