軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

187.果たされることのない約束

ルシラ殿下がツトライルにやってきて俺たちに依頼をされた翌朝、俺たち第一部隊のメンバーは、ルシラ殿下に同行することになったセルマさんを見送るために寮のエントランスへとやってきていた。

「みんな、わざわざ見送りに来てくれてありがとう。しばらくクランから離れることになるが、これからのこと頼む」

セルマさんが俺たちにも見送りの御礼を言ってくると、真っ先にレインさんが口を開いた。

「そんなの当然でしょ。セルマも王女様をしっかりサポートしてね!」

「あぁ、勿論だ」

「それにしても王女様直々に同行を依頼されるなんてね~。ボクにとってセルマさんは頼りになるリーダーだから王女様もセルマさんに頼りたいんだろうね! セルマさんの仲間として誇らしいよ! 大変だと思うけど頑張ってね!」

「そこまで言われるとこそばゆいな。でも、ありがとう、ルクレ」

「オルンも、もうここを発つんだったか?」

会話の途中でウィルが俺に問いかけてくる。

「そうだね。探索者ギルドでフウカとハルトさんの二人と待ち合わせをしているから、合流のついでにギルド長から各迷宮の攻略許可証を貰って、そのままツトライルを出るつもり」

「そっか。オルン君も迷宮攻略大変だと思うけど、頑張ってね」

「ありがとう、レインさん。そっちも気が抜けない日が続くだろうけど、無理はしないようにな」

俺たちはこれからバラバラに動くことになる。

街に残るレインさんたちも、それぞれ奔走することになるだろう。

全員が再び揃うのはしばらく先になりそうだけど、それぞれが目の前のことに全力で取り組んでいれば、そう遠くない未来で再び集まることも出来るだろうと思う。

「みんなこれから大変だと思うが、またこうして笑顔で《夜天の銀兎》として、第一部隊として、大迷宮の攻略に挑もう。私たちが次に集まった時、それは九十四層へと足を踏み入れる時だ。そして、私たちが 次の勇者パーティ(・・・・・・・・) になろう!」

セルマさんが凛とした表情でこれからの展望を口にしながら拳を前に突き出す。

「そうだね、そのためにもボクは街の防衛と同時進行で魔術の勉強を頑張る! もう誰も傷つかせないように、もう誰も死なせないように!」

セルマさんの言葉を受けたルクレが自身の拳をセルマさんの拳へと突き出す。

「勇者パーティ、か。それにはあまり興味は無いが、オレは『大迷宮を攻略する』って夢を アルバート(あのひと) から受け継いだからな。成し遂げるまでくたばるつもりはねぇよ。そんでもって、攻略するならこのメンバーしか考えられねぇ!」

「みんな、上ばかり見てないで、足元もきちんと見ることを忘れないでね。一歩一歩確実に進んでいけば、その道の先に『九十四層攻略』――延いては『大迷宮攻略』に繋がっているはずだから! だからみんなで一緒にその道を進んでいこう!」

続いてウィルとレインさんが自身の想いを口にしながら拳を突き出す。

それから四人は俺の方へと笑顔を向けてくる。

「俺はこれから各地の迷宮を攻略してくるけど、それは俺の中で過程に過ぎない。俺の目的はフウカやハルトさんから新しいものを得て、自分の成長に繋げることだ。《夜天の銀兎》のエースとして、もっと強くなって帰ってくるよ」

俺も自分の想いを語りながら四人の拳に自分の拳を添えた――。