軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

二百五十八話 小国状勢、動く

カバリカ国の王都を堕とした。

普段なら、国を地域に変えてノネッテ国に組み込み、俺が初期統治作業を行って後の領主に引き継ぐ作業を行うわけだ。

でも、カバリカ国の立地を見て、その作業手順を変えることにした。

「アコフォーニャ地域はいいとしても、周囲に四つも国が囲んでいる状態じゃなぁ……」

この状態のまま、いそいそと統治作業をしていたら、周辺四か国から攻められてしまうだろう。

なにせ、カバリカ国は『聖約の御旗』の盟主だった国だ。

盟主の復権を果たすのだという大義名分が立てられるんだからな。

というわけで俺は、カバリカ国を地域に変えるための統治作業を手控え、周辺四か国に調略をかけることにした。

調略といっても、大がかりなことはしない。

単純に『戦争する気なら相手になるぞ、オイ!』って内容を丁寧な文章に置き換えた手紙を、その四か国に送るだけ。

こんな手紙を送るなんて、敵に名分を送るような真似だろう。

でも、こちらが喧嘩腰の姿勢を見せることで、四か国は行動を起こさなきゃならなくなる。

手紙に煽られて戦争を決断するか、手紙からノネッテ国が戦争を望んでいると踏んで戦争を回避するかだ。

そして戦争するなら、どこと手を組むか。

もしくは戦争を回避するなら、ノネッテ国との関係をどんな形にするか。

そういったことも考えなきゃいけない。

ちなみにだけど、本当に戦争になったら、一か国相手なら戦争を、二か国以上が共同で攻めてきたらカバリカ国から撤退することを、俺は密かに決めている。

ノネッテ国の軍隊は連戦続きだし、物資の量も心許ない。

だから小競り合い程度は可能でも、大戦争を行うほどの力はないって判断の下で、撤退を視野に入れてる。

はてさて。

俺は手紙を送ってから、四か国の動向を待つ姿勢を取ることにした。

『聖約の御旗』参加国の中で真っ先に姿勢を明らかにしたのは、カバリカ国の北にある、コンタマ国だった。

「へぇ。コンタマ国は国境を騎士国と接していたけど、騎士国の傘下に入ることにしたのか」

コンタマ国から送られてきた書状には、書いた日付も記入されている。

つまり、この日にちをもって騎士国の一部になったから、手を出してきたら騎士国の騎士や兵士が出張ってくるぞって、こちらを脅しているわけだ。

「ノネッテ国の一部になるよりか、騎士国の一部の方が安定感はあるよね」

騎士国は帝国と違い、傘下に入れた国と国民を虐げたりはしない、という評判だ。

でも、支配下に入れた民たちを『正しく』教育するため、多少の混乱はあるって話も聞く。

「パルベラやファミリスに、騎士国が征服国に行う政策を、詳しく聞いておけばよかったな」

バルベラといえば、もうそろそろ出産時期だったはず。

遠く離れた土地にいる俺には何もできないけど、騎士国があがめている神に対して祈っておくことにしよう。

次に行動を決めたのは、ペルデン国だった。

「ノネッテ国の傘下に入ってもいいが、見返りにペローデン国は攻め滅ぼしてほしい、と来たか」

確かペローデン国とペルデン国は、元は一つの国だったはず。

つまりペルデン国は、ノネッテ国の傘下に先に入ることで、ノネッテ国にペローデン国を滅ぼしてもらい、その土地をペルデン地域として組み入れる気なわけだ。

「狡すっからい要望だけど、飲んでもいいかな」

つまるところ、ペローデン国を攻め落とせば、ペルデン国王がペルデン地域の領主となって、ペルデン地域の土地と経済に責任を持ってくれるというわけだ。

統治者に適合する人物が払底しているノネッテ国にとって、これは喜ぶべき提案といえる。

「ペローデン国だけ戦うなら、なんとか可能かな」

ノネッテ国の軍隊が持つ物資の残量を計算していると、カルペルタル国も行動が決まったようだ。

「へぇ。『聖約の御旗』を脱退して、別の小国の連合に参加しなおしたわけか」

これはこれで、上手い選択だ。

選択肢としては、コンタマ国が騎士国に編入した形に似ている。

でもカルペルタル国は、将来の安全性よりも、国体の維持に力を入れる決断をしたことになる。

「しかし、小国連合が破たんしたばっかりなのに、また小国連合に加入するって、選択として良いのかなぁ……」

連合を組んだといっても、所詮は小国だ。

連合を組んだ国同士の連携が上手くいかなければ、『聖約の御旗』のように離反する国が出たり、主要国が陥落して瓦解したりしてしまう。

多少の不利益を考えても、連合に入るよりも、大国の下に身を寄せるほうが賢い選択のように思えるんだけどなあ。

「国で無くなることに、我慢ならない気持ちを抱く人もいることは、理解しているけどね」

なにはともあれ、カルペルタル国の動向も決まった。

これでペルデン国の要望を受けて、ペローデン国を攻めることが可能になった。

では戦争についての詳しいやり取りを、ペルデン国と行おう。

そう決めて動き出したとき、驚くべき報せがやってきた。

それはノネッテ国からやってきた早馬だった。

「えっ。ペケェノ国が帝国に征服された!? いまはエフテリア国に侵攻中だって!?」

まさかこのタイミングで、帝国が動き出してくるなんて。

どうしてか考えて、俺は一つだけ思い至った。

「コンタマ国が騎士国の領土になって国土が増えた。これに対抗して、帝国も新たな領土を手に入れるために動いたってことか」

張り合う相手が大きくなったのだから、自分も大きくなっておこう。

そんな幼稚な動機じゃ、攻め落とされたペケェノ国と、絶賛侵攻されているエフテリア国はたまったもんじゃないだろう。

「この調子だと帝国は、ペローデン国も手に入れようとしてくるかもしれない」

俺の予想が正しいのなら、ペルデン国の要請でペローデン国を攻め落とすのなら、早く行動しないといけないな。