軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第二十四話:狂気に染まった風の竜

天狐やエルダー・ドワーフ、ワイトが率いるスケルトン軍団。の活躍で最後の部屋にたどり着く。

グリフォンも、途中どうしても飛び越えられないがけがあったので役にたった。

一度、魔物を【収納】して俺がグリフォンに乗って飛び越え、再び魔物を取り出すことで容易に進めたのだ。

天狐やエルダー・ドワーフは【収納】を嫌がったが、グリフォンは俺と少女二人を乗せるぐらいは、容易くやってくれる。

ある意味、ストラスは風のイミテートを渡して墓穴を掘った形だ。

「それにしても、すごいことになってるな」

「我が君、これが 私(ワタクシ) の力、アンデッド作成です」

ワイトは、死体を材料にアンデッドを作成する。

生前のランクより一つ、ランクが下がるし、固定レベルでしか生み出せないがノーコストで魔物を増やせる。大変経済的なスキルだ。

骨だけになった巨鳥の魔物や、腐りかけたグリフォンなどが俺たちの後ろに付き従っている。その数十体。

ワイトの話では一日一〇回の使用制限があるらしい。

「いい、壁になりそうだ」

さすがに銃器は使えないが、CランクからDランク相当の魔物。

純粋に戦力的に優れている。

「おとーさん。いっぱいレベルがあがったの」

「私もです。マスター」

ここまで、数十体の魔物を倒してきて天狐も、エルダードワーフもレベルがあがっている。

天狐は四三、エルダードワーフは四〇。

もともとのSランクである彼女たちはこのレベルになると、固定レベルで生み出したAランクの魔物に匹敵する力を持つ。

武器と、特殊能力を考えると上回った。

【紅蓮窟】は魔物を狩りすぎて、狩りの効率が落ちていたので、助かった。

ちなみに俺のダンジョンのほうにはゴーレムを強化できるスキルをもっているドワーフ・スミスたちを残している。

彼女たちは変動で生み出しており、しかもゴーレムの支配権をエルダー・ドワーフから移しているため、ゴーレムが倒した魔物の経験値は全て彼女たちに入る。

戻れば、おそろしいまでにレベルがあがっているだろう。

最後の階層は溶岩地帯。

出てくる魔物も今までどおりC、Dランクがメイン。

だが、Bランクの割合が多い。

最後のフロアだけあって、守りを固めているのだろう。

だが……。

「遅いの!」

天狐が空から急降下してきた、巨大な鷹の魔物の突進をジャンプで躱し、空中で宙返りして鷹の魔物の上をとる。そのまま下方に銃口を向けショットガンの射撃。

鷹の魔物は即死。

着地した瞬間、死角から別の魔物が飛び出してきた。緑の体毛を持つ、エイプだ。非常に素早い

天狐はまだ動けない。あの太い腕から繰り出される攻撃を受ければただではすまない。

……しかし。

射撃音が三つ。

バースト射撃だ。M&K MK417。スケルトンよりも大口径なそれで、指で切りながらの三点射。それらは全てエイプ側頭部を打ち抜いた。

「天狐、油断しすぎ」

「油断じゃないの。ちゃんと気づいてた。でも、エルちゃんを信じてたから敵を倒すことを優先したの」

「なら、納得」

天狐とエルダー・ドワーフがハイタッチ。

まったく危なげがない。

今回の戦争でレベル上げだけではなく、足りなかった戦闘経験を得て、飛躍的に強くなっている。

途中からワイトは、俺の考えを読んで、天狐とエルダー・ドワーフの連携の経験を積ませるため、なるべく、戦闘に手出しはしないようにしてくれていた。ありがたい。

「エルダー・ドワーフ、こっちで道はあってるのか」

「間違いない」

地属性のエキスパートのエルダー・ドワーフは、地面に働きかけ一瞬にして地図をマッピングできる。

だからこそ、最短距離でダンジョンを攻略し、敵が隠れている位置はだいたいわかる。

