作品タイトル不明
剣が倍やかましい
「と言う訳で……ごめん」
「と言う訳じゃないですよ!どうしてくれるんですか!」
「生まれて初めて彼女ができて浮かれていた。言い訳はしない」
「してるじゃないですか!?やっぱり嫌いだこの人!」
ヴァイオレット連れ、海底遺跡からの脱出を喜ぶ皆に俺とヴァイオレットのポンを説明し、光と聖女に謝罪した。
そして当然光は怒った。当たり前だ。
激しい邪神戦を乗り越え、光自身勇者覚醒と言う成長を遂げたんだ。
完全なハッピーエンド。それをどこかの色ボケ浮かれカップルのポンで台無しにされた。
もし自分がされたら相手の顔が変形するくらい殴るだろう。
だが、俺は動じない。
なぜかって?彼女ができたからー♪。
「脈絡の無いモノローグ止めてね。光君、今の雄亮君とヴァイオレットは駄目だ。付き合えた嬉しさで頭が馬鹿になっている。ご覧、土下座をしながら手をつないでいる」
「だから怒ってるんですよ!それが人に謝る態度ですか!?」
失敬。無意識だった。
ヴァイオレットを顔を合わせると、彼女はテヘペロと舌を出す。
かわいい。俺の彼女かわいいよー!
「何ニヤニヤしてるんですか!……隔離、一旦隔離ー!」
怒り狂う光の剣幕に押され、ジョーカーとジェイがヴァイオレットを船室の中へ連れて行ってしまった。
「寂しそうな顔しても駄目ですよ!それで、どう責任取るつもりなんですか」
「ヒカルさん、落ち着いてください。起きてしまったことは仕方ないではありませんか」
怒る光を事の本人である聖女が宥める。
優しい。クレイジー聖女の見た目でそれなので脳がバグる。
「しかし聖女様」
「私は聖女である記憶も無いのです。だから今はただのリシーアとお呼び下さい」
そう言えば聖女ってリシーアって名前だったな。
脳内でクレイジー聖女呼びだったから忘れてた。
『とことん失礼な人ですねあなたは!』
剣の中のクレイジー聖女が何やら喚いている。
剣を所持してると俺の考えてることが聞こえてしまうのか。
アイテムボックスにしまっちゃうか?
『そんなぁ、あんまりです主殿』
次は剣が騒ぎ始めた。
やばい。今までの倍やかましくなったぞこの剣。
もはや聖剣じゃなくて呪いの剣だ。
「ユースケさん、剣の中の私とお話させてもらえませんか?」
俺が無言で表情をコロコロ変えるのを見てリシーアが手を出してそう言った。
素直に妖精の剣を渡す。案外剣との接触でもとに戻れるかもしれないしな。
リシーアが剣を受け取るが、幸運と言うべきか残念ながらと言うべきか、変化は無かった。
「あらあら、そんなに怒らないで下さいな。私もヒカルさんと一緒に戻る方法を探してみますから……え?これはユースケさんの剣ですよ。だめです」
リシーアは剣の中の自分と会話を続ける。
剣の中の聖女が何を言っているのか聞こえないが、リシーアはあらあらウフフと受け流しているように見えた。