軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

僕達も、早くそう出来るようにならなきゃね

「ゴブリンマジシャンとゴブリンファイターの魔石、それと……」

ゴブリンから魔石を取り出して仕舞ったイストファは、ドーマの手の中で輝いているものに目を向ける。

それは、ゴブリンソードマンの死骸が消えた後に残ったもの。

帰還の宝珠ではない。もっと小さな、手の中に納まってしまう程度の丸い石。

しかしそれが普通の石ではない事は、光っている事から明らかだ。

「光源石だな。魔力を籠めると光るんだ」

「へえ……」

「ただ、魔力が切れるまで光りっぱなしなのが難点でな。普通は専用のランタンとかに入れるんだ」

カイルの説明にイストファは素直に「ふーん」と頷くが、ドーマは訝しげな表情だ。

「……自然に存在するものではないですね。ダンジョン独自のマジックアイテムというわけですか」

「そうだな。王都辺りじゃ結構出回ってるんだが、冒険者がせっせと集めてたってわけだ」

「へえ……なんか凄いね」

「国民生活の歴史はダンジョン抜きには語れない……ってな。仕舞っとけよ。ピカピカ光って邪魔だろ」

「そうですね、ではイストファ」

「うん」

ドーマから光源石を受け取ったイストファが袋に光源石を仕舞うと、分厚い袋は光源石の輝きを受けてぼんやりと光り出す。

「うわ、なんか凄いね……」

「結構分厚い袋でもその調子だ。専用のランタンが必要だって意味、分かるだろ?」

「まあね」

こんな燦々と光に照らされた草原で光源石なんてものがあっても仕方ない。

帰ったら売った方がいいだろうかと考えて、イストファはカイルへと振り向く。

「これ、取っておいた方がいいかな?」

「ん……どうだろうな。持ってれば役立つ時も来るとは思うが」

「取っておけばいいのでは? 専用ランタンはともかく、松明や普通のランタンの油を買い足すよりは経済的だと思いますが」

「じゃあ、取っておこうか」

頷き、進もうとして……イストファは、ふと立ち止まる。

「あれ? ドーマ。そういえば……地図は?」

「え?」

「地図。さっきから広げてないような気がして」

「あれ……」

言われて初めて気付いたのか、ドーマはキョロキョロと辺りを見回し……やがて「あっ」と呟く。

「さっき捨てた時に、そのままでしたね……」

「おい、お前……」

「大丈夫です。どっちから来たかは覚えてましたから」

「なら安心だね」

「いや待て、過去形で言っただろ。まさか」

カイルの指摘に、ドーマはすっと視線を逸らす。

「さっきゴブリンマジシャンに馬乗りになるくらいまでは覚えてました」

「……いやまあ、俺も覚えてないから人の事言えねえけどな」

「また迷子かあ……」

困ったね、とイストファは溜息をつく。

確かに乱戦になれば方向を見失うとドーマは言っていたし、イストファ自身しっかり覚えるつもりではあったが、こうしてみると全く方向が変わらない。

それもこれも、この「目隠しの草原」の特殊性によるものだが……。

「冒険者の先輩達って、この階層をどうやって攻略してるんだろうね?」

「そりゃ決まってるだろう」

「そうですね。入り口と出口の場所は分かってるんですから、真っすぐ向かえば二階層に辿り着きます」

「ああ。ある程度の実力があれば、こんな階層はさっさと通り抜けるのが正解だろうな」

言われて、イストファは納得してしまう。

なるほど、確かにこんな迷いやすい場所に長居して狩りをする理由なんて熟練者にはないだろう。

さっさと通り抜けるのが正解。言われてみればその通りだ。

「……僕達も、早くそう出来るようにならなきゃね」

「ああ。その為には早くお前の新しい鎧を買う必要がある、が……」

それだけではまだ足りない。そう言いかけてカイルは口ごもるが、そこでドーマが咳払いをする。

「それについてなんですが。つい先程、神より良い魔法を授かりました」

「ん? どんな魔法だ?」

「聞いて驚くと良いです。その名もヘビーウェポン。武器が重くなります」

「……なんだそりゃ、そんなもん……いや待て」

そんなもん役に立つか。そう言いかけたカイルは、顎に手をあてて考え始める。

「ヘビーウェポン……武器が重くなる魔法、でいいんだよな?」

「ええ、その通りです」

「そう、か……」

カイルの脳裏に浮かぶのは、先程のイストファの戦闘の光景だ。

先程考えた時には、イストファに出来るだろうかという懸念があった。

しかし、それはイストファを侮っていた結果だと自己反省して。

やがて、カイルは自分の考えを纏め「よし」と呟く。

「ドーマ。お前のそのメイス、材質は何だ?」

「普通の鋼鉄製ですが」

「よし、それをイストファに貸す気はあるか?」

言われて、ドーマは自分のメイスにチラリと視線を落とす。

武器を貸す。それは冒険者にとってかなり迷う事だ。

単純に貸し借りとはいうが、その武器が壊れたり無くなったりすれば、冒険者にとっては死活問題だ。

常に一番良い武器を携えているのが冒険者であり、予備の武器などというものは一段も二段も落ちるのは普通。

イストファ達のような新米冒険者であれば、予備の武器なんて存在しないのも普通なのだ。

それが何かのトラブルで無くなれば……落ちぶれ者への道が開く事になる。

だからこそ、ドーマは考えて……イストファをチラリと見る。

「え、いやカイル。ちょっと待ってよ。なんでドーマの武器を?」

「簡単だ。全身鎧で固めたゴブリンガードには刃物は通じにくい。だがな、『打撃』はよーく効くんだよ」