軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

12.初めての冒険と結果

「ティナはわらわが守っておる! だから、存分に戦え!」

「ありがとう、サリサ!」

後ろから頼もしい声が聞こえてきて、私は前に集中する。そこには、三体のホーンラビットがいて、こちらを威嚇している。

「キィーッ!」

声を上げると、こちらに飛び掛かってきた。私は持ち前の身体能力で飛び掛かってくるホーンラビットの突進を避ける。

……うん。この体は思った以上に動いてくれる。これなら、問題なく対応出来そうだ。あとは、攻撃する隙を見つけるだけ。

「風よ!」

その時、ティナの詠唱が聞こえた。すると、風が吹いて、ホーンラビットを風圧で吹き飛ばす。その先の木にぶつかると、動きが鈍くなった。

「チャンス!」

体に力を入れて駆け出した。体は思った以上に速く走り、あっという間に距離を詰めれた。

「はぁ!」

倒れて動けないホーンラビットに剣を突き刺し、鋭く払う。すぐに他のホーンラビットの前に飛び込むと、再び剣を突き刺した。

「キィーッ!」

「あっ!」

残ったホーンラビットが突進してきた。慌てて振り返り、剣を振ろうとすると――。

「メル!」

刃の風が吹き、ホーンラビットの体を切り裂いた。そして、地面に転がると、もう動かなくなる。どうやら、ティナに救われたようだ。

「無事ですか、メル!」

振り向くと心配そうな顔をしてティナが駆けつけてきた。

「うん。ティナのお陰で怪我をしなくてすんだよ。ありがとう」

「よ、良かったです……。もし、怪我をしたらどうしようかと思いました」

「うむ! 怪我がなくて本当に良かったわい! 流石、獣人というべきか!」

ホッと胸を撫でおろすティナの横で、サリサが満足そうに頷いた。私も思ったけれど、獣人の体は思ったよりも身体能力が高い。

戦闘を始めたばかりだけど、体は思った以上に動くし、力も強い。これなら、冒険者稼業も問題なく行っていける。

「とりあえず、ホーンラビットはアイテムボックスの中に入れておくぞ?」

「うん、お願い」

「じゃあ、薬草の匂いを辿っていきましょうか。この先に匂いが強い場所があるんでしたよね?」

「そうそう。あっちから、たくさん匂ってくるんだよね」

ティナが指さした先、濃い薬草の匂いがしてきている。これは、一つや二つじゃない。もっと、たくさんの薬草がありそうな気配だ。

鼻をひくひくと動かし、匂いを辿っていく。周囲を警戒しながら進んでいくと、木々が少ない場所が見えてきた。

その場所には沢山の草が生えているように見える。目を凝らしてみてみると――。

「おっ! 薬草がたくさん生えておるぞ!」

「えぇ!? か、数えきれません!」

他の草に交じり、薬草がたくさん生えている場所が見つかった。三人で駆け寄ってみてみると、そこにある薬草は一つや二つじゃない。十を超えるほどの数が群生していた。

「す、凄いぞ! こんなにたくさんの薬草があるなんて! メル、やったな!」

「メルの鼻のお陰ですね!」

「えへへ、そうかな?」

二人が声を張り上げて褒めてくると、照れ臭くなる。なんか、みんなの為になったみたいで、大きな達成感がある。

「なんじゃ、もっと喜んでもいいのじゃぞ?」

「そうですよ。メルのお陰なんですから」

「いや、これでも喜んでいるんだけど……」

「もっと、喜べ!」

「わっ!」

サリサがいきなり飛び掛かってきた! ずっしりと体重をかけてくると、私の頭を強く撫でまわす。

「ほれほれ、嬉しいじゃろう? もっと、喜べ!」

「さ、サリサ!」

耳も髪もぐちゃぐちゃになるまで撫でまわされる。うぅ……なんか、恥ずかしいような……。

「おっ! メルの耳はもふもふでめちゃくちゃ気持ちいいぞ! ティナ、お前も撫でてみるのじゃ!」

「えっ? じゃ、じゃあ……あっ! 凄くもふもふしてます! き、気持ちいい!」

「なんとも撫でがいのある耳と頭じゃ! もふもふの毛にふわふわの髪……極上の癒しがここにはある!」

「わぁ……もふもふ。ふわふわ」

二人が夢中で私の耳と頭を撫でまわす。撫でられるのは気持ちいけど、気持ちいけど……はっ! 私まで夢中になってどうする!

「ふ、二人とも! そんなことよりも、薬草採取しよ!」

そう訴えるのだけど、二人は中々離れてくれなかった。

「こ、こんなに薬草を採取してきたんですか!?」

冒険者ギルドのお姉さんに薬草を提出すると、とても驚いた顔をしていた。

「メルのお陰で群生地を見つけたんですよね」

「なるほど、獣人の嗅覚で見つけたんですね。だったら、納得です。冒険者初心者なのに、あなたたちは凄いですね」

「そりゃあ、わらわがついているからな! わらわは強いから、多少の無茶も出来るのじゃ!」

「ふふっ、心強い仲間ですね」

お姉さんは私たちを見て、おかしそうに笑った。うん、二人は心強い仲間だ。

「えーっと、薬草は63束ありましたので、6300コルトのお支払いですね」

「ありがとう。それで、ホーンラビットもあるんだけど……」

「それはあちらの窓口です。素材と肉が売れますよ」

「そうなんだ、ありがとう!」

「また、頑張ってくださいね。お待ちしております」

にこやかなお姉さんに見送られて、私たちは専用の窓口へと向かった。そこでは、お兄さんが待っているようだ。

「すいません、買い取りをお願いします!」

「もちろん、いいぞ。さぁ、魔物を出してくれ」

そう言うと、ホーンラビットを9体出してみた。

「おぉ、たくさん倒してきたな。小さいのに偉いぞ」

「ふふん、当然じゃ!」

「じゃあ、今から査定するな」

そう言ってお兄さんはホーンラビットを一体ずつ検分していく。その様子を見ていると、サリサがホーンラビットに熱視線を送っているのに気づいた。

「サリサ、どうしたの?」

「いや……ホーンラビットの肉が美味しそうだなって思ってのぅ」

「食べたことありますが、とても美味しいですよ」

「そ、そうなのか!? なぁ、メル。ホーンラビットの肉で何か料理を作ってくれないか?」

なるほど、ホーンラビットの肉を食べたいのか。私は食べたことないから、ホーンラビットの肉の味に興味がある。

「分かった。今日食べる分だけ、お肉を貰おうか」

「やったー! メルは話の分かる奴じゃな!」

「わぁ、楽しみです!」

こんなに楽しみにしてくれると、とても作りがいがある。

「待たせたな。金額なんだが……」

「あっ、ごめんなさい。三体分の肉を貰ってもいい?」

「もちろん、構わないぜ。じゃあ、角が900コルト。毛皮が1350コルト。肉が2400コルトだ。合計で4650コルトになる」

私たちはそのお金を受け取った。ずっしりとした硬貨の重みで、思わず笑みがこぼれる。

「じゃあ、今から三体分の肉を解体するから、待っていろよ」

「うん! お願いします」

お兄さんはホーンラビットを持って、奥の方へと移動をした。さて、ホーンラビットの肉をどうやって調理しようかな?