作品タイトル不明
連絡と悲報
「老師、首尾はどう?」
『囚われている国民たちの人数、場所ともに把握しておりますじゃ。ハイドゴーレムの待機場所に適した空き地も見つけておりますぞ』
俺はあらかじめ敵国に潜入している老師と連絡をとっていた。
救出対象の場所を正確に把握してたほうが助ける時スムーズに事が運べるし、ハイドゴーレムだけ送り込んだら国民たちが怯えてしまうからだ。
囚われている所に、いきなり異形のゴーレムが押し入ってきてその体内に収納されるとか怖すぎるだろ。俺なら漏らす。
潜入部隊は対象に顔を知られていて安心させる為にチース、不測の自体に備えて予知のできる均、均の予知の情報を臨機応変に有効活用できる老師の三人だ。
二人はダンジョンマスターだし、均もその辺のごろつきよりずっと強いから戦力的にも問題ない。
「了解だ。必要なハイドゴーレムの数はニアラに伝えておく。ゴーレムは揃い次第送ろう」
国民の救出作戦は侵略国群に一言言ってから開始する。向こうが奇襲したからってこっちも同じことしたらその後の文句言いづらいからな。
正々堂々完勝する。
老師との電話を切った直後、スマホが震えた。
……誰だ?え?セラン王。い、嫌な予感しかしない。
「もしもし……」
『済まない、バカ娘が脱走した』
「………………やばくないですか?」
『いや、本当に、本当に済まん』
セランは心から申し訳無さそうな声をしてるから責めるに責められない。多分電話の向こうで頭下げてる。
それにあれを並の兵士で抑え続けるのは無理だ。
『だが、エスリメには行ってない。脱走の前日に娘の侍女が「天啓です!天啓です!勇者様と合流して巨悪を討つのです!」と言っているのを聞いたらしい』
うちに来るのならセラン側もすぐに捕捉、確保できただろう。この場合、自由に動かれる方が捕まえられない。
天啓か……ダンジョンコアの父が他の神を抑えきれなくて聖女と勇者を使って俺を潰そうとしているって流れか?
だったらリシーア姫が合流する勇者は…………光しか居ないよなぁ。面倒と面倒が合流したらどうかるか。もっと面倒になる。
下手したら外の俺が二人と出くわすかも……考えたくもない。
「教えてくれてありがとうございます。では………………くそっ!」
この忙しい時に……どうしょうもなく腹が立った俺は、セラン王に礼を言いスマホをソファに投げつけた。