軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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「シシュカ、リアーヌ王女にまた呼ばれたみたいだな」

「お義父様……。王宮に向かわねばなりませんか?」

「いや、私が代わりに行ってこよう。エド、ファーティを呼んでくれ」

義父はファーティを呼び、私の代わりに王宮へと向かった。

「一体王女様は何を考えているのかしら」

私は呟くように口にすると、マティが言葉を拾い、答えてくれる。

「シシュカ様に嫌がらせをしたいだけなんだと思いますよ」

「ジルが王女様を嫌っているのに気づいていないのかしらね」

「幼い頃からちやほやされて生きてきたから気づかないんじゃないですか」

「そんなものなのかしら」

私は風通しのいい窓辺に座り、マティの淹れるお茶を飲む。

前回王女に呼ばれてから二か月が経った。

しばらくは静かになっていたんだけれど、隣国に向かうまで三ヶ月を切ったことで焦っているのかもしれない。

ジルベールは以前のように王宮に泊まり込むことはだんだんと少なくなり、どれだけ遅い時間でも邸に帰ってくるようになった。

ジルがいるおかげで私の体調も安定してきたの。

今は毎日お腹を撫でながら幸せな気持ちていっぱいだわ。

「そういえば、そろそろエルセット様がお見えになる時間ではありませんか?」

「もうそんな時間? 準備はできている?」

「もちろんです」

今日は久々に兄に会うことになっている。

兄は今、王宮に領地のことを報告するため、領地から王都に来ているの。

子爵家のタウンハウスでしばらく滞在した後、また領地へ戻るんだけど、王都へ来たついでに私の顔を見にくるみたい。

久々に家族に会えると思うと、ちょっと嬉しい気分になる。

「シシュカ様、マレス子爵家の馬車が到着致しました」

従者が兄の到着を知らせに来て、私はぱっと立ち上がった。

「今すぐ向かうわ」

「シシュカお嬢様、走ってはいけませんよ」

「もうっ、マティったら。わかっているわ」

私はゆっくりと玄関ホールに向かった。足元はまだ見えるけれど、お腹が大きくなると階段も気を付けないといけないわね。

一階の客間にしたほうがいいかしら。

でもジルと寝室を分けるのは嫌だわ。

なんて考えつつ、兄を待った。

「シシュカ!」

「お兄様、お久しぶりです」

「おめでとう。知らせをもらって母たちも喜んでいたぞ。今、何か月なんだ?」

「妊娠五ヶ月目に入ったところなの」

「そうか、そうか! なら俺が領地に戻る時に一緒に里帰りするか」

「お義父様とジルに聞かないといけないわ」

「そうだな」

「立ち話もなんだし、どうぞ」

兄をサロンへ通し、私はカウチソファに足を延ばすように座った。

「お兄様、こんな格好でごめんなさい」

「いや、シシュカの楽な格好にしてくれ。それで、つわりの方はどうなんだ?」

「強い匂いが苦手なくらいであとは特にないわ」

「ならよかった。リアーヌ王女のことも伯爵から聞いた。本来なら子爵家のタウンハウスで出産するのがいいと思うんだが、伯爵家の領地に行った方が良さそうな気もする。シシュカ、どうする? 子爵家に戻ってもいいぞ。どちらにしても急いで馬車を用意しておかないとな」

「お兄様、その辺りは大丈夫よ。ジルが特注の馬車を準備してくれたの」

「相変わらずジルベール君の愛は重いな」

兄はそう言って笑っている。

「でも、特注の馬車で移動するにも長距離は不安だわ」

「産婆や医師の診断で難しいというのなら子爵家のタウンハウスで母に来てもらってもいいな。伯爵家からも多くの護衛を付けてくれるだろう」

「そうね。マティもいるし、ジルも会いに来てくれるから安心して産めるわ」

「なんだかんだ理由を付けてあいつなら毎晩泊まり込むだろうな」

「そうね」

兄と二人で気兼ねない話に花を咲かせる。ジルは幼い頃からずっと一緒だったし、兄もジルのことをよく知っている。

「友人にはもう知らせたのか?」

「安定期に入るまではと思って黙っていたんだけど、そろそろ知らせないとね」

「だが、友人が知るとなれば、王女がどこからか嗅ぎつけるかもしれないぞ?」

「大丈夫じゃない?」

「王女はジルベールに執着を見せているんだろう? こちらの動きを監視しているんじゃないか?」

「えー。もしそうだとしたら怖いわ。でも、やりかねないわよね。今日、お義父様が私の代わりに王女様の所へ行っているの。お義父様の話を聞いた上で決めた方がいい気もするわ」

「シシュカ、王女に呼ばれていたのか」

兄は眉間に皺を寄せている。いつまでも私を呼びつけようとするなんておかしいわよね。

「そうなの。体調のことを考えて、お義父様が代わりに行ってくると言って……」

「シシュカ、友人に知らせるのは生まれてからか、王女が隣国へ向かった後の方がいいかもな」

「お兄様はそこまで酷いと思う?」

「ああ、残念ながらな。こちらからの動きを一切見せないくらいじゃないと厳しいんじゃないか?」

「怖いわ……」

「大丈夫だと言いたいが、用心に用心を重ねておいた方がいい。まあ、何があっても伯爵やジルベールがシシュカを守ってくれる。我が家だって全力でシシュカを守るつもりだ」

「お兄様、ありがとう」

兄と話をしている間にどうやら義父が王宮から帰ってきたようだ。

従者から報告を受け、義父が私たちのいるサロンへと入ってきた。

王女様に呼ばれて時間も経っていないのにとても疲れた顔をしている。