ただ、あくまで地面に繋がっているものしかわからないので、空の敵には無防備だ。

「天狐、残弾は大丈夫か?」

「だいじょーぶなの! まだ、弾倉が三つ残ってる!」

天狐の弾は、四ゲージの大口径かつ、ミスリルパウダーを使った特注品だ。

戦闘中に俺が【創造】で作り出す芸当ができないため残弾には気を使う。

さすがのエルダー・ドワーフも、あれを即興で作るのは難しいので数に限りがあった。

「マスター、私もまだ弾丸は十分です」

「わかった。なら、このまま行こう」

このまま、あっさりと攻略できるとは思っていない。

絶対に何かある。

俺が【創造】という力を持っているように、相手の【魔王】にも特別な力があるのは間違いないだろう。

三部屋目も終わりに近づいた。

開けた場所をでる。もう少し進めば水晶の部屋にたどり着く。

そこには、緑髪の勝気な少女が居た。となりには天使型の魔物が付き従っている。

【風】の魔王ストラスとその側近だ。

Aランクの魔物。彼女の切り札。

「よく、ここまでたどり着いたわね」

「俺の魔物は優秀だからな」

俺がそう言うとストラスは苦笑する。

「そうね、とんでもなく優秀ね。あなたの魔物も。それを操るあなた自身も」

少し驚く。こいつがこんなことを言うなんて。

よく見ると表情が硬いし、若干足が震えている。まるでおびえているようだ。

「随分と素直になったもんだな」

「さすがにね、私はあなたのダンジョンの一つ目の部屋の突破がやっと。逆にあなたにはあっさりとここまで来られてしまった。認めざるをえないわよ。あなたは強い。私よりも」

どこか疲れた笑みをストラスは浮かべた。

「なら、降参するか? 【誓約の魔物】を一体しか連れていないところを見ると、残りは俺のダンジョンに挑んで倒れたんだろう? 並大抵の魔物じゃ俺の魔物たちは止まらない」

そのことはストラスも理解しているはずだ。

魔物を通して俺たちの戦いぶりを見ている。

「そうね、今までの戦いを見ていて知ってるわ。並大抵の魔物じゃ勝負にすらならないわね」

ストラスは、薄く笑う。

目が死んでない。強がりではなく、何かがある。

「あなたに敬意を表して、私も【切り札】を使うわ……いえ、違うわね。もう、上から目線は止めるわ。正攻法で勝つことはできないことも認める。だから、自ら敵地に乗り込んできたあなたの傲慢と、甘さ。そこにつけ込んで勝ちをさらわせてもらう!」

肌がぴりぴりとする。

異次元から何かが現れる。

魔王の能力、魔物を異次元に収容する【収納】。

それを使って、温存していた魔物を彼女は取り出そうとしていた。

「ねえ、知ってる? いくつかのメダルは【合成】する際に特殊な力を発揮する」

「もちろん」

俺の【創造】はそのさいたるものだ。

「私の親にして、最強の魔王、【竜】の魔王アスタロト様の【竜】もその一つ。魔物を【狂気化】して生み出すことができる。知性と理性の両方を失い、生み出した魔王の言うことすらろくに聞かない。……その代わり、全ての能力が爆発的にランクアップする。仮に、極上のAランクの魔物を【狂気化】なんてしたら、いったいどれほどの強さになると思う?」

そしてそれは現れた。

翡翠色の鱗にびっしりと覆われた巨大なドラゴン。体長は一〇メートル近い。

二本脚でしっかりとたち、背中には巨大な翼もつ西洋のドラゴンだ。

鋭い爪と牙。暴風を身にまとう。

そして、理性のかけらもない、血走った凶暴な瞳。

咆哮。

天狐が尻尾の毛を逆立て、エルダー・ドワーフが身を硬くする。

この二人が本能で恐れる魔物。間違いなく、とんでもない強敵。

「【風】の暴竜、エメラルド・ドラゴン。Aランクのその先に至る化け物。さあ、この子が正真正銘最後の切り札。勝負よ、【創造】の魔王プロケル!」

そして、この【戦争】、最後にして最大の闘いが始まった。