軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

3.三人目の捨てられた子

「じゃあ、運転してみます」

ティナが意を決して、キャンピングカーのエンジンをかける。すると、何かが起動した気配がした。そして、アクセルを踏むと――。

「あっ、動きました!」

「いいね、その調子で流れ星が落ちたところに向かおう」

「は、はい!」

ティナは丁寧にアクセルを踏んで、キャンピングカーを運転する。その表情は不安なものから、段々と嬉しそうな顔に変わっていった。

「こ、これが運転……。凄く、気持ちいいです!」

「それは良かった……。って、スピードが段々と速く……」

「わー、わー! 速い、速い! もっと、いけーっ!」

も、もしかしてティナってハンドルを手にすると性格が変わるタイプ? 明らかに様子が変わってきているような気がする。

キャンピングカーがもの凄いスピードで走っていくと、前方にクレーターが出来ているところが見えてきた。どうやら、あれが現場のようだ。

ティナがブレーキを踏むと、キャンピングカーがゆっくりと止まる。完全に止まると、私たちはシートベルトを外して外に出てみた。

「はぁ……運転、なんて甘美な行為でしょう……」

「と、とにかく安全運転でお願いね。さて、流れ星はどんなのかな?」

うっとりとしているティナを見て、ちょっとだけ怖くなる。気を取り直してクレーターの中を覗いてみた。すると、その中心に人が倒れているのが見えた。

「「人っ!?」」

流れ星じゃなくて、人だった! 黙っていられず、私たちはクレーターを下りてその人……少女が倒れているところに駆け寄った。

「ねぇ、君! 大丈夫!?」

「生きてますか!? 返事をして下さい!」

二人で力強く揺さぶってみる。すると、その少女からうめき声が聞こえた。よ、良かった……生きているみたいだ。

「こ、ここは……」

「君、空から降ってきたんだよ」

「空、から? ……そうじゃ、わらわは……捨てられたのか……」

「す、捨てられた? ど、どうしてそんなことに?」

ゆっくりと起き上がる少女。良く見ると側頭部には二本の角が生えている。空から落ちてきて生きているから人間じゃないと思ったけれど……まさか、魔族?

「わらわは次期魔王の選別でゴミスキルを持っているせいで、追放されたのじゃ」

「えっ、次期魔王ですか!?」

いやいやいや! 普通じゃないと思ったけど、まさか魔王が出てくるなんて思わなかった!

その子は悲し気に俯き、膝を抱えた。なんか、魔王っていう割にはいじらしいというか……。

すると、その体がフルフルと震えだした。もしかして、泣いている? 私たちは顔を見合わせると、励ますように声をかけようとした――その時。

「フッハッハッハッ! これで、面倒なことから解放されたわ! 誰が魔王軍の為に働くか! バーカ! バーカ!」

「「えっ……?」」

「わらわは解放された! 面倒なことから解放された! 自由だ、自由だ! ひゃほーーいっ!」

すると、その子が何度も飛び跳ねながら喜びだした。か、悲しんでいるんじゃないの?

「邪神にゴミスキルをくれーっ! って、願っていたかいがあったのじゃ! ぐふふっ、今頃次期魔王の奴は大変な目に……ププッ! ざまぁないわ! あーはっはっはっ!」

腰に手を当てて、体を反りながら笑い出した。

「……悲しんでいるんじゃないんですね」

「そ、そうだね……」

「時に、お前たちはなんでこんなところにいるのじゃ?」

「わ、私たちもゴミスキルだって捨てられて……」

「なんと! わらわと同じか! なんだか、親近感が沸くのぅ!」

同じ境遇だと伝えると、その子はニコニコと笑って近づいてくる。それぞれ、思っていることは違うけれど、三人とも境遇は同じのようだ。

「君はどんなゴミスキルだって言われたの?」

「わらわのスキルは『アイテムボックス』だったぞ! 魔王に相応しくない、ゴミスキルだって貶されたわ!」

アイテムボックスって良いスキルなんじゃない? こんなスキルで捨てられるなんて……。

ん? 実は私たちって凄いスキル持ちなんじゃない?

お金を払えば、前世の物が出せる『ネットショッピング』。移動できる拠点の『キャンピングカー』。物を無限に保管できる『アイテムボックス』。

この三つのスキルが合わされば、これから先の生活はとても楽になるんじゃない? ……うん、これは凄いことだ。

「ねぇ! 私たちが一緒にいれば、持っているスキルで快適に暮らせるよ!」

「えっ? そ、そうなんですか?」

「ふむ、それは本当か?」

「うん! 捨てられてどこにも行く当てがないんだったら、三人で協力して暮らしていかない? 絶対に上手くいく!」

一人の力だと足りないけれど、三人集まれば充実した生活が送れる。その私の言葉に、ティナとその子が考え込む。そして、嬉しそうに頷いた。

「どうやって協力していくか分かりませんが、三人になれば心強いです。ぜひ、一緒に行動しましょう」

「同じ境遇の子が一度に集まるなんて事はまずないじゃろう。だから、きっとこれは運命じゃ! だったら、それに従うぞ!」

「良かった。じゃあ、これから三人で協力していこう!」

二人からいい返事が聞けた。きっと、やり方次第で私たちの生活は良くなっていく。

「私はメル! 持っているスキルはネットショッピングだよ」

「私の名前はティナです。授かったスキルはキャンピングカーです」

「わらわはサリサ。アイテムボックス持ちじゃ!」

ゴミスキルだと捨てられた私たちだけど、本当は最強のスキル持ちなんじゃない?