軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ああいう神官っぽい人を探せばいいのかな

「……何言ってんだお前?」

「金級が青銅級とパーティを組むだなんて、有り得ない。何処のお貴族様か知らないが、そんなんじゃマトモな冒険者になれないぞ」

「えっと……」

何か勘違いしている。そう気付いたイストファが口を開くと、少年の視線はイストファにも向く。

「お前もだ。見たところ成り立てみたいだけど、最初から強い人に頼ってるだけじゃ」

「いや、勘違いだよ。僕達は別に三人でダンジョンに行ってるわけじゃない」

ステラに頼り切るようなら、イストファはとっくに捨てられている。

だからこそイストファは堂々とそう答えるが、少年の疑問は払拭されなかったようだ。

「……ならどうしてパーティを組む必要があるんだ」

「それは」

「ウゼえ野郎だな。人様の事情に一々棒突っ込んで掻き混ぜねえと気が済まねえのかよ」

「なっ!」

今にも唾でも吐きそうなカイルに少年は激昂しかけるが、背後から別の少年に肩を抑えられる。

「やめとけ、コード。君の最初の絡み方が悪い」

「ブリガット! けど!」

「君が悪い」

魔法士風の少年……ブリガットに再度諭すように言われた剣士の少年コードは小さく「くっ」と唸るとカイルに頭を下げる。

「……すまなかった」

「別に構わねえよ」

そう言うとカイルは「行こうぜ」とイストファの肩に手を乗せ半ば無理矢理引っ張っていく。

背後からはコードの鋭い視線が向けられていたが、カイルはそれに本当にうざったそうに「ケッ」と吐き捨てる。

「ったく、いいかイストファ。あいつ等みたいなのが他人を添え物にしか見ないタイプだ」

「え? でも……魔法士の人の方は」

しっかり仲間を抑えた、あのブリガットとかいう魔法士の少年は「いい人」なのではないか。

そんな風な事を考えるイストファに、カイルは呆れたような視線を向ける。

「あのな、アレはコードとかいう馬鹿よりタチ悪ィぞ。自分が一番頭いいと思ってやがるからな」

「え、でもそれってカイルも結構公言して」

「俺はいいんだ。俺が天才なのは純然たる事実だし、他人を気遣えるほぼ完璧超人だ」

「……何が違うのさ」

イストファが白い目で見ると、カイルは「大違いだ」と憮然とする。

「いいか、天才と自称天才の違いはな。他人を『仲間』とみるか『駒』とみるかだ。アレは後者だ」

「そうなのかなあ」

「おう、俺が言うんだから間違いない。何かの間違いでパーティなんか組んでみろ、三歩下がれとか五秒後にどうこうとか、細かく指示出し始めるぞ」

「うーん……」

そこまで変な人には見えなかったけどな……とイストファは思うのだが、とにかくカイルが彼等が気に入らない事は確かであるらしい。

それにイストファ自身、あまり仲良くできそうにも思えなかった。

カイルではないが、あのブリガットとかいう魔法士の少年の目は……ちょっと怖く感じたのだ。

「……まあ、あまり組んでも上手くいきそうにはない、よね」

「おう、分かってるじゃねえか」

「でも、他人の悪口言うのは良くないよ」

「そうか、すまん」

アッサリと謝ったカイルにイストファは苦笑するが、とにかく仲間を探さなければ始まらない。

「えっと、それで……ヒーラーの人は……」

「お、あそこにいる、がダメだな。もう組んでるみたいだ」

数人で談笑をしている中に灰色のカッチリとした服の少年が居るのを見て、カイルが声をあげる。

なるほど、確かに神殿の人に似ているとイストファは思う。

落ちぶれ者同然だった頃のイストファには縁のない場所だったが、神殿に勤めている神官の人達と服装がソックリだった。

「ああいう神官っぽい人を探せばいいのかな」

「神官っぽいっつーか神官見習いっつーか……まあ、その辺はいいか。そういうことだ」

カイルに頷き、イストファは周囲を見回して。やがて、壁に寄り掛かっていた同じ服装の少年を見つける。

「あ、居たよカイル」

「おっ」

「ちょっと行ってくるね!」

その少年の下へ走り寄ると、イストファは「こんにちは」と愛想良く声をかける。

少年はそんなイストファの挨拶に「うん、こんにちは」とやはり愛想良く答え、イストファの背後から歩いてくるカイルへと目を向ける。

「パーティのお誘い?」

「あ、うん。いや、えーと……すぐにそうってわけじゃないんだけど」

「ふふ、申し訳ないけど断るよ」

「え?」

詳しく話をする前から断られてしまったイストファは思わず「なんで?」と聞き返してしまう。

「そうだなあ。まずは、彼かな……見れば分かるよ。彼、魔力が弱い。攻撃役としてはあまり期待できそうにない」

「うっ……」

「それと、君だね。前衛を担ってるのは分かるけど、装備が貧弱で不安になる」

「言いたい放題じゃねえか」

やってきたカイルに少年は微笑むと「そりゃそうだよ」と答える。

「僕も自慢じゃないけど、攻撃と防御に関しては全くダメだからね。その辺りを完全に任せられる仲間とじゃないと、怖くて潜れないよ」

「……正論だな」

「分かってくれて嬉しいよ」

アッサリ引いたカイルに驚くイストファだが、カイルは「次行くぞ」とイストファを引っ張っていく。

「説得しなくてよかったの?」

「無駄だ。アレは利害関係が一致しても『仲間』にゃなれねえ」

たぶんだが、雇うことは出来るとカイルはみていた。

だが……それでは何の意味もない。イストファという友人を得た以上、そんな関係はカイルにとって信頼できるものではなくなっていたのだ。

「俺はな、イストファ。俺とお前の友人……とは言わないまでも、ちゃんと信頼できる奴を三人目にしたい」

「……僕も、そう思うよカイル」

イストファとしても、そんなカイルの言葉に異存などあるはずはない。当然の事だ。

だが……そんな仲間が都合よく見つかるはずがないというのもまた、当然の事だった。