軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第二話:アンチマテリアルライフル

エンシェント・エルフが新たに生まれた。

今は天狐のクイナ、エルダー・ドワーフ、エンシェント・エルフと共にマルコのダンジョンにある広々とした草原のフィールドで実験を行っている。

彼女に合う武器探しだ。

天狐の場合、近接戦闘を好むためショットガンを選択し、エルダー・ドワーフは何処の距離でも戦える対応力を重視し、アサルトライフルを選んだ。

エンシェント・エルフはまだ戦いのスタイルが定まっていないのでいろいろな武器を試さないといけない。

クイナとエルダー・ドワーフは若干あたらしい妹に警戒心を持っているが、一応、まともに会話はできるようになってきた。

「クイナのおすすめはやっぱり、ショットガンなの。こう敵の中に突っ込んで、一発でどかーんってするのが気持ちいいの」

若干おびえながらも、それでもしっかりとクイナはお姉さん風を吹かせる。

さすがは俺の【誓約の魔物】。

「ありがとう。クイナちゃん。でも、しっくりこないですね。そもそも私は防御力に不安がありますし、近づかなくても当てられますから、合ってない気がします」

彼女の言う通り、エンシェント・エルフは、翡翠眼と言う最高の眼と、魔弾の射手という射撃スキルがある。

わざわざ危険を冒してクロスレンジで戦う必要はないだろう。

「なら、アサルトライフルがおすすめ。装弾数が多いし、命中精度が高くて遠くまで狙えるし取り回しがいい。攻撃力も、7.62mm弾なら十分。なにより安定感が抜群」

次は、エルダー・ドワーフがアサルトライフルを薦めた。

彼女の言う通り、アサルト・ライフルは安定感が抜群だ。

無難行くなら、それがいいだろう。

「確かにいい武器だと思います。ただ、やっぱり物足りないんです。もっとこう、お腹にドカーンってくるのがいいです。ショットガンぐらい大きく響いて、ずっと遠くまで狙えるような武器があればいう事がないんですが」

ショットガンクラスの攻撃力があり、遠距離で使える武器か……一つ頭に浮かんだものがある。

だけど、あれはそもそも持ち運んで使うようなものじゃない。

まあ、いい機会だ。試すだけ、試してみよう。

「エンシェント・エルフ。今から新しい武器を出す。それを試してみてくれ。【創造】」

俺は、自らの力で武器を生み出す。

魔王はそれぞれユニークスキルを持っている。

俺の【創造】は、

『【創造】:記憶にあるものを物質化。ただし、魔力を帯びたもの、生きているものは物質化できない。消費MPは 重量(グラム) の十分の一』

と言うもので、おかげでさまざまな物質を物質化してきた。

記憶喪失なのに様々な武器の記憶は残っていた。

「見てのとおり、かなり大げさな武器だが、まあ一応試してみてくれ」

俺が生み出したのは、アンチマテルアルライフルだ。

アンチマテリアルは超長距離射撃及び、超貫通力を目的として開発された大型のライフル。

通常のライフルよりも、長く、大きく、重く、反動も強烈だ。

その中でも名機パレット ML82A1だ。

パレット ML82A1

全長1450mm。重量14.0kg。装弾数11発 口径12.7mm×99 初速853m/s 有効射程2,000メートル

口径と破壊力はミスリル・ゴーレムが使用する、重機関銃と同等。

だが、重量は三分の一でぎりぎり携帯できる。

重さも、長さも、エルダー・ドワーフの愛用するMK417の二倍近い化け物だ。フルオート機能はついてないがセミオートなので一応連射もできる。

「素敵です! たくましくて立派で。これ撃っていいですか?」

「使い方はわかるか?」

「なんとなく遠くを攻撃する武器の使い方はわかるんですよ」

おそらく魔弾の射手のスキルの効果だろう。

遠距離武器に関しては彼女の右に出るものはない。

「いい感じです。しっくり来ます。これならいけるかも」

エンシェント・エルフが下唇をペロリと舐めた。

「三キロ先にいい小石があるので、それを狙ってみます」

「その銃、伏せて使うのが基本だぞ? 立ったままで撃てるのか」

「余裕です」

本来、全長1450mmもあるアンチマテリアルライフルは二脚を使って地面に伏せて撃つ。

そうしないとあまりの銃身の長さと重さで狙いなんてろくにつけられない。

だが、立ったまま二脚も使ってないのに、ピタリと銃身が止まる。

筋力だけじゃない。風で支えている。器用なものだ。

俺は、双眼鏡を【創造】し、彼女の狙っている目標の様子を確認する。

「行きます!」

トリガーをひいた。轟音。

さすがに12.7mm弾は迫力が違う。

発射と同時に風の魔力を感じた。

その弾丸は、3キロ先の目標をあっさりと砕いた。

まさに魔弾の射手。

「エンシェント・エルフ。今の弾丸おかしくなかったか? 空気抵抗で失速するどころか、加速したような」

「あっ、わかります。風の力を借りたんです。邪魔しないでって通り道に居る子にお願いしたり、ちょっと後押ししたり」

なんていう反則的な力だ。

速度が増すほど空気抵抗が大きくなる。それも距離が遠くなればなるほど風の影響は大きくなる。

だが、エンシェント・エルフはその影響をゼロにするどこかプラスにさえかえて見せる。

彼女ほど長距離射撃に適した魔物はいないだろう。

さらには、おそらく反動すら風のクッションで打ち消している。そうでないとこんなものを立射したら肩の骨が折れるぐらいの強烈な反動があるのだ。

「期待以上だ。エンシェント・エルフはそれを武器にしよう」

こうやって軽々扱えるなら、取り回しが難しい、パレット ML82A1でも問題ないだろう。

一応、距離を詰められたときのためにサブ・ウェポンも考えておかないと。

そんなことを考えいるとエルダー・ドワーフが近づいてきた。

おそるおそると言った様子だ。

「ルフ、その銃気にいったならもっと火力をあげられる。ミスリル・ゴーレムの重機関銃ように開発した弾を流用できる。素材を替えるだけで強度があげられるし、そんなに手間はかからない」

「エルちゃん、すごいです! 可愛いのに賢いんですね。ぜひ、お願いします! 初速があがればもっと素敵な軌道になりますし遠くまで飛ばせます」

こいつはある意味遠距離射撃フェチなんだろう。

まあ、何はともあれエンシェント・エルフの武器が決まった。

「そういえば、エルダー・ドワーフは自分の武器は改造しないのか?」

少し不思議だった。この前までクイナのショットガンの改造にかかりっきりだったのは知っているが、今は余裕がある。

エンシェント・エルフの前に自分の武器を強化する余裕があるはずだ。

「そっちはまだ、設計案段階。取り回しの良さを失わずに精度と威力の両立を目指してる。火力バカの二人みたいに、とりあえず威力をあげて壊れないようにすればいいってわけにはいかない」

なるほど、そっちはそっちで頑張ってくれているのか。

楽しみだ。

もしかしたら、銃の技術革新を見れるかもしれない。

そのあと、しばらくの間射撃練習を行った。

特に今日行われたエンシェント・エルフの空中射撃には驚かされた。

風魔術で高速で飛行しつつの、精密射撃。戦術的にかなりのアドバンテージになることは間違いない。

帰り際に告げる。

「そういえば、言うの忘れていたけど、あしたみんなで人間の街に行くぞ」

俺がそう言った瞬間、三者三様に驚く。

実はずっと前から決めていた。

人間を呼び込むには、まず人間を知らないといけない。

人間の街でさまざまなものを見てみよう。