作品タイトル不明
ジョーカーが怯えられる
でだ、助けたはいいけどどうするんだこの子?
「ご無事ですかお嬢さん?」
きざったらしい身振りでジョーカーは女の子に近づき手を差し出す。彼女はジョーカーが近づいてきたことに気付き、恐る恐る顔を上げ彼の仮面を見て怯えの色が走る。
「ひっ」
俺の後ろに隠れ、恐れた顔で少女はジョーカーをチラチラと見た。
「くっ、クククク」
あ、こいつダメージ受けたけど誤魔化したや。いままで飄々とした態度のジョーカーばかり見てたから新鮮だな。
「おーい、お前を助けようとしたのはこの仮面の男だぞその態度は失礼だろ」
俺がそう言うと、少女は俺とジョーカーを交互に見て、ジョーカーの前に出て深く頭を下げた。
「助けてくれてありがとうございます。それと逃げてごめんなさい」
「クククッ、気にすることはありませんよ。お嬢さん、あなたのお名前をお聞かせいただいてもよろしいですか?」
「私、私フェリスと言います」
「フェリス、お前の出身がどこか分かるか?国だけでも分かればすぐ送ってやる」
俺の言葉を聞いた途端フェリスは青い顔をしてふるふると首を振った。そして俺にすがりついてくる。
「い、嫌、お願いします。捨てないでください」
「フェリス、どういうことが教えてくれませんか?」
ジョーカーが優しく問うと、フェリスはポツリポツリと彼女の身の上話をし始めた。
彼女は貧しい村の農民の長女として生まれ、3人の兄妹がいたそうだ。
両親は子供たちのことを愛情たっぷりに育てたが、フェリスだけは一番に愛されたことがなかった。
村一番の秀才で、都会の学校から推薦を受けるほどの優秀な兄の用事を優先されて祝われなかった誕生日。
やんちゃな弟のいたずらを止められずに姉なのだからしっかりしろと自分だけ叱られる毎日。
病弱な妹の看病に疲れ熱を出して寝込んだ日、誰も彼女に付き添わず一人で泣いた夜。
最終的に妹の治療費のために奴隷として売られてしまったそうだ。
「なんちゅーか……毒親ってやつか?大変だったな」
「兄妹たちが私を慕ってくれたことが唯一の救いでした。彼らは私の苦労や悩みは知ってませんでしたが」