軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

151:伯爵夫人、生き物を飼育する

その日、ギンギラに輝く美しいハリネズミたちが、大挙してメルキュール家が暮らす島に押し寄せてきた。

私、ラムは夫のシャールと共にその光景を微笑みながら見守る。シャールはいつもの仏頂面で、「趣味の悪いハリネズミだ」なんてつぶやいているが。

元モーター教徒であるハリネズミたちは、事件後にフレーシュが城で保護していた。

それを今回、我が家で引き取ることにしたのだ。

ハリネズミたちはよちよちと短い草の上を歩いている。中身に言及しなければ可愛い。

元モーター教徒でエポカの部下だった彼らが心を入れ替えた頃に、人間に戻してあげるつもりでいる。

それを見極めるためにも、我が家で暮らしてもらうことにした。

幸い、この島にハリネズミの天敵になりそうな生き物は暮らしていない。

メルキュール家の小さな子どもたちは大喜びで、熱心にハリネズミたちを観察していた。

隣の島で暮らしているエペたちも様子を見に来たが、美味しそうにミミズを食べるギンギラに輝くハリネズミを眺め、何を思ったのか……若干気まずそうな表情を浮かべて帰っていった。私は首を傾げる。

「そういえば、ミミズって薬になるのよー。五百年前だって、乾燥したミミズを使った薬が出回っていて……せっかくだから、ここで何匹か捕まえようかしら。ちょうど、ハリネズミが土を掘り返してくれているし」

話していると、シャールが慌てて私の手を掴んだ。

「ラム、ミミズは食べ物ではない。食用可能かもしれないが今食べる必要はない。間違っても、料理や菓子に混ぜ込んだりしてはいけないぞ」

「え、薬になるからいいと思ったんだけど、駄目かしら? 血液がさらさらになるって過去の文献に……」

「病人に薬として処方するのは止めないが。我が家の食卓で使うことは固く禁じる」

「えーっ。体によさそうなのに」

「やはり、使う気でいたか。いいか、何度も注意していると思うが……料理や菓子に変な物体を混ぜ込むな」

「うう、そんな」

少し離れた場所から、双子がシャールに同意するような表情で頷いている。

ついでに、カノンも。

皆、いつの間にか、ハリネズミを見に庭へ出てきたらしい。

この調子では、私の健康料理が現代で日の目を見るのは、まだまだ先のようである。