作品タイトル不明
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「でも、今日はすぐに帰ってこれたみたいけど、大丈夫だったの?」
「本当は吐いた時、すぐにシシュカの元に帰ろうとしていたのに、周りのやつらが僕をずっと引き留めていたんだ。
僕の顔を見てないとあの女のご機嫌が悪くなるからだってさ。酷いよね。あいつらがあの女の機嫌を取ればいいのに。ずっと体調不良の振りをしてたら親父が来て、ようやく僕は解放されたんだ。シシュカ、辛かったよ」
「でも良かった。ちょっと心配していたんだ。もしも、ジルが、万が一でも王女様のことを好きになったらどうしようって。妊娠したのも告げられないまま、どんどん日も経って……」
「絶対ない。死んでもあり得ない。あんなくっさい女。あれを妖精だとか言ってるやつの目は節穴だよ。底意地の悪さが顔に出ているし、何より臭い」
ジルの言葉に私はぷっと噴き出して笑ってしまった。
「シシュカ、やっぱり僕はシシュカの笑顔が一番好き。シシュカ以外の女なんてみんな泥人形に見える。早く仕事を辞めたいよ」
「ふふっ、ジル。私もジルが大好き」
「シシュカ、子供の名前は考えてあるの?」
「まだよ。だってまだ安定期にも入っていないし、それにジルと一緒に決めたいって思っていたもの」
「そっか。嬉しい。何にしようかな。女の子だったら絶対シシュカに似て可愛いと思うし、男の子でもシシュカみたいにしっかりした子になりそうだし。どっちも可愛いだろうな」
「ジルったら。どちらが生まれてもジルに似て美男美女になること間違いなしだわ」
「さっき親父から安静にしてなきゃいけないって聞いたんだけど、大丈夫なの?」
「うーん。妊娠が分かってからずっと一人で不安だったの。王女様に呼び出された時は本当にお腹が痛くなって怖かったんだけど、ジルの姿を見たら痛みなんて飛んで行っちゃったわ」
「あのクソ女め。僕のシシュカに……」
私はジルと仲良く話をしていると、従者がジルを呼びに来た。
「ジルベール様、旦那様がお呼びです」
「……僕はこのままシシュカと一緒にいる」
「駄目よ。お義父様が上手く立ち回ってくれたおかげでジルが帰ってこられたんだもの。きっと大事な話よ」
「そうだね。シシュカと離れたくないけど、仕方がない。ちょっと行ってくる。すぐに戻ってくるからシシュカは休んでいて」
「わかったわ」
ジルはそう言って名残惜しそうに私の髪を撫でた後、従者と共に部屋を出て行った。
「マティ、よかった」
「やはりジルベール様はシシュカ様のことしか見ておりませんでしたね。王女様なんてシシュカ様の足元にも及びません」
「ふふっ、マティ、ありがとう。ジルが戻ってくるまでの間、少し休むわ」
「畏まりました」
そうして私は少しの間、お腹を撫でながら目を閉じた。