軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

そういう奴をドワーフは

「話が……」

「たとえばだがな。俺が加入したと想像してみろ。今みてぇに和気あいあいとやってるとこ、想像できるか?」

話が合わない。

言われてしまえば、こんなに納得できる理由もない。

イストファ達は思わず顔を見合わせ、頷きあってしまう。

「……その通りすぎて何も言えねえな」

「僕、言われて初めて『そうかも』って思った」

「というか、確かにあまり年齢が違い過ぎると気を使いますよね……」

「ボク達、そういう意味ではしっかりした編成だったんですね」

これは意外に重要な事で、フリートが言うように彼が新しい仲間になったら……と考えてみた時、イストファ達には実に想像しやすかった。

「イストファが滅茶滅茶気を使ってるとこ、すげえ想像できるな」

「それを言うならカイルが遠慮してるとこも想像できるけど……」

「いえ、カイルはどうでしょう」

「どういう意味だコラ」

「ボクも気軽に話が出来るかというと……」

勿論、年代差の激しいパーティはたくさん存在する。

するが……イストファ達のように「出来上がった」中に放り込むとなると、これが中々難しい。

そしてその「難しさ」は、パーティ全体の命に関わる問題なのだ。

「お前らの場合、出来れば同年代がいい。しかし、そうなるとなあ……」

「人が居ない……ですか」

「そういうこった。トラップスミスっつーのは、ただでさえ難しい性格の連中が多いしな。ま、すぐにはいかねえだろうが……」

言いかけたフリートだったが、店のドアを叩く音に気付き「ん?」と声をあげる。

「客か?」

「私が出るよ。はーい!」

ケイがパタパタと走っていき、店のドアを開けて。

そこに立っていた男……いや、少年の姿にきょとんとした表情を浮かべる。

それもそのはずだ。

フリート武具店は店構えにさほど力を入れているわけでもなく、ある程度の事情通でなければ立ち寄ることを考えない種類の店だ。

言ってみればイストファ繋がりで贔屓の店にしている……イストファ含む4人が特殊なのであって、それ以外の同年代の客が来るとは、ケイ自身思っていなかったのだ。

「どうも。お取込み中のところに申し訳ありませんのう」

「え、いえ。えっと……いらっしゃいませ」

その少年は、なんというか……一言で言うと「狐」だった。

獣人というわけではない。

しかし、細い目に何とも言い難い笑顔を浮かべた口元……そういった様々な要素が狐を思わせる、そんな少年だったのだ。

そして、何よりもその少年を印象付けるのは……ロクに武装をしていない、その姿だった。

「いらっしゃい。何を探してんだ?」

「ああ、どうも。いやあ、探しているというか、なんというか……」

「ああ?」

「仲間を探しておりましてのう。丁度トラップスミスがどうのと聞こえたものです故に」

ハハハ、と笑う少年はイストファ達を見て、なんとも言い難い笑みを浮かべてみせる。

「もしトラップスミスをお探しであれば、儂など如何かな……と売り込もうと思った次第でして」

「そう言うってこたあ、トラップスミスなんだろうが……」

言いながらフリートはカウンターから箱を取り出すと、少年に放ってみせる。

「おや、これは……」

「トラップスミスギルドでの技能試験にも使われるやつだ。開けてみせな」

鍵穴のついた、小さな宝箱ともいえるソレを少年は見回すと「ふむ」と頷き手の中でクルリと回す。

「鍵穴はダミー。本命は、この裏側の小さい穴ですな。どれ……」

言いながら針金のような道具を取り出すと、数秒でカチリと音が響く。

「開きましたぞ。如何ですかな?」

「……技はあるみてえだな」

投げ返された箱をキャッチして確かめながら、フリートは少年をじっと見つめる。

どうにも掴みどころがない。

それがフリートの抱いた感想だった。しかし、どうにも臭う。

何かを隠している人間特有の何かをフリートは感じていた。

しかし、ステラという隠し事と胡散臭さの化身のようなものを最近よく見ていただけに「それと比べれば大分マシ」という感想が出るのもまた事実であった。

「で、なんでまた? トラップスミスを欲しがる奴等なら冒険者ギルドに山ほど居るだろう」

「ハハハ、ご冗談を。儂は自分の腕を安売りしたくはありませんからのう」

「随分腕に自信があるんだな」

「それはまあ。証明しろと仰るのであれば?」

フリートは少し考えるような様子を見せると「……ダメだな」と呟く。

「おや。何か問題がございましたかな?」

「問題だらけだ。胡散臭え。隠し事の匂いがする。裏稼業にどっぷり浸かった奴の臭いがする。こっちを測るような目つきをする。どれか1つか2つならいいが、全部兼ね備えてる奴はダメだ。そういう奴をドワーフは信用しねえ。ていうかだな、お前……」

トラップスミスじゃねえな? と。フリートはそう言い放つ。

「トラップスミスの技能は証明したはずですがのう」

「分かって言ってんだろ。トラップスミスギルドには裏の顔がある」

「裏の……顔?」

呟くイストファにフリートは「ああ」と頷く。

「アサシンギルド。お前、本業はそっちだろ」