軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

19.サリサの思い

「あ、危ないですよ。サリサ、考え直してください」

「わらわは強いからな、心配せんでもいい」

「でも、どれだけ強いか分からないよ? ここは、違う人に任せた方がいいんじゃない?」

「折角、わらわたちが強くなるチャンスなのに、見過ごして堪るか!」

ティナと私でサリサを説得しようするが、サリサは聞く耳を持たない。スキルも使って、魔法も使える魔物って本当に特別だと思うから、勝てるかどうか分からないのに。

不安がこみ上げてくる。もし、何かあったら悲しい。そんな思いが強くなっていると、ティナがサリサの腕にしがみついて、その場に踏ん張る。

「お、おい……。これじゃと、わらわが動けんのじゃ」

「だって、そうじゃないとサリサが危険な目に合うかもしれません。そんな危険なことはして欲しくないです……」

「危険じゃないぞ! わらわは強いからな。絶対にわらわが勝つのじゃ!」

「怪我をしてからじゃ、遅いんですよ! もっと、自分を大切にしてください!」

「だから、大丈夫だっていっておるじゃろ!」

いつの間にか二人が押し問答を始めてしまった。怒っている顔をして、二人で睨み合っている。このままだと、本当に喧嘩になっちゃう。なんとか、宥めないと……。

「二人とも落ち着いて!」

「メルからも言ってあげてください! 無茶なことはダメって!」

「メルはわらわの強さを分かっておるじゃろう!? ティナを説得してくれ!」

「あぁ……」

宥めようと間に入ると、意見を求められてしまった。二人ともムッと怒った顔をして、お互いの気持ちを譲らない。

二人の言いたいことは分かる。サリサは強いと思うし、特殊個体と戦っても平気かもしれない。だけど、想定よりも強かった場合、痛い目に合うのはサリサだ。それを黙って見過ごすわけにもいかない。

……でも、どうしてサリサは戦いたいって決めたんだろう。サリサはどちらかというと怠けている方が幸せ、と言った感じだ。だから、ここまで積極的に出るのは不可解だ。

もしかして、サリサには何か思うところがあるんじゃないだろうか?

「ねぇ、サリサはどうして特殊個体と戦うって決めたの?」

「そりゃあ。そんだけ強かったら、食べたらわらわたちも強くなるじゃろう? 簡単に強くなるんだったら、その方がいい」

「私が知りたいのはそこじゃないよ。どうして、そんなにやる気になっての?」

「そ、それは……」

どうやら、確信をついてしまったようだ。口ごもって、ソッポを向いてしまった。これは、何か思うところがあるようだ。

「サリサ、正直に言って。隠すなんて、サリサらしくないよ」

「う、うぅむ……」

「……何か思うところがあるんなら、言ってください」

二人でサリサに詰め寄ると、少し困った顔をした。

「……メルとティナのスキルは凄い役に立っている。わらわたちの生活になくてはならないものじゃ。じゃが、わらわのスキルはしょせん荷物持ち程度の役にしか立たん。なんか、わらわだけ二人の役に立っていないと思ったんじゃ」

そう言うサリサは切なそうに目を細める。

「それを考えていると、なんか切なくなって……。わらわも二人みたいにもっと役に立ちたかったんじゃ」

しゅん、と俯く。その姿を見て、サリサはサリサなりに考えていたことがよく分かった。

そうか……サリサは私たちのようにもっと役に立ちたかったんだ。一人だけのけ者にされたように思って、それでどうにかしたかったんだ。

「サリサ、正直に話してくれてありがとう。でも、サリサのスキルもとても役に立っているよ。物を保管したり、自由に取り出せたりするのは凄いことだから、胸を張っていいよ」

「じゃが、わらわのスキルはゴミスキルと言われたから……」

「それは魔王候補としてじゃない? 私たちには必要なスキルだよ。ね、ティナもそう思うでしょ?」

「はい。サリサのスキルは本当に役に立っています。正直、サリサがいなかったら、ここまで順調に生活出来なかったと思います」

そう、サリサがいなかったら今までの生活は成立していなかった。あまり実感はないかもしれないけれど、本当にそう思う。

「……でも、やっぱり二人のスキルの方が凄いのじゃ。じゃから、わらわも役に立ちたい。二人のために何かしてあげたいのじゃ」

「だから、強くなる可能性のある特殊個体を倒そうっていう話になったんだね」

「それもある。なくてはならない存在だと示すためには、力を見せればいいと思ったんじゃ。わらわにはちゃんと二人を守れる力があるって、知って欲しかったのじゃ」

自分の存在意義が欲しくて、思いを打ち明けてきた。その不安を思うと、協力したい。サリサも仲間なんだって、ちゃんと理解して欲しいから。

「わらわを信じてくれぬか? わらわは二人の役に立ちたいし、守る力もある。もっと、わらわを頼って欲しいのじゃ」

力強い目で訴えてきた。その強い思いを前にしたら、否定することなんて出来ない。

「……分かった。私はサリサを信じるよ」

「……まだ、怖いですが……私も信じます」

「二人とも……ありがとなのじゃ! そうと決まれば、早速特殊個体を探すのじゃ!」

まだ仲間になって日は浅いけれど、こうして少しずつ信じていって、仲が深まればいい。そうして、お互いに信じあえる関係になっていけば、素敵だよね。