軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

戦いを選んだ時点で、俺達は

そしてドーマの言葉通りにイストファとカイル、そしてノーツが最初の見張りとなった。

ランプの明かりの灯る中、床に身体を横たえているドーマとミリィを庇うようにイストファが立ち、近くの椅子にカイルが座っている。

そしてノーツは、祭壇に背を向けてイストファをじっと見つめていた。

「……えーと、なんでそんなに見るの?」

「興味があるからな」

「チッ」

カイルが明らかな舌打ちをするが、ノーツに気にした様子はない。

「お前はなんとなく、オレに似てる気がする」

「……そうなの?」

「ああ。別に性格がどうとか生き方がどうとかって、そういうフワッとした話じゃないぞ。なんつーのかな、方向性だ。戦闘スタイル的に、オレとお前は似てるはずだ」

言われて、イストファはノーツの言おうとしている事に気付く。

「もしかして、魔力の話?」

「ああ。オレはお前とはまた事情が違うが、魔法が使えないからな」

「ちょっと待て」

そこで黙って聞いていたカイルが、椅子から立ち上がりノーツを見る。

「お前、イストファと違って魔力を感じるぞ? それで魔法を使えねえって事は」

「なんだ、知ってんのか?」

言われて、カイルは何かを確かめるようにノーツをゆっくりと眺め回し……やがて、小さく呟く。

「もしかして、お前……超人ってやつか」

「ご名答」

「超人?」

首を傾げるイストファに、カイルは「魔力があっても魔法を使えない人間の事だ」と答える。

「あくまで一説だが、魔力が完全に体内で循環する体質らしい。普通の人間を超えた身体能力を発揮するのも特徴の1つだ。だが……」

「だが?」

「見るのは初めてだ。イストファ、お前と同じくらい珍しいぞ」

「そうなの?」

「ああ」

前に見たのは何かの本でだが、何の本だったか。イマイチ思い出せないでいるカイルが首をひねっていると、ノーツが「ま、そういうことだ」と答える。

「魔法を使わず……いや、使えず剣一筋。似てるだろ?」

「そう、だね」

「まあ、魔法に強いか弱いかって点では違うけどな!」

笑うノーツにイストファも苦笑するが、そんなイストファの胸をノーツが叩く。

「魔法が使えないってのは欠点だ。それは間違いない。お前の場合、オレと違って魔法にも弱いだろ? そいつは更にデカい欠点だ。でもな」

言いながら、ノーツは自分の剣に触れる。

「その欠点のおかげで、普通にやってたら届かない場所にも届く。それは欠点を打ち消す利点だ」

言いながら、ノーツはゆっくりと教会の入口へと歩き出す。

「ノーツ?」

「生き急ぐな、ってのは足を引っ張る阿呆の戯言だ。上を見れば死に物狂いでも足りねえってのを嫌でも痛感するんだからな」

言いながら、ノーツは教会の入口へと立ち塞がり剣を抜く。

「お前等、此処に来た時オレに聞いたよな。此処に居た連中が何処に行ったかって」

「う、うん」

「知らないってのは本当だ。だがまあ……予想は出来る。たとえば」

そう、たとえば。

たとえば……この教会にやってくるのを日常とするような幻影人。

この教会を長く拠点として占拠していても存在に気付かない程、出現するのが稀な……。

「レアモンスター……サラディア八剣か!?」

「そういうこった」

イストファとカイルが慌てたようにドーマ達を起こす中……ゆっくりと、ドアが開かれる。

其処に立つのは……美しい白の鎧を纏った、長髪の男の姿。

腰に吊るすのは、やや大振りの剣。片手剣であるとも両手剣であるともいえる、そんな剣だ。

鎧に描かれたのは赤と緑の色が鮮やかな薔薇で、洒落者なのであろうことが分かる。

だが……その人にあらざる目は、間違いなく幻影人のそれだ。

「ラーハルトか……! チッ、ほんっとイラつくぜ!」

「……教会ヲ穢ス不埒者メ……我ガ剣ノ錆ト消エヨ!」

「やってみやがれ!」

その掛け合いを合図に、幻影人……ラーハルトとノーツの剣がぶつかり合う。

風切り音を立てながら振るわれるラーハルトの剣をノーツの剣が弾き、しかし即座に戻ってくるラーハルトの剣がノーツの剣にぶつかる。

互いに一歩も引かずに剣をぶつけ合う2人を見て、ドーマが「ラーハルトですって……?」と声をあげる。

「知ってんのか、ドーマ」

「ええ、魔撃のラーハルト……その一撃を躱す事能わず、と言われたと聞きます。ですが……」

「めっちゃ防いでるな」

「え、ええ」

イストファが飛び込む事を躊躇うほどに二人の剣戟は美しく、そして拮抗していた。

だが、拮抗しているのであれば何処かで助けなければ。思いつつもタイミングの掴めないイストファ達の中で、唯一ミリィが動こうとして。

「手ェ出すんじゃねえ!」

そんなノーツの叫び声に、ミリィがビクリと震える。

「それよりイストファ!」

「あ、うん! すぐに」

「違う! 俺をよく見てろ!」

叫びながらノーツは、剣を振るう腕を止めない。

「お前に俺の剣を見せてやる! 誰も俺の剣を真似できねえ……だがお前ならあるいは!」

言いながら、ノーツは一瞬の隙にラーハルトに蹴りを入れ弾き飛ばす。

「余計なものなんか要らねえ……戦いを選んだ時点で、俺達は獣だ! 剣は牙だ! それを心得りゃ、理が見える!」

即座に突っ込んでくるラーハルトとその剣を前に、ノーツはだらりと剣持つ腕を下げる。

「ノー……」

ノーツ、と叫んでイストファが飛び出そうとしたその時。その姿が、一気に掻き消える。

見える。見えない。いや……見える。

それは、全身をフルに使った加速。その全てが、たった1つの動作に集約されていく。

……それは、一瞬。イストファだけに僅かに見えた世界の中で、全ては終わっていた。

「これが、俺の必殺剣だ……どうだ、今度は見えたか?」

そう問いかけてくるノーツの、納刀の音を合図にするかのように。

ラーハルトの剣が断たれ、その身体も鎧ごと2つに断たれノイズに変わる。

それが、この戦いの決着だった。