軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

人生30年

「ようシースナ、昨日は疲れてたみたいだが、どうしたんだ?」

出航して数時間後、船を探索してると甲板で風に当たっているシースナを見つけたので、気になることもあったし声をかけた。

「ユースケ様……あ、いえ、少し、同郷の者と会いまして」

シースナは一瞬言おうか迷ったような間を空けて言った。

「ふーん、そういやシースナはダンジョンマスターになってどんくらいなんだ?」

「まだまだ新参の80年ほどです」

「同郷つうとまだ生きててもおかしくないか。爺さん婆さんの世話で疲れたのか?」

俺がそう言うと、シースナは少しの間目を見開いた。

「ユースケ様はご存知ないのですか?獣人族の平均寿命は30年。昨日会ったのは友人のひ孫です」

知らなかった。妖精族と魔族が長命なのは聞いたことがあったが、獣人族は人と同じかそれ以上かと思ってた。

人生30年か。犬猫で寿命10何年くらいだろうか。人と獣の間の寿命を取っているとわかりやすい……人より寿命が長い動物の獣人族も30年?まあ、そんな簡単な法則じゃないか。

「短いな。やりたいこともやり切れなそうだ」

「はい。それ故獣人族は長寿に憧れがあるのです。あたいは地元では名が知れていたので彼らにすぐ気付かれました。あの子たちはあたいがこの若い姿で生きている仕組みが気になったようです」

人族でも80代の人間が20代のピチピチ姿だったら根掘り葉掘り聞きたくなる。

「で?言ったのか?自分がダンジョンマスターだって」

「はい。エスリメも周知されましたし問題ないかと……駄目でしたか?」

シースナは自分の勝手な行動を思い出し、あわあわとして聞いてきた。

「いやー、別にいいんじゃないか。しかし、それでは獣人族もがっかりしただろうな。人の道を外れないと長生きできないんだから」

この世界の人の倫理観だと、長生きかダンジョンマスターかはかなりの葛藤が要るらしいしな。

「あたいは獣人族が長寿になる可能性を、ダンジョンから見出すためにダンジョンマスターになりました。そのことを伝えたら彼らが感動して大宴会になり」

「人に揉まれてグロッキー状態と」

シースナがダンジョンマスターになった理由を聞けてよかった。思わぬところで部下との距離を縮めれた気がした。