作品タイトル不明
邪神の目玉に向かってシュート
「だから、僕は」
光がそう呟くと、ごうっ!と彼の周りから黄金のオーラが吹き荒れる。オーラの余波でボロボロだった鎧は砕けて破片が舞い上がった。
その様は一言で表すなら。
「黄金の嵐」
俺でも分かる。今の光は今まで見てきた誰よりも強い。格が違う。
光が一瞬で邪神の正面に行く。勇者の転移だ。
光が妖精の剣を天に掲げると、剣が光り輝き刀身がドームの天井に迫る勢いで伸びた。
それを一振りすると、邪神の触手がすべて切り落とされた。
邪神も動揺したのか、光から遠ざかりたいように身動ぎする。
続いて左手を天に掲げ巨大な光球を作り出す。光球から小さな光球が無数に分裂してまだ生きている邪神の眷属を襲った。
「あれが勇者の力?」
「ククク、ダンジョンバトルの記録で見た他の勇者の勇者覚醒とは比べ物になりませんね」
蓮とか言う勇者の力を見たことがあるソランとジョーカーは、自身が記憶している勇者覚醒とのあまりに隔絶した差に愕然としていた。
やっぱり勇者に妖精の剣を渡すのは諸刃の剣だな。
いつあの力が俺たちに向けられるか分からん。
しかし、今は味方だ。素直に喜んでおこう。
「雄亮君」
「先輩、攻勢に参加しなくていいんですか?」
「いや、もう勝負ついてるでしょ。光君の攻撃が強すぎて僕と聖女ちゃんの割って入る隙なんてないから。今はヴァイオレットと聖女ちゃんの奪われた記憶がどこにあるのか探してるんだよ」
そう言いながら先輩はジーッと邪神を見つめる。
「あそこだ」
先輩が指差したのは邪神の頭部。巨大な目玉だ。
「これはまた如何にもな位置ですね」
「あの目玉が邪神の力を集める器官なんだろうね。それじゃ雄亮君。飛ばすよ」
「え?」
想定していなかった先輩からの指名に思わず間抜けな声が漏れてしまった。
「邪神の中を探るんだ。妖精の鎧と盾を着けた君以外だと何が起こるか。逆に取り込まれてミイラ取りがミイラになるかもしれない。だからね」
俺を邪神に向けて設置するように引き摺る先輩に抗議する。
「いやいやいや。じゃあ今から脱ぎますから先輩が行ってくださいよ」
「そんな時間は無いよ。ほら、邪神が大技を打とうとしてる」
邪神の目玉の前に光が作ったものよりも大きな赤黒い玉が生成されてゆく。
確かに鎧を脱いで渡す時間はなさそうだ。
「はぁ……………くそっ、お願いします!」
「よし、いってらっしゃい!」
先輩は俺を防御魔法の球で包み込み、それを邪神の頭に向けてシュート!
「思ってたのと違うー!?